ポップアップストアに掲出した「ネクストループ」のメッセージ PHOTO:YUTA FUCHIGAMI
「シーエフシーエル(CFCL)」は12日、「ニュウマン高輪」2階に新店舗「CFCL高輪」をオープンする。同店ではブランド初となる二次流通サービス「ネクストループ(NEXT LOOP)」を開始。さらにオープンに合わせて、同サービスにフォーカスしたポップアップストアも「ラグタグ(RAGTAG)」およびルミネと協業で展開している。
「ネクストループ」は、着用しなくなった「CFCL」の衣服を回収・修復し、再び流通させる取り組み。協業パートナーとしてブランド古着を扱う「ラグタグ」を迎え、2025年6月から回収をスタート。集まったアイテムは修繕やクリーニングを経て値付けし、順次販売する。販売価格は、回収時の状態や修繕具体にもよるが対プロパー比でおおむね60〜70%。「ラグタグ」は申し込みから査定、支払いまでの一連の買い取り業務を担い、専用フォームを通じて受付ける。
都内最大級となる新店舗は直営店として唯一、二次流通商品を常設で取り扱う拠点となる。これは「CFCL」が“クローズドループ”を目指す一環で、修復が難しい衣服は原料に戻して糸へ再生するなど、リサイクルへの活用も構想している。
“売った後の責任を果たすべきと考えるようになった”
「ブランドとして、商品を売った後の責任を果たす仕組みを整えたかった。お客様に“出口”を用意し、循環につなげたい」と語る高橋悠介CFCL代表兼クリエイティブ・ディレクターに「ネクストループ」について聞いた。
WWD:このループ(回収・再販の仕組み)を始めようと思ったきっかけは?
高橋悠介代表兼クリエイティブ・ディレクター(以下、高橋): 製品のライフサイクルアセスメント(LCA)を算出するなかで、「商品は売って終わりではない」という意識を持ち、ブランドとして「売った後の責任を果たすべきだ」と考えるようになった。お客さまに出口を用意することが第一の責任だ。また、「CFCL」の製品はメルカリなどの2次流通でも比較的高く取り引きされており、ビジネスとしてのポテンシャルも感じている。
WWD:なぜ「ラグタグ」と組んだのか?
高橋: 値付けや回収の仕組みを自前で整えるのは難しく、1年以上リサーチを続けていた。その中で、ワールド傘下の「ラグタグ」を知った。物流や値付け、再販までのプロセスを一括でシステム化しており、導入のハードルが低いと感じた。
WWD:取り組み先を公表しないブランドも多いが?
高橋:「ラグタグ」の仕組みは素晴らしいと思ったので、公表することで他のアパレルにも知ってほしいと考えた。再販ビジネスはラグジュアリーブランドも含めて盛り上がってきており、こうした仕組みが普及すれば、ブランドが商品を回収するハードルも低くなるだろう。
WWD:修繕後のクオリティはどう評価しているか。
高橋:状態によって修繕できるものとできないものがある。新品同様のものもあれば、ほぼ値段がつかないものもある。重要なのは適正に評価できるシステムを持つことでその点、「ラグタグ」の値付けシステムは優れている。
WWD:どんなアイテムが回収されている?
“2次流通はブランドに触れるきっかけとなる”
WWD:中古品をプロパー商品と並べて販売することへの抵抗感はなかったか。
高橋:まだ普及していない今だからこそ、挑戦したかった。自分自身、学生時代から古着を買っており、それがブランドへの関心につながる体験だった。2次流通は「お下がり」ではなく、若い世代にブランドに触れてもらう入り口になると考えている。
WWD:「ニュウマン高輪」での取り組みの特徴は。
高橋:これまでの直営店はインバウンド比率が高かったが、「ニュウマン高輪」はオフィス街も近く、若い層も多い。そこでバッグなどのアクセサリーの充実と「ネクストループ」の常設を導入した。ポップアップで終わらせず、日常的に回収・再販を続ける仕組みとした。
WWD:ポップアップ店舗の設計で工夫した点は?
高橋:環境負荷を抑えるため、施工はシンプルにしている。USMハラーで統一し、会期後もさまざまな用途で使い続けられる什器を採用した。短期のポップアップで大量の廃棄物を出すのは本末転倒だと思うからだ。
WWD:回収の成果と課題は?
高橋:4か月で一定量は集まったが、まだ多くの人が手放したがらない状況である。また、傷や劣化で再販できない品も多く、それが課題だ。
WWD:再販できない商品の行き先は?
高橋:生産時に出る端材と合わせてケミカルリサイクルの可能性を検討している。「CFCL」はペットボトル由来のリサイクルポリエステルを多く使っておりモノマテリアル比率が高いため、リサイクルしやすい強みもある。