CFCLが繊維商社MCFと業務資本提携　パリ展開や工場拡張、人材支援を加速へ

「CFCL（シーエフシーエル）」はこのほど、繊維商社エムシーファッション（以下、MCF）との間で業務資本提携を締結した。MCFは第三者割当増資により約2.5億円を出資し、CFCLの発行済株式の3.0%を取得する。なお、CFCLの独立性および意思決定の自立性はこれまで通り維持される。

MCFは、三菱商事傘下の三菱商事ファッションとして発展してきたが、2025年2月にワールドの傘下に移って社名を変更した。アパレル・生活雑貨・靴などを扱うOEM事業を主力とする一方で、グローバルネットワークを生かした素材調達、生産管理、物流、システム構築などの機能を備え、ファッション業界全体の経営課題を解決する「業界特化型 事業経営モデル」を推進している。

今回の提携は、CFCLにとって中長期的な成長を見据えた体制強化の一手となる。まず、フランス・パリに新設した海外拠点への人材配置を通じて、現地でのホールセール（卸売り）やPRに本腰を入れ、欧州市場での存在感を高める狙いがある。また、23年に自社工場を設立した東京・曳舟をはじめとする国内の生産体制についても、MCFからのノウハウや人的支援を受けながら、拡張・安定化を図る。さらに本社オフィス社員の7割を20〜30代女性が占めるCFCLでは、産休・育休などライフイベントと仕事の両立が課題となっており、MCFの支援により柔軟な人員補完やシステム整備を進め、持続可能な就業環境の構築を目指す。

MCFは、自社の強みを生かした事業拡張を実現する好機と捉える。海外展開を積極的に進めるCFCLの活動を支援することにより、日本のファッションブランドの国際競争力強化と産業全体の活性化に貢献したい考えだ。CFCLの高品位な製品を安定的に供給するために、適切な生産拠点の選定や在庫管理体制の改善、サプライチェーン全体の最適化に対しても実務レベルで支援を行う。グローバル展開に不可欠な法規制対応や、経営基盤の整備といったバックオフィス領域についても、商社として培ってきた知見でCFCLをサポートしていく。

CFCLは2020年に創業し、2024年8月期には売上高32億円（国内20億円、海外12億円）と急成長している。成長著しいブランドと、業界知見を持つ商社による今回の提携は、単なる資本参加にとどまらず、製造、雇用、海外戦略など多角的な分野での連携によって、日本のファッション産業全体に新たな可能性をもたらす試金石となりそうだ。

提携の背景について、松浦直彦CFCL副社長兼COOと小島俊晃MCF投資部長に聞いた。

CFCL × MCF、資本業務提携の背景

WWD：今回の提携に至る経緯について教えてほしい。

小島俊晃MCF投資部長（以下、小島）：もともとは、弊社が保有するブランドに対する外部コンサルタントとして高橋悠介CFCL代表兼クリエイティブディレクターに関わってもらっていた。その後、CFCLを立ち上げられ、しばらくは情報交換の関係にあったが、我々がOEMだけでなくブランド投資を成長軸に据えようとしていた時期に、高橋氏から声をかけてもらった。

WWD：CFCLのビジネスモデルで、特にどこに惹かれたのか？

小島：ブランドコンセプトとそれに即したブランディングのポジショニングが非常に秀逸だ。ニットでフルラインを展開し、製品の70〜80％に再生ポリエステルを採用している点、さらにBコープ認証も取得しており、理念と実装が高次元で一致している。