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アパレル業界再編の号砲か ワールドとTSI、大型統合の背景を読む

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ワールドとTSIホールディングス(以下、TSI)が来春の経営統合を発表した。売上高で国内アパレル4位のワールドと8位のTSIが合流し、両社の持株会社となるインフィニティ・ユナイテッド(以下、インフィニティUTD)を3月1日付で設立する。単純合算で、売上高4500億円のグループ企業が新たに誕生する。

この大型統合で、業界のパワーバランスが大きく変わることは間違いない。長らく「大手」と呼ばれてきた両社が手を組むこと自体、国内アパレル業界の経営環境の厳しさを物語る。業界の構図が、これから大きく再編されていく契機になるだろう。

ユニクロ、しまむらに次ぐ売上高4500億円連合に

主な上場アパレル企業の直近の通期売上高。ワールドとTSIの単純合算は4510億円で、ファーストリテイリング、しまむらに次ぐ規模

統合でまず大きく変わるのは、業界の序列である。

両社の前期(26年2月期)の売上高を単純合算すると4510億円(ワールド2840億円、TSI1670億円)になる。ファーストリテイリング(国内ユニクロ事業だけで26年8月期に1兆848億円)、しまむら(7000億円)に次ぐ国内3番手に躍り出る。前期に初めて3000億円を超えたアンドエスティHD(旧アダストリア)を抜き、長らく両社と比肩する存在だったオンワードホールディングス(HD)(2368億円)をほぼ2倍の規模で引き離す。営業利益は会計基準が異なり単純には比べられないが、前期の実績(ワールドはIFRSで160億円、TSIは日本基準で43億円)を足すと203億円で、オンワードHD(116億円)の約1.8倍になる。

ブランド数は、ワールドの65(8月末)にTSIの約60(同社サイト掲載ベース)が加わり、単純合算で120超。連結従業員は1万を超え、計1万1202人(26年2月期末時点の発表に基づく)となる。

共通課題は、主力アパレルブランドの不振

大型統合の背景に透けて見えるのは、両社の単独での成長力の限界だ。両社の主力ブランドの成績を並べてみると、前年割れが目立つ。ワールドは百貨店向けの婦人服が軒並み落ち込み、伸びているのは子ども服のナルミヤ・インターナショナルや、ブランド古着の「ラグタグ(RAGTAG)」など。TSIは「アヴィレックス(AVIREX)」などアメカジ系が伸びる一方、ゴルフや婦人服、セレクトショップの既存主力が苦戦している。

ワールドは、屋台骨の百貨店婦人服ブランドが厳しい状況だ。フィールズインターナショナルの26年2月期の国内の主管店舗売上高(日本基準)は前期比5.6%減の236億円で、「アンタイトル(UNTITLED)」が同5.4%減の95億円、「インディヴィ(INDIVI)」が同6.7%減の52億円、「リフレクト(REFLECT)」が同7.8%減の40億円と軒並み落ち込んだ。メンズの「タケオキクチ(TAKEO KIKUCHI)」やセレクトショップ「ドレステリア(DRESSTERIOR)」を手掛けるエクスプローラーズトーキョーも、同4.0%減の125億円と振るわない。

TSIは近年、M&Aで規模を保ってきた面が強い。連結売上高は、24年2月期が1553億円、25年2月期が1566億円とほぼ横ばい。26年2月期は前期比6.7%増の1670億円に伸びたが、25年9月に連結したデイトナ・インターナショナルのセレクトショップ「フリークス ストア(FREAK'S STORE)」(約251億円)の上乗せ分が大きい。婦人服やゴルフ、セレクトショップの主力ブランドは業績が芳しくない。26年2月期は「ナノ・ユニバース(NANO UNIVERSE)」が前期比11.7%減の129億円、「ナチュラルビューティーベーシック(NATURAL BEAUTY BASIC)」が同11.4%減の92億円。コロナ禍で広がったゴルフブームも一巡し、主力ブランドの一つである「パーリーゲイツ(PEARLY GATES)」の売上高も同18.3%減の95億円に縮んだ。

単独での生き残りは難しい

両社に共通する経営課題は、百貨店の客離れに伴う従来型アパレルの不振と、そこへの依存から脱却するための事業構造転換である。近年は地政学リスクの高まりや通貨安による調達コストの上昇、人口減少、インフレにも直面する中、ファッション産業では比較的緩やかだった「合従連衡によるスケールメリットの追求」(同社リリースより)によって、厳しい経営環境を克服していく必要性を述べる。そもそもTSI自体が、2011年に東京スタイルとサンエー・インターナショナルが経営統合して生まれた会社だが、15年を経て、さらなる再編に踏み込むことになった。もはや単独での成長回復、そして生き残りは難しいという、両社のリアリスティックな経営判断が透けて見える。

具体的なシナジーは、調達コストの合理化

では統合によって、具体的にどのようなシナジーが生まれるのか?

恩恵が最も大きいのは、モノづくりの上流部分だ。商品の生産・調達、物流、販売といったバリューチェーン基盤の共通化・相互乗り入れによって、原価高で高騰する商品製造コストを圧縮できる。ワールドは25年2月、三菱商事の子会社でアパレルのOEMを手掛けていた三菱商事ファッション(現エムシーファッション)を約93億円で買収し、製造の上流を押さえた。この生産・調達の機能をTSIのブランドにも広げれば、製造プロセスやコストの合理化が見込める。TSIは今上期、輸入ブランドの為替悪化などで売上総利益率を2.1ポイント落としており、仕入れ先の集約や生産体制の見直しを収益改善の課題に挙げている。

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