パルグループホールディングス創業者の井上英隆(いのうえ・ひでたか)さんが10月19日に死去した。91歳だった。通夜と告別式は近親者によって執り行われた。後日「お別れの会」を開く。
一代で日本有数のファッション企業を築き上げた。上場したのは2001年、井上さん66歳の年だった。当時100億円台だった売上高は、26年2月期には2347億円まで成長している。2年前に事実上引退するまで、経営の第一線に立ち続けた。
1961年に父親から継いだ紳士服の仕立て屋「スコッチ洋服店」を企業化し、73年にパルを創業した。紳士服からジーンズカジュアルに進出して以来、時代の変化を捉えた多ブランド戦略を推進してきた。「チャオパニック」「ラシット」「チコ」「カスタネ」「ミスティック」「ガリャルダガランテ」「ディスコート」「ビアズリー」など50以上のブランド・業態を持つ。近年はプチプラ雑貨「スリーコインズ」の急成長がグループをけん引した。
井上さんはかつて次のように話していた。「『こんなおじいさんが若い子のファッションなんて分かるはずがない』という自己認識が基本にあった。だから、ファッションが分かる若い子を雇い、辛抱強く育てるしかない。そこから全てが始まっている」――。多ブランド戦略は若手社員の抜擢と育成の場になり、多くの人材が育った。ライフワークとして、パル井上財団を設立し、経済的理由で修学が困難な日本人学生と外国人留学生に対し、奨学金を援助する活動にも取り組んでいた。