米国の女性解放運動の先駆者として知られる、活動家・作家・ジャーナリストのグロリア・スタイネム(Gloria Steinem)氏が9月2日、ニューヨークの自宅で死去した。92歳だった。
プレイボーイ・クラブに潜入取材を敢行
故スタイネム氏は、1934年オハイオ州トレド生まれ。幼いころは家族とともにトレーラーで全米を移動しながら育った。56年に全米屈指の難関女子大であるスミス・カレッジ(Smith College)を卒業し、政治や社会に関する問題を取材するジャーナリストとしてキャリアをスタート。63年にはプレイボーイ・クラブ(PLAYBOY CLUB)に“バニーガール”として潜入する取材を敢行し、女性従業員が受ける搾取について告発して注目を集めた。
オバマ大統領から勲章を授与される
72年には、フェミニズムの活動家らとともに女性の権利について啓蒙する雑誌「ミズ(MS.)」を創刊。以降も、女性の地位向上や賃金格差の是正、中絶の権利などについて訴え、生涯にわたり男女平等を推進する活動を続けた。2011年には、同氏のドキュメンタリー映画「グロリア:イン・ハー・オウン・ワーズ(Gloria: In Her Own Words)」が米HBOで放送されたほか、20年には同氏と活動家の仲間との物語を描いた映画「グロリアス 世界を動かした女たち(The Glorias)」が公開された。また、13年には当時のバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領から、文民に贈られる最高位の勲章である「大統領自由勲章(Presidential Medal of Freedom)」を授与されている。
女性が自らの意志で装う重要性を主張
故スタイネム氏はまた、ファッションの文脈でもアイコンとして注目を集めた。1960年から70年代後半にかけて、大きなアビエイターサングラス、センターパートの無造作なロングヘア、体にフィットしたトップスとジーンズ、またはミニスカートにニーハイブーツ、大胆なスローガンを謳ったピンバッジや大ぶりなアクセサリーといったカジュアルなスタイルで個性を発揮。年齢を重ねてからも、社会規範に縛られることなく自分らしさの発露としてのファッションを楽しみ、女性が自らの意志で装い行動することの重要性を説いた。
同氏は女性の政界進出など、さまざまな分野の女性を支援する団体の設立にも携わっている。1967年には、自身の名を冠した財団グロリア・ファウンデーション(Gloria's Foundation)を設立。自分への花や贈答品の代わりに、こうした支援団体に寄付してほしいと以前から呼びかけていた。