毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2025年9月29日号からの抜粋です)
向:日々の取材から、日本のアパレル企業もいよいよ循環モデルへのシフトが見えてきました。でも課題も見えてきていて、ここで整理しようと今回、特集を企画しました。「CFCL」がニュウマン高輪でトライしているような、自社ブランドの再販、“オウンドリセール”に注目が集まり、多くの企業もそこに商機を感じ始めています。
皆合:これまでは商品を売ったら、ほとんどはそれきりでした。
向:そうですね。消費者が古着に抵抗がなくなり、回収ができる環境も整ってきました。とあるアパレル企業の社長が「自分たちが売ったものを在庫と捉えるとすごく気が楽になった」と語っていたのがとても印象的でした。不要になった服を資源として考えられるようになって、ほっとしているのが伝わってきました。
未来を感じる絵ができた!
皆合:表紙のビジュアル作りのポイントはモデルの女性が持っているトートバッグ。清澄白河にコーヒーかすでキノコを栽培するカフェを持つ「キノコ ソシアル クラブ」による、循環を分かりやすく表したグラフィックがプリントされた1点モノです。
向:彼らが作ったキノコを中心に広がる可能性を示したグラフィックがすごく素敵で、表紙用に依頼。トートは機会があれば量産して配布したいです。
皆合:循環が未来へ向かっていく絵になっているところが気に入っています。表紙では、このトートを使う人物を想像し、その姿を撮り下ろしました。イメージしたのは、上質でタイムレスなものをさりげなく着こなす、自然体で芯のある女性。顔はあえて映さず、背中で語ってもらいました。
向:前進するイメージの良い絵ができましたよね。最近アパレル企業や商社が投資部を設けているので、投資視点での座談会も実施しました。投資家としてはライバル同士。でも、資金には限りがあり、良いと思った企業全てに投資できるわけではありません。自分たちが投資できなかった企業へ投資したライバルに対して「(そこに投資してくれて)ありがとうございます」という言葉を発しているのを見て、ライバルでありながら同志なのだと頼もしく感じました。