ビューティ

【ニュウマン高輪の見どころ3】企画力で魅せる注目ビューティ5店の戦略

9月12日に開業する「ニュウマン高輪」では、ビューティ分野で計24のショップが入り、うちフレグランスは7ブランドが軒を連ねる。このほか、ドラッグストアのマツモトキヨシやビューティサロン2店も加わり、ニュウマン横浜(16ショップ)、ニュウマン新宿(7ショップ)を上回る規模感を誇る。ブランド内最大級や都内最大級の店舗も多く、企画力を前面に押し出す布陣となっている。今回は、その中から5つのショップの見どころを紹介する。

「アットコスメストア」最大規模店 
新たな編集力で差別化

「アットコスメストア」は、同ブランド最大規模となる売り場で出店した。店舗面積は約470平方メートルで、約450ブランド・7500点の商品をそろえる。「これまで以上に多彩な企画」を打ち出し、来店動機の創出を狙う。

売り場には、日本ブランドを改めて紹介する「レトロ&ロングセラーコスメ」や、推しのイメージカラーと同じ色で分けた「推し色コスメ」、花王との協業によるRNA研究を活用した「肌遺伝子モード判定」に基づく「お肌のケアどき診断」コーナーなどを設置。過去のベスコスコーナーやセールスランキングタワーも引き続き展開する。

フレグランスコーナーでは、百貨店ブランドから国内ニッチブランド、手に取りやすい価格帯まで32ブランド・約100SKUを網羅。幅広い層を取り込む構えだ。

遠藤宗アイスタイル社長は「高輪は人通りが爆発的にある立地ではないが、丁寧な接客で顧客を積み上げていく場所だと考えている」と語る。店舗の広さについても「当初は倍の規模を提案されたが、適正と考える広さを選んだ」と説明する。

立地する高輪は再開発が進行中で、将来的にはリニア中央新幹線の駅も予定される。「東京に大規模の店舗を構える機会は多くない。街づくりとともに長期的に成功させたい」と意気込む。初年度売上高は10億円を目標とする。

土地柄、買い物経験の豊富な顧客が多いと見込む。「丁寧な接客を受け、この店を気に入っていると言っていただけるようにしたい」と青写真を描く。

「アルビオン」旗艦店2号店
乳液特化で新規層開拓へ

アルビオンは旗艦店「アルビオン フィロソフィ(ALBION PHILOSOPHY)」の2号店としてオープンした。ニュウマン横浜に続く出店で、売り場面積は約129平方メートル。主力製品である乳液に焦点を当て、6種類の体験型サービスや専門スタッフ「乳液スペシャリスト」を配置するなど、従来以上に乳液の魅力を訴求する。

売り場はフロントの「OMOYA(母屋)」と「HANARE(離れ)」の2エリアで構成。両エリアには、全21種類の乳液をそろえた専用什器「ミルクバー」を設置した。「OMOYA」では最新商品の情報発信や自由に試せるスキンケア・メイク体験、カウンセリングやミスト美容サービスを提供する。

「HANARE」では、デジタルチェックを通じてその日の肌状態に合わせた乳液を提案。来店客はサンプルを持ち帰れる仕組みで、気軽に体験できる導線を整えた。イベントスペースとしての活用も視野に入れる。

「アルビオン」は接客を重視する一方、若年層から「店舗に入りにくい」という声があった。今回の新店はその心理的ハードルを下げる設計となっており、まずは乳液を手に取ってもらうことで新規客の裾野を広げる狙いがある。担当者は「乳液を通じてブランドに触れていただきたい」と意気込む。

「アスレティア」の世界観が凝縮
「エコアルフ」と協業で集客強化

「アスレティア(ATHLETIA)」は、都内で最大規模となる売り場をオープンした。全ラインアップを取りそろえるとともに、空間設計にはブランドコンセプト「体幹(コア)」を反映。都市の喧騒の中で一息つける「ボタニックガーデン」をイメージし、植物や土、石を配置した。視覚や嗅覚を通じて森林浴のような体験を提供する。

店内の中央にはトラック型カウンターを設置し、テスターやカウンセリング機能を集約。ソファや椅子を配し、落ち着いた環境での相談も可能にした。来店客はアクティブゾーンとリラックスゾーンを行き来しながら、「動」と「静」の循環を体験できる仕組みだ。新規客や訪日客の需要も見込み、売れ筋商品を一目で確認できるランキングディスプレイも導入した。

オープニングキャンペーンでは、同フロアに出店するスペイン発のサステナブルファッションブランド「エコアルフ(ECOALF)」と連携。10月16日までの期間中、両店舗で3万円以上購入した客にダブルネームのロールバッグを進呈する。

衣川沙織「アスレティア」コミュニケーション マネジャー 兼 CXM/EC マネジャーは「サステナブルなブランドは業種ごとに分断されがちで、同じ価値観を共有するブランド同士が集まる機会は貴重。今回の取り組みは長い時間をかけて対話を続けてきた結果であり、相互送客を通じて高輪の盛り上げにつなげたい」と話す。

「アットアロマ」都内最大級の売り場 
ニュウマン高輪の香りを監修・販売

アロマ空間デザインや香りのブランディングを手掛けるアットアロマは、9店舗目となる新店をオープンした。都内最大級の売り場面積を確保し、オリジナルアロマを調合できる「アロマオイルブレンダー」(10mL、5720円)のほか、体験型ワークショップも展開する。

同社は今回、商業施設「ニュウマン高輪」館内で演出されるオリジナルアロマも監修した。テーマは「街の100年の歴史と未来をつなぐ架け橋」。古来から親しまれてきた原料と新しい素材、日本と西洋のエッセンスを組み合わせ、新しい感覚を呼び起こす香りに仕上げた。秋冬向けの「#01」と、2026年春に登場予定の春夏向け「#02」の2種類を用意。South館・North館のエスカレーター付近で季節ごとに香りを演出する。「#01」はヒノキ、ヒバ、クロモジなどを配合したウッディーハーブ系の香りで、限定商品としても販売する。

また、同館内のアパレル「マルティニーク」や三菱UFJ銀行の店舗空間にも独自の香りを提供。ブランド体験を「五感」から支える取り組みを強化している。

ブランドコミュニケーションズ担当の富樫茉由氏は「香り市場は拡大しており、アロマに関心を持つお客さまが増えている。男性を含め幅広い層が訪れており、気軽に香りを楽しんでいただける場にしたい」と語る。

「ノーズショップ」は迷路のような空間
初上陸2ブランドをお披露目

「ノーズショップ」の出店は、14店舗目となる。売り場面積は既存店の中でも中間規模に位置づけられ、56ブランド・約600アイテムを取りそろえる。

同フロアには「クラークス」や「モスコット」、「アー・ペー・セー」などユニセックスブランドが並び、ビューティ関連の出店は同店のみだ。来店客の約4割を男性が占めることもあり、「性別を問わず立ち寄りやすい店づくり」(中村会里ノーズショップマーケティング部 部長)を意識したという。

今回の出店にあわせ、2024年に創設された日本初上陸の2ブランドを先行販売する。一つは、フランス発の「ヘレニスト(Hellenist)」。地中海やギリシャ神話をモチーフにした香水4種とキャンドル4種を展開する。

もう一つは、同じくフランス発の「ネイド(Neydo)」。夢の中で香りを感じる人々を「オルファクトリー ドリーマー」と呼び、その世界観を表現した香水8種をラインアップする。

【別視点】トイレも必見

ちなみに、ニュウマン高輪のトイレをリサーチ。ビューティショップが多く入居するサウス4階フロアのトイレは、バリアフリートイレや男女共同トイレがあり、着替えに便利な広い個室も完備。トイレにも細やかな配慮が行き届いている。

ニュウマンの新宿や横浜と同様に、トイレの便器はTOTO製、洗面台は「ダイソン(DYSON)」の蛇口一体型のハンドドライヤーを導入。内装やトイレマークはフロアごとに異なり、細部にまでこだわる姿勢がうかがえる。

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