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「マウジー」11年ぶりのリブランディング アジアで一番ジーンズが集まるアパレルブランドへ

バロックジャパンリミテッドの「マウジー(MOUSSY)」が9月にリブランディングする。従前からの強みであるジーンズをコアに、さらに尖らせた商品構成へ一新する。低迷する業績の浮上を期し、2025-26年秋冬の売り上げは前年同期比7%増を目標に掲げる。

不調の今こそ原点に立ち返る

「マウジー」は、コロナ禍を境に売り上げが低迷している。25年上半期は“MVS フレアパンツ”のヒットもあり復調傾向にあったが、それでもコロナ前の18年の水準には達していない。野村千尋「マウジー」事業部長は「客単価は上がってはいるが、客数が減ってしまった。特に実店舗が深刻」と悔しさを滲ませる。

「テイストが迷走してしまった。顧客にとっても新客にとっても、『マウジー』らしいと思えるデザインができていなかった」。新客に好評だったロゴ物の投入数を増やしたが、顧客には子供っぽいデザインと映ってしまった。一方、ロゴ物以外で新客にリーチできる商材がなかったのも事実だった。

社内に「変わらなきゃ」という思いが伝播していった。25周年を好機と捉え、11年ぶりの大掛かりなリブランディングに踏み切った。

リブランディングに当たって、「マウジー」らしさを徹底議論した。その中で多くの声が上がったのはやはりジーンズだった。「25年間ブレずにこだわり続けたもの。デニムブランドにも劣らない品質とデザインだと自負している」。この誇りを「アジアNo.1ジーニング(=Jeaning、ジーンズ文化の意味)コレクティブ」と明文化し、今後の指針とした。

ブランドの“誇り”をより多くの人へ

具体的な方針として、ジーンズの商品構成比率をさらに高める。「どんなお客さまが来てもお気に入りのジーンズが見つかるようにする」ため、スキニーやワイド、テーパードやバレルなど、あらゆるシルエットをそろえる。元々ジーンズの型数が多い「マウジー」だが、25-26年秋冬は前例にないほど品ぞろえを充実させる。

「ジーンズはどの世代からも愛される定番アイテム。だからこそ、幅広い世代に届けたい」。世代別の著名人3人を起用したキャンペーンビジュアルがその思いを可視化する。ゆくゆくは、25年プレスプリングをもって休止した「マウジー」の大人向けブランド「ブラックバイマウジー(BLACK BY MOUSSY)」のファンをも取り込めるような、こだわり抜いたジーンズも開発できたらと話す。

一方、ジーンズと相性のいいアイテムの開発にも意欲的だ。「ジーンズは『マウジー』だが、ベルトやシューズは他のブランドというケースをよく見てきた。でも、『マウジー』のジーンズを一番美しく見せられるのは『マウジー』のアイテム。そんな意識を持ってデザインに励みたい」(石橋デザイングループ長)。

ブランドロゴも11年ぶりにリニューアル

リブランディングに合わせ、ブランドロゴも刷新する。従来のロゴと比較し、より視認性が高いデザインにした。白と黒の中間色である光沢感のあるグレーカラーで、年齢やカルチャーなど、あらゆる境界線を越える「マウジー」のアティチュードを示す。

リブランディングを祝し、「ザ シェルター トーキョー(THE SHEL'TTER TOKYO)」東急プラザ表参道「オモカド」店の地下1階で、ポップアップを開催する予定。限定アイテムなども用意しながら、新生「マウジー」のお披露目の場にする。ルミネエスト新宿店とルミネ北先住店の店舗リニューアルも進行中で、ジーンズ用の棚を拡充するなど、リブランディングの内容に合わせて生まれ変わる。

「ジーンズは世代だけでなく国境も超える存在」。アジアを端緒としたグローバル展開も視野に入る。8月時点で取り扱い店舗が150店以上ある中国に加えて、韓国での存在拡大を図る。まずはポップアップの開催を通じて感触を確かめながら、実店舗のオープンも検討していく。「(メインターゲットである)20代の女性は、韓国トレンドに敏感。韓国市場で得た反響は日本市場にも還元される」(野村事業部長)と相乗効果を期待する。

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