PROFILE:(なりた・さいもん)2010年生まれのハイパーメディアクリエイター。10歳頃から映像作品の制作をはじめ、構成、撮影、編集を一人で行う。これまでに150以上の作品を制作。将来の夢は映画監督
成田博昭/ビンテージ家具販売(右)
PROFILE:(なりた・ひろあき)stool代表。ビンテージ家具を販売して20年。今は無き伝説の日本初ビンテージ家具のオークションハウスを主宰。グラノーラ店などを手掛け、2022年にビンテージ家具の販売を再開
1969年から99年までの「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」の服を、父が集め、息子が撮った。100部限定・非売品として制作されたそのアーカイブ写真集は、記録であり、研究であり、家族の物語でもある。ビンテージ家具輸入業・成田博昭さんと14歳の息子・才紋さんが福岡の地で形にした、静かで壮大な“ギャルソン研究”の軌跡を追った。(この記事は「WWDJAPAN」2025年7月28日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
福岡県うきは市。元銀行の建物を改装した自宅兼スタジオで、一冊の特別な本が生まれた。そこに収められているのは、1969年から99年までの「コム デ ギャルソン」のアーカイブ。約800点に及ぶコレクションが、300体ほどのコーディネートにまとめられ、時には近所に住む60代のギャルソンラバーや、まだあどけなさの残る少女がモデルを務めながら、標本のように精緻な写真で記録されている。
この本を制作したのは、ビンテージ家具の販売を手がける成田博昭さんと、14歳の息子・才紋さん。部数はわずか100部。流通に乗せず、知人や関係者にのみ配るために制作された完全非売品だ。1年をかけて完成したその一冊は、父の探究心と、息子のクリエイティブが結晶した情熱の記録でもある。
「800万円を一日で」
成田さんはビンテージ家具の販売を通じて、これまで倉俣史朗や坂倉準三といった日本のデザイナーを海外に紹介してきた。「でも、家具はもう出尽くした感があって、第一人者にはなれないと感じた」と語る。次なる研究対象を模索していたとき、かつて川久保玲の手がけた家具をコレクションしていたこともあり、自然と関心が向いた。「文献を読んでも分からない。だったら実物を見よう」。そう決意し、50年超に及ぶブランドの歴史の中から、69年〜99年に的を絞り、収集を開始した。コレクションをスタートすると決めたその日、国内外のオークションサイトなどで、1日に800万円を使ったという。服を買う理由は、所有するためではなく理解するため。「物欲ではなく、川久保玲の思考を集めている」と語るその姿勢は、家具時代から変わらない。
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