PROFILE: ジョナサン・アンダーソン/「ディオール」アーティスティック・ディレクター

ニュースラッシュは9〜10月のウィメンズ・ファッション・ウイークだが、2026年春夏シーズンは、メンズでも注目のデザイナーがブランドに新たな風を吹き込んだ。一番の注目株は、史上初めてメンズとウィメンズ、オートクチュールの全権を担うジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)の「ディオール(DIOR)」。シンボリックなクチュールではなく、今後を予感させるメンズでのデビューは新しい。海外ブランドのように新たなデザイナーに未来を託した「カラー(KOLOR)」も注目だ。(この記事は「WWDJAPAN」2025年7月7日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
「ディオール」
ムッシュ・ディオールとジョナサンの融合
貴族服とディオールのシルエットが日常着に
ファースト・コレクションは、ジョナサンと「ディオール」の出会いの序章だ。ファーストルックのバー・ジャケットは、ジョナサンが育った英国の伝統素材のツイード製。ボトムスには、「ロエベ(LOEWE)」時代を思い出すラッパスイセンのようなシルエットのカーゴパンツを選び、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)が生み出したドレスのプリーツをプラスした。ショー会場に選んだアンバリッドに眠るナポレオンのようなジャケット、色も丈感もクリスチャン・ディオールのアーカイブ由来するニット素材のマント、そして連打したチョウのようなボウタイなどで表現する貴族的なスタイルを、ジョナサンらしく現代的なデニムやカーゴパンツ、ライン入りのソックスやスニーカーなどでカジュアルダウン。インナーには、アイルランドの西で生まれ、家族や村ごとに異なる模様が存在するというアランニットから生まれたケーブルニットを選んだ。ディオールが愛した花模様の刺しゅうをあしらいながらカラフルに仕上げ、ボウタイ付きのプリーツシャツにシルクストールという高貴な出で立ちの肩にかける。ハンティングジャケットのような生地感のトレンチコートには、背面に無数のプリーツを仕込んだ。「ロエベ」のころにたびたび登場した、驚きのシルエットは少ない。これまでの「ディオール」には欠かせなかった絢爛豪華な刺しゅうに至っては、正直皆無だ。それでも、自身のスタイルコードと「ディオール」のメゾンコードは見事に交差することを証明した。
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