「ものを売れないインフルエンサーは生き残れない」 現役東大生が考えるライブコマースの未来

ECインタビュー

2018/1/21 (SUN) 11:00
井手康貴Flatt社長/1996年、東京生まれ。東京大学の現役学生。独学でエンジニアリングを習得し、メルカリで経験を積んだ後、17年5月にライブコマースビジネスのための会社Flattを立ち上げた。7月から開発を続け、10月にライブコマースアプリ「ピンクル」をローンチした。取材時につけていた目を引く時計は、お気に入りの「シャイノラ(SHINOLA)」のもの。なんと俳優・小栗旬からもらったもので、大事な日にだけつけているのだそう

 東京大学の現役学生、井手康貴が社長を務めるFlattが2017年、ライブコマースアプリ「ピンクル(PinQul)」をローンチした。Flattは井手社長を含む東京大学の学生らを中心に、平均年齢20歳の精鋭チームで作られた新興企業で、立ち上げにはフリークアウト・ホールディングスの佐藤裕介・社長や中川綾太郎・元ペロリ社長らを引受先とする第三者割当増資を実施し、出資を募った。ローンチした「ピンクル」では、KOL(キー・オピニオン・リーダー)と呼ばれる影響力を持つユーザーが私物や既存ブランド、KOL自身が手掛けるプライベートブランド「P.Q バイ ピンクル(P.Q BY PINQUL)」の販売などをライブ配信形式で行う。KOLと消費者をつなぐプラットフォームを立ち上げた若き経営者が考える、ライブコマースとアパレルの未来とは。

WWD:なぜ、ライブコマースを事業化しようと考えたのですか。

井手康貴・社長(以下、井手):以前「日本人はもっと危機感を持ってほしい」というブログを書いたのですが、そこでも述べたように、日本という国は衰退の一途をたどっていて、それはアパレル業界も同じです。そして、ECサイトは今の時代に欠かせない販路ですが、今のECモールは大企業や在庫を多く持つブランドに有利なようにできています。そのために、小規模なブランドや個人デザイナーがいいものを作っていても、売ることができないんです。そんな中で、ライブコマースは個人で販売ができる、平等に戦える場所だと思いました。当社は、いいものを作る小規模ブランドに販売できる場所を提供することが目的です。多くのアパレルブランドが経営に苦しむ時代に、既存の仕組みを変えたいという思いを持って、事業を始めました。

WWD:ローンチ後の状況は?

井手:改善点がいろいろと見えてきたこともあり、絶賛チューニング中です。まだまだ売り上げを取りに行く段階ではないですが、1回30分のライブ放送で毎回20万円近くの売り上げを出すKOLもいます。これまでECでは高いものが売りづらいというイメージがあったのですが、ライブコマースでは高単価の商材も売ることができるのではないか、と感じています。ライブ配信では発信者の人柄が見えて信頼度も増す上、起伏のないECモールとは違って“今買わなければなくなってしまう”という購入のモチベーションにもなるようです。

WWD:私物販売や提携ブランドの販売、プライベートブランド(PB)とさまざまな商材がありますね。

井手:私物販売は今後、縮小する予定です。提携ブランドの販売に関しては、現在マークスタイラーをはじめ数十ブランドを扱っていますが、今後も広げていきたいと思っています。もっとも注力するのはPBで、現在4人のKOLが手掛ける4つのブランドを販売しており、開始1カ月で6回ライブ放送をしたのですが、すでに数百万円を売り上げました。

WWD:PBといっても、従来の概念とは少し異なるように感じます。

井手:われわれが考えるPBは、KOLが本当にほしいと思う洋服を、工場と直接取引をして生産するというものです。既存のアパレル製造とは異なる製造工程で、原価7割・小ロットでも利益が出ます。現在は4人がそれぞれ作りたい洋服を作り、製品化するためにもPBには共通して「P.Q バイ ピンクル」というタグをつけているという感じです。ですので、ブランド名が重要なのではなく、それぞれのKOLが作る世界観こそが売りだと思っています。

WWD:異なる商品に共通のブランド名、これまでにはない考え方ですね。

井手:今のアパレルが売れない1つの要因は、消費者のニーズをつかんでいないことだと思います。消費者に向けて、ではなくバイヤーに向けて洋服を作っている。今韓国のブランドが好調な理由は消費者のニーズを忠実に汲み取っているからだと思うんです。かといって、消費者一人一人のニーズは実現できません。だから、そのニーズを汲み取る代表がKOLなんです。彼女らのライフスタイルに憧れる消費者に対して、KOLがデザインするものを販売する。これが1つのマーケットとして、新しいPBの形になっていくと考えています。

WWD:そもそも、KOLとはどういう人を指すのですか。

井手:KOLは、いわゆるSNSのフォロワー数が多いインフルエンサーではありません。ファンからの信頼を得て、実際にものを売ることができる人です。当社でも数万人のフォロワーがいても全く商品が動かない人もいるし、一方で2000人しかフォロワーを持たずにどんどん洋服を売っていく人もいます。今後はフォロワーではなく、この“販売力”のようなものを可視化して基準値にしていきたいと思います。中国では医者がライブチャットで患者の悩みに答え、医療品を紹介するというライブコマースもあって、医師ですらKOLになる時代です。ものの背景に加えて紹介する人への信頼によって、高いものがきちんと売れる時代が来るんじゃないかと思います。

WWD:どのくらいのKOLがいますか?

井手:現在は紹介などをもとに集めた約40人が配信をしています。彼女らは本当に服が好きで、知識も相当あります。実際にコミュニケーションをしていると、本当に好きでやっているかどうか、伝わるものです。その点もKOLとして非常に重要なポイントで、今後フォロワー数を抱えただけの中途半端なインフルエンサーはいなくなるはずです。

WWD:今後、目指すべき場所は?

井手:10年以内に、国内最大手のプラットフォームになることを目指します。ファッションEC最大手といえば「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」で、非常に尊敬をしていますが、打倒「ゾゾタウン」を目標に、規模を拡大していきたいです。

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