同社によると、ユニフォーム市場は約5000億円規模。このうち企業ユニフォームは約3500億円を占める。枚数ベースでは年間約1億3000万枚が流通するが、回収は約90万枚にとどまり、回収率は1%未満だという。本サービスは未整備である循環の仕組み作りに切り込むこととなる。水越雅己三栄コーポレーション社長は17日に都内で開いた会見で、「環境への取り組みは理想論だけでは続かない。企業として収益性や将来性を持ち、継続できるものであることが本当の意味でのサステナブルである」と述べた。
OEM基盤を生かした統合設計
三栄コーポレーションは生活用品を扱う商社で、事業の約7〜8割をOEMが占める。素材調達から製造工程まで関与してきた体制を生かし、原料段階から設計する循環モデルを構築した。
同社は2017年頃から、衣類などのケミカルリサイクルを手がけるジェプラン(JEPLAN)と素材開発を進め、2019年に正式パートナーとなった。また2021年には、無水染色(原着)技術を展開する中国の「イー ダイ(e.dye)」と日本市場でのパートナー契約を締結している。山田敦三栄コーポレーション服飾雑貨事業部服飾雑貨第3部チーフマネージャーは「両社との連携により素材のピースがそろった。原料段階からコントロールできる体制があった」と説明する。具体化を決めたのは昨年初頭で、既存ラインにリサイクルペレットを投入する形で実装を進めた。
「グリーン ユニフォーム」では、「イー ダイ」の原着技術を採用する。ポリエステルチップ、ペレットの段階で着色するため、従来の後染め工程を省略できる。これにより水使用量、化学薬品使用量、CO₂排出量の削減が可能となる。糸断面まで着色されるため、耐久性や色堅牢度にも特徴がある。原料にはジェプランのケミカルリサイクルによるリサイクルポリエステルを使用する。使用済みユニフォームを回収し、化学的に分解して再び原料化する。製品はモノマテリアル設計を採用し、回収後の分別工程を簡略化した。また、製品にはQRコードを付与し、1着あたりの水使用削減量やCO₂排出削減量などを可視化する仕組みを組み込む。
価格は従来品の約1.4〜1.5倍
デザインには企業向けユニホームを手掛けるデザイン集団ハイドサンなどが入り、個別ニーズに応える。価格は一般的な企業ユニフォームと比較して約1.4〜1.5倍となる。背景には、リサイクルポリエステル原料の使用、原着加工による素材コスト、単一素材設計への対応、環境負荷算出システムの導入、さらに回収・再資源化スキームの組み込みがある。単なる製品販売ではなく、循環インフラを含めた設計である点が従来品との違いだ。
会見ではパートナー企業および導入企業が登壇した。坂口真生GENERATION TIME代表取締役/エシカルディレクターは「理想論ではなく、設計から回収・再生までの循環スキームを提示している点に構造的価値がある」と評価。「ユニフォームは企業の顔であり、この仕組み自体が経営戦略の一部になり得る」と述べた。岩元美智彦ジェプラン会長は「30年環境に携わってきて、ようやく理想形に近いスキームが見えてきた。国内だけではもったいない。ユニフォームから一般ファッションへも広げていきたい」とコメントした。
導入企業からは、井上由貴ソルト・グループ取締役未来文化・ブランド戦略責任者、増本良枝OSGコーポレーション執行役員営業副本部長、松沢一輝Fast Fitness Japan執行役員営業副本部長(直営・物販担当)が登壇した。Fast Fitness Japanは24時間型フィットネスジム「エニタイムフィットネス」を中核に全国約1200店舗を展開し、約6000人規模のスタッフを抱える。同社の松沢一輝執行役員営業副本部長(直営・物販担当)は、「環境負荷削減効果を数値で確認できる点が導入の決め手の一つである」と述べる。
三栄コーポレーションは本サービスで事業規模10億円の達成を目標に掲げる。耐久性や回収スキームを含めた総合設計とはいえ、企業ユニフォームはコスト管理の対象になりやすい領域である。理念やブランディングの文脈を超えて、実務レベルで採用が広がるかが試される。