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独ECザランドがソーシャル・デリバリーを試験運用 個人宅を受け渡し場所に

 ドイツ発のファッションEC企業ザランド(ZALANDO)は、個人宅を荷物の引き受けと受け取り場所にする新たな配送システムのテスト運用をデンマークで開始した。このプログラムは7月から同国の郵便企業ポストノード(POSTNORD)との提携で、コペンハーゲンとオーフスの2都市の一部で実施。同エリアの住民50人が、デンマーク語で“あなたの隣人”を意味する「ディン ネボー(DIN NABO)」または「ユア ネイバー(YOUR NEIGHBOR)」と呼ばれるプログラムのコミュニティーに参加しており、ザランドは受け取りや返品の場所をその中から指定し、注文をまとめてより少ない住所に送って効率のよい配送ルートを作ることで、ECの最後の砦ともいえるロジスティクスの負担を軽減する。新たなシステムで顧客に利便性を提供し、かつ二酸化炭素排出量の削減も目指すという。

 同社の予備調査が示した配送地点決定の最も重要な基準は、近接性、営業時間、アクセスしやすさの3点。今回のテスト運用を通して95%の顧客がプログラムを高く評価しており、その理由について顧客は自宅や職場に近いから(85%)、環境に対するメリットがあるから(57%以上)、社会に与える影響を支援したいから(42%以上)、都合のよい時間に受け取れる利便性に魅力を感じたから(15%)と回答している。なおコミュニティーの参加者は荷物を管理することでザランドから少額の手数料を受け取る。

 「ソーシャルデリバリーと返品拠点の設置はeコマース体験をシンプルにし、顧客によりよい利便性を提供できる可能性がある」と、レンコ・バッカー(Remko Bakker)=ザランド・ロジスティクス・プラットフォームサービス長は声明のなかで述べ、また「テスト運用の結果、交通量の多い都市部よりも、店舗が少なく営業時間も限られている地方の方がこのプログラムの必要性が高いようだ」とした。

 しかしながらザランドは他地域への拡大には慎重な姿勢を取っており、デンマークでは今のところ成功しているが、国や地域ごとの文化的な違いを考慮する必要があると同氏は語る。「われわれが培ってきた顧客への知見に基づいて、それぞれのマーケットで利便性のある提案を整えられるよう努めている。隣人に荷物が配達されるという方式は、ドイツやオランダでは一般的に受け入れられているが、フランスでは近隣の郵便局への配達が好まれる。デンマークの顧客にとっては好ましいソリューションだということだ」。

 同社は10月いっぱいまでプログラムの評価を続け、他地域への進出可否と時期について判断する。

大根田杏(Anzu Oneda):1992年東京生まれ。横浜国立大学在学中にスウェーデンへ1年交換留学、その後「WWD ジャパン」でインターンを経験し、ファッション系PR会社に入社。編集&PRコミュニケーションとして日本企業の海外PR戦略立案や編集・制作、海外ブランドの日本進出サポート、メディア事業の立ち上げ・取材・執筆などを担当。現在はフリーランスでファッション・ビューティ・ライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を行う。