ファッション

独EC大手のザランドが実店舗オープン ビューティに特化

 ドイツ発のファッションEC企業、ザランド(ZALANDO)は7月28日、ビューティに特化した初のコンセプトストア、ザランド ビューティ ステーション(ZALANDO BEAUTY STATION)をベルリン中心部のミッテ地区にオープンした。同店は、ドイツ国内に4つあるアウトレットを除き、定価製品を扱う初の実店舗になる。約160平方メートルの店内では、スキンケアとメイクアップを中心に、ボディーケア、ヘアケア、フレグランス、マニキュアなど幅広いアイテムを取りそろえる。

 同店で現在扱っているのは、53ブランド。入口付近でポップアップイベントを行っている「M・A・C」をはじめ、「エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)」「クリニーク(CLINIIQUE)」といったエスティ ローダー グループ傘下のビッグブランドは、今回の出店を機にザランドのECサイトでの販売もスタートした。加えて、世界各地のよりニッチなブランドを数多くそろえているのが特徴だ。

 ラインアップは、韓国の「ビレッジ イレブン ファクトリー(VILLAGE 11 FACTORY)」や「ベリサム(BERRISOM)」、英「ピクシー(PIXI)」、アイルランドの「ペストル&モルタル(PESTLE & MORTAR)」、ノルウェーの「スプレーケンフース(SPREKENHUS)」など。スウェーデンの「ラ・ブルケット(L:A BRUKET)」や独「アイ ウォント ユー ネイキッド(I WANT YOU NAKED)」といったオーガニックやナチュラル系のブランドも多く、アイスランドの「バイオエフェクト(BIOEFFECT)」や英「ロディアル(RODIAL)」などのプレミアムブランドも扱う。ただし、クラウディア・レス(Claudia Reth)=カテゴリ・ スペシャルティーズ(プレミアム、ビューティ、キッズ)担当バイス・プレジデントは「店内で取り扱う製品は、頻繁に入れ替える予定」だと話す。

 ロケーションは、感度の高い若者に人気のヴァインマイスター通り(WEINMEISTERSTRASSE)。近隣には多くのファッションやビューティブランドの店をはじめ、レストランやカフェが軒を連ね、左隣には「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」が店舗を構える。白とグレーを基調にした店内は、無機質でミニマルなデザインが印象的。什器の大半は可動式で、ポップアップイベントなどに対応できるようになっている。全身が映るほどの大きな鏡があるのも、ファッションを専門とするザランドらしいポイントだ。

 また、製品が際立つように並べられたディスプレーにはブランドや製品の情報がなく、それぞれのブランドの横に置かれたコードをスマートフォンでスキャンすることで、詳しい情報にアクセスするようになっている。さらに、店内には大きな洗面台やテーブルを備えるとともに、大半のアイテムのテスターを用意。「試してから買いたい」というニーズに応える他、メイクレッスンやタッチアップなどのさまざまなサービスを提供していく。

 同社は今年3月末、ECサイト「ザランド」でビューティカテゴリーをローンチし、現在150ブランドの約5000品種を取り扱っている。約4カ月の成果について、レス=バイス・プレジデントは「われわれの売れ筋製品が他社に比べ、よりトレンドフォーカスもしくはニッチであることは、大きなサプライズだった。最初から正しい方向に進んでいるのは良い兆候だ」とコメント。

 また、サイトでのビューティ製品購入の70%は、ファッションアイテムと合わせての購入だという。その要因の一つとして、インフルエンサーを起用して取扱製品をコーディネートで紹介するコンテンツ「GET THE LOOK」に、ビューティ製品も導入したことが挙げられ、「一つの場所でまとめて購入できることが支持されている」という。一方、ザランド ビューティ ステーションでは、対面による製品の販売とサービスを合わせることで、顧客との新しい関係性構築を目指す。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

“個”が主役の百貨店特集2024【WWDJAPAN BEAUTY付録:2023年度世界のビューティ企業TOP100】

7月22日号の「WWDJAPAN」は百貨店特集。 個人の価値観が多様化し、コロナを経てオンライン消費がますます浸透しました。百貨店という業態の存在意義すら問われる中、それでも人が集まる店の条件とは何か。決め手は、品ぞろえでも立地でもなく、情熱と個性を持った“人”の存在。百貨店が元々持っていた強みに光を当てたり、その枠を超えて新分野を開拓したりと、編集力やアイデアを駆使して売り場を面白くしようとする…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。

メルマガ会員の登録が完了しました。