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「無印良品」がアメリカで出店攻勢 2025年までに100店以上

 良品計画は、米国での「無印良品(MUJI)」の出店を加速すると発表した。2019年5月現在では18店を構えるのみだが、25年までに100店以上を目指すという。

 同社の秋田徹・海外事業部米州担当営業担当部長は、「ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ポートランドに追加で出店するとともに、ワシントンD.C.やシカゴ、フィラデルフィア、シアトル、オースティン、マイアミでも立地を選定しているところだ。また、事業拡大に伴いフォーマットも変えていく。現在、店舗の売り場面積の平均は740平方メートル程度だが、これを1850~2300平方メートルに拡大する」と語った。「これによって家具やキッズウエアなど今まで取り扱っていなかった製品も置けるし、日本、韓国、香港、中国、シンガポールで展開しているレストラン『MUJIダイナー(MUJI DINER)』を北米でもオープンできる可能性が出てくる。当社はインテリアブランド『イデー(IDEE)』も運営しているが、売り場が広くなればこうしたライフスタイル製品も展開できる」。

 良品計画はホテル業にも進出しており、18年1月には中国・深圳に、6月に北京に、そして19年4月に東京・銀座に「MUJIホテル」をオープンしている。同氏は、「北米にもホテルをオープンする。西海岸を予定しており、22~23年には場所が決定すると思う」と述べた。

 なお、良品計画の19年2月期決算は売上高が4096億円で、うち海外事業は1634億円と39.9%を占めている。北米事業は143億円と全体のおよそ3.5%程度だ。同氏によれば、「無印良品」の売上高の90%以上がアジア地域におけるものであり、米国市場に大きな可能性を見出しているという。しかし、日本の小売りは米国であまり成功を収めているとは言えない。同ブランドの競合である「ユニクロ(UNIQLO)」も、主要な都市圏以外では苦戦を強いられている。両者の最大の違いは、「無印良品」が流行に左右されることの多いアパレルだけではなく、文具や化粧品、寝具や食器、収納用品、日用雑貨、食品などの多様なアイテムを取り扱っている点だろう。

 米国の小売りが実店舗からECにシフトしている中、「無印良品」が出店攻勢をかけようとしている理由について同氏は、「われわれはすでに29カ国に進出しており、世界中で人気がある。旅先で店舗を訪れてなじみがあるというアメリカの消費者も多い」と話したが、やはり米国での認知度をさらに上げる必要があるだろう。また「無印良品」が米国で大きな利益を上げていない理由については、「出店に積極的なことが原因の一つ。既存店ベースでは黒字になっているが、その分を新規出店に回している。ポートランドの新店など、最近は大型店を中心にオープンしていることもある。1年以内に利益を出す店もあるが、平均すると2年半程度かかる」と説明した。一方で米国内でのECについては、「ECは米国事業の7%弱にとどまっているが、25年までに25~30%に引き上げたい」と述べた。

 米国内で最も客足数が多い「無印良品」は、ニューヨーク・マンハッタンの大規模な再開発プロジェクト「ハドソンヤード(HUDSON YARDS)」の商業施設内にオープンした店舗で、売り場面積は930平方メートル。7月4日にオープンした「無印良品」マンハッタン59丁目店は2層構造で、売り場面積が1200平方メートルと全米で2番目に大きな店舗だ。同店は米国内で唯一キッズウエアを取り扱っているほか、マグカップや木工品をレーザー加工でカスタマイズできるコーナーがあり、インテリアや収納のアドバイスが受けられるサービスも提供している。ほかにも、「バラエティー コーヒー ロースターズ(VARIETY COFFEE ROASTERS)」と提携したコーヒースタンドを併設するなど既存店とは違う試みがなされているが、店舗の雰囲気は世界中で一貫している。シンプルで、穏やかなアーストーンでまとめられており、カテゴリーごとに壁で区切られていない売り場は自然と“ついで買い”を喚起するようになっている。

 同氏は、「東京で1983年にオープンした第1号店から、基本的なコンセプトは変わっていない。石や古材などの自然素材を使用した、シンプルなデザインだ。製品も同様で、ユーザーのライフスタイルに無理なく溶け込むように作られている。『無印良品』は、いわゆるブランド物へのアンチテーゼとして設立された。ブランド名やそのロゴに対してではなく、品質や機能性に注目してほしいという思いがその名前に込められている。とてもユニークな“ブランド”であり、世界でも似たビジネスモデルはあまりないと思う」と語った。