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「カルティエ」を擁するリシュモンの18年度は増収増益 日本も17%増収

 コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)の2019年3月期決算は、売上高が前期比27.0%増の139億8900万ユーロ(約1兆7206億円)、営業利益が同5.3%増の19億4300万ユーロ(約2389億円)、純利益は同128.2%増の27億8700万ユーロ(約3428億円)の増収増益だった。

 なお、18年5月に完全子会社化した大手EC企業ユークス ネッタポルテ グループ(YOOX NET-A-PORTER GROUP以下、YNAP)と、同6月に買収した高級時計の2次流通会社ウオッチファインダー(WATCHFINDER)の影響を除くと売上高は同8.0%増となる。また純利益の大幅な増加は、主にYNAPを完全子会社化する前から保有していた同社株式の再評価により、税引き後の含み益が13億7800万ドル(約1694億円)発生したことによる。

 地域別では、中東・アフリカの売上高が同8.5%増だったほかは、全地域で2ケタ成長を記録。南北アメリカが北米の堅調な需要により同41.2%増の25億5100万ユーロ(約3137億円)となり、ヨーロッパは同36.4%増の41億1800万ユーロ(約5065億円)、日本を除くアジア太平洋地域は中国や韓国で好調だったことから同20.4%増の52億4300万ユーロ(約6448億円)だった。日本も、同17.1%増の11億4800万ユーロ(約1412億円)と好調だった。

 部門別では、ジュエリー部門の「カルティエ(CARTIER)」や「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」が引き続き好調で、売上高は同9.7%増の70億8300ユーロ(約8712億円)と業績に貢献した。ウオッチ部門も各ブランドが売り上げを伸ばし、同9.8%増の29億8000万ユーロ(約3665億円)だった。

 ヨハン・ルパート(Johann Rupert)=リシュモン会長は、「北米とアジア太平洋地域の主な市場で2ケタ成長となるなど、ほとんどの市場で好調な業績を上げることができた。19年は移行と統合の年になるだろう」と語った。

 YNAPとウオッチファインダーはいずれも2ケタ成長を記録し、リシュモン傘下となってから1年以内に合計でおよそ21億ユーロ(約2583億円)の売り上げとなっている。しかし一方では、無形資産償却分の1億6500万ユーロ(約206億円)を含む2億6400万ユーロ(約324億円)の営業損失を計上。ブルクハルト・グランド(Burkhart Grund)=リシュモン最高財務責任者は、「EC事業を軌道に乗せるには投資が必要であり、これらは想定の範囲内だ。現在、『クロエ(CHLOE)』と『アズディン アライア(AZZEDINE ALAIA)』のEC事業をYNAPで請け負っているが、それをほかのブランドにも拡大していくため、中期的に費用がかかるだろう」と述べた。

 リシュモンはEC事業の拡大に取り組んでおり、18年10月にはYNAPが中国のEC最大手であるアリババ(ALIBABA)と戦略的パートナーシップ契約を締結。YNAPが運営するECサイト「ネッタポルテ(NET-A-PORTER)」と「ミスターポーター(MR. PORTER)」の取り扱い製品を中国の消費者や観光客に幅広く届けるため、今年度中には合弁会社を設立し、それぞれのモバイルアプリを発表するという。ITインフラ、マーケティング、決済、物流などはアリババが提供する。また、両ECサイトはアリババの完全招待制のラグジュアリーECサイト「ラグジュアリー パヴィリオン(LUXURY PAVILION)」にも出店する。ジェローム・ランバート(Jerome Lambert)=リシュモン最高経営責任者(CEO)は、「野心的な試みだが、アリババと緊密に連携しており、順調に進んでいる。各ブランドの積極的な協力の下、在庫や物流などの調整も順調だ」とコメントした。

 激しさを増す米中貿易戦争の影響や中国市場の動向について、シリル・ヴィニュロン(Cyrille Vigneron)=カルティエCEOは、「中国本土での売り上げが成長しており、中国市場全体でも前期比16%増と好調だ。中国政府が景気対策として大型減税を実施していることから、ラグジュアリー製品の中国国内での消費が伸びている。しかし為替の動きや貿易戦争が今後どうなるかによって、消費者の楽観ムードが下降する可能性も考慮しておくべきだろう」と警告した。