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「ゼニア」18年の売上高はほぼ横ばい 日本などアジアは好調

 エルメネジルド ゼニア グループ(ERMENEGILDO ZEGNA GROUP以下、ゼニア)の2018年12月期決算は、売上高が前期比1.6%減の11億6000万ユーロ(約1450億円)、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は同0.7%増の1億4300万ユーロ(約178億7500万円)、純利益は同3.6%増の3400万ユーロ(約42億5000万円)だった。なお、現地通貨ベースでの売上高は同0.4%増だった。

 ジルド・ゼニア(Gildo Zegna)最高経営責任者(CEO)は、「業績を楽観視していたが、世界経済の全体的な減速や為替の変動、そして主に中国人観光客がアジアでの購入に移行したことによって欧州と米国で需要薄となった」と語った。

 ゼニアは輸出の割合が高く、18年は売上高の90%がイタリア国外でのものだった。中国語圏の割合については開示されなかったが、売上高の50%以上をアジア地域が占めており、中でも中国は重要な市場だという。それを裏付けるように、同社は4月に中国EC企業のアリババ(ALIBABA)が運営する完全招待制のラグジュアリーECサイト「ラグジュアリー パヴィリオン(LUXURY PAVILION)」にオンラインストアをオープンした。

 同社は16年に自社ECサイトを中国で開設し、17年に同国のメッセンジャーアプリ「ウィーチャット(WECHAT)」内にポップアップストアを出店。18年には、サッカーの中国代表チームと協業したカプセルコレクションを「ラグジュアリー パヴィリオン」で発売している。今回の提携により、“エルメネジルド ゼニア トリプルエックス(ERMENEGILDO ZEGNA XXX)”コレクションに加えて、メンズウエア、レザーグッズ、アクセサリーなど1000点以上のアイテムがECで購入可能となった。同サイトの限定商品も用意するという。ゼニアCEOは、「当社でもオムニチャネルを展開していたが、デジタル志向の顧客が多い中国市場に本格的に参入するにあたって適切な相手と提携したいと考えた。これが初提携となるが、『ラグジュアリー パヴィリオン』は招待制の限定プラットフォームであり、大いに期待している」とコメントした。

 中国ではECに加えて成都と厦門に新店をオープンする。中国以外では日本、韓国、ロシア、カナダが好調で、今後はタイ、インドネシア、シンガポール、マレーシアなども強化していくという。2月にはニューヨーク・マンハッタンに旗艦店をオープンしているが、今年中にニュージャージーとトルコのイスタンブールにも新店を開く予定だ。

 なお、ゼニアは「トム ブラウン(THOM BROWNE)」を18年8月に買収しているが、同年度の決算には組み込まれていない。ゼニアCEOは、「現在の市場は、パーソナライズすることやカジュアルライン、デジタル化、そしてスニーカーを含めたアクセサリー類に人気が偏っている。ミレニアル世代はもちろん、それ以外の世代においても着心地のよさや快適さが重視されている。19年の展望を語るには時期尚早だが、『トム ブラウン』が傘下に入ったことによって業績はいっそう力強く成長するだろう」と述べた。

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