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日本版“ストリート系モノの株式市場”が目指す「コミュニティーとCtoCサービスの融合」

 スニーカーやストリートウエアの人気が拡大し、即完売するアイテムも増える中、ヤフオクやメルカリといった二次流通市場での取り引きが増加している。しかし、従来のリセールサイトでは、異様に高騰した商品価格や、アイテムの真偽が分からないなどの問題が発生していた。米国発のオンライン商品取引所ストックX(StockX)は、取引するアイテムを正規品かどうか鑑定し、真偽の問題を解決。株式市場と同じ仕組みを用いてリアルタイムの商品価格や出来高、過去の販売データを開示し、出品者と購入者を“適正価格”で結び付けている。その「ストックXの日本版」と自らを位置付けるサービスが、2018年11月にローンチしたスニーカー、ストリートウエア特化型の売買サイト「プレマX(PremaX)」だ。「スニーカーやストリートウエアが好きすぎてサービスをローンチした」と語る同サービス運営会社プレマの本橋勇・最高経営責任者(CEO)に、サービスローンチの背景や今後を聞いた。

WWD:「プレマX」をローンチした理由は?

本橋勇プレマCEO(以下、本橋):僕自身、スニーカーやストリートウエアを好きだったことがそもそもの始まりです。大学在学中はスニーカーや「シュプリーム(SUPREME)」の発売情報をツイッターやブログで発信していて、その過程でストックXの存在を知りました。正規品を適正価格で購入できるストックXは僕を含めストリート好きには非常に魅力的だったのですが、日本人が利用するには言語の壁や送料、関税が掛かるなどハードルがありました。そこで、「ストックXの日本版を作ろう」と考え「プレマX」をローンチしました。

WWD:サービスの仕組みはストックXを踏襲している?

本橋:基本的にはほぼ同じです。「プレマX」の特徴には主に鑑定によって正規品と証明できた新品のみを扱うことや、株式市場のように入札形式で需要と供給に応じて商品の価格が変動し、適正な価格に近付くこと、そして商品の撮影や金額交渉などの手間をかけずに済むことの3つがあります。現在、ストックXとは異なり商品の“株価”の変動のチャートは入れていませんが、購入のデータがある程度溜まったら導入する予定です。

WWD:ローンチの際に苦労などはあった?

本橋:初期のユーザーの獲得は難しかったですね。とりあえずサービスを出すことも考えたのですが、周りの投資家の方から「それでは人は集まらない」と言われていました。

WWD:初期ユーザーはどのようにして獲得した?

本橋:「プレマX」のローンチをいろいろな人に知ってもらうために、スニーカー、ストリートウエア好きのコミュニティー内で影響力のあるインフルエンサー探しを起業後すぐに始めました。スニーカーの有名なメディアサイトを運営している方が中心でしたね。実際に会って熱意を伝え、「紹介してくれないか」と相談をしてきました。そのおかげでローンチ前に約5000人の事前登録者が集まり、今も毎日取り引きが行われています。

WWD:よく取引されている商品は?

本橋:「ナイキ(NIKE)」の“エア ジョーダン(AIR JORDAN)”やヴァージル(・アブロー、Vrigil Abloh)の「THE TEN」はかなり多いですね。あとは「イージー(YEEZY)」。取り引きが多い分、偽物も多く出回っていますが。

スニーカーの鑑定は「まず匂いを嗅ぐ」!?

WWD:商品の鑑定はどのようにして行っている?

本橋:僕と2人の鑑定士の方の計3人でチェックしています。ウエアに関しては比較的分かりやすいのですが、スニーカーは外見が巧妙に作られているものも多く、注意が必要です。プロセスとしてはまず匂いを嗅ぎます。驚く人もたまにいますが(笑)、特に革を使っているスニーカーなどは独特の匂いがするんです。その後素材感や中敷き、タグ、箱などの付属品を確認していきます。少しでも怪しい箇所を見つけたら知り合いのスニーカーマニアが買った正規品と比較し、判断します。最近は偽物をあえて購入して研究したり、海外のとあるサイトが有料で販売している真贋鑑定用の情報を購入したりしてデータベースを構築しています。

WWD:現在スニーカーとストリートウエアのみを扱っているが、今後商品のバリエーションを増やす可能性はある?

本橋:増やします。「プレマX」のユーザーは9割以上が男性ということもあり、今後は男性の間で価格が高騰しやすく、鑑定が必要なものは取り扱う予定です。具体的には時計を想定していて、鑑定士候補の方とも話しています。

WWD:中古品は取り扱う?

本橋:中古品も視野には入れていますが、状態によって価格が異なり“株式”としては機能しないため、「プレマX」内に別のページを設けてフリマアプリに近い形での提供を考えています。ロサンゼルス発のスニーカー売買アプリ「ゴート(GOAT)」と同じですね。

WWD:今後、「プレマX」をどうしていきたい?

本橋:CtoCプラットフォームとしてだけでなく、ストリートウエア好きの人々が集まるコミュニティーとしても機能させたいと考えています。そのためにも、今後は「日本で “本物”が“適正価格”で売買できる『プレマX』」というイメージを広めるためにアイテムバリエーションの拡充などを行っていきます。