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「ユニクロ」が最先端物流センターの内部を初公開 柳井社長が「2〜3年で世界中で全自動化を進める」

 「ユニクロ(UNIQLO)」を手がけるファーストリテイリングは10月9日、初めて東京・有明本部内の物流倉庫の一部をメディア関係者に公開した。併せて、同社が進める「有明プロジェクト」 において、物流システム・マテハン機器の世界トップメーカー、ダイフク(大阪、下代博・社長)と戦略的パートナーシップ構築を発表した。

 柳井正ファーストリテイリング会長兼社長は、これまでの生産や素材、海外展開などで企業アライアンスを組んできた実績を振り返ったのち、情報製造小売業として進化するために、最近グーグルとAIや情報面で提携したことを説明。その上で「物流では、自動車産業とともに世界で自動倉庫を作ってきたダイフクと組む。できるだけ早く、場合によっては2〜3年で世界中の倉庫を全自動化する」と語った。今回の投資額は、1物流センター当たり10億~100億円の投資金額で、全世界で1000億円規模となる。

 1973年創業のダイフクは世界23カ国・地域に生産・販売拠点を持ち、海外売上高比率が70%近い、グローバルカンパニー。物流倉庫内のマテリアルハンドリング(=マテハン、物流倉庫内での商品仕分けなどの工程)の世界トップ企業。両社は一気通貫した自動化設備を軸に生産・流通・サービスの分野で物流の合理化を推進する。

 ほぼ自動化・24時間稼働・RFIDによる自動検品率100%を実現したことなどで、省人化率は90%に(人員を9割削減)。入庫生産性が80倍、出庫生産性が19倍に飛躍的に向上。体の高さまでにとどまっていた保管庫は天井まで積むことと、保管効率も3倍になるとともに、大量保管用とスピード出荷向け保管用とを分けたことでも効率化が進んだ。今春のテスト稼働から現在までの約半年間にミスはなく、精度は100%となっている。複雑だった教育コストも80%カットとなった。オーダーから出荷までの時間は、従来8~16時間だったものが、15分から最大1時間にまで大幅短縮を実現する。

 ダイフクの下代博・社長は、「マテハンにかかわる商品を自社で開発生産するとともに、ニーズに合わせて最先端を開発するなど、一貫して、多種多様な物流ソリューションを提供してきた。2年前にファーストリテイリングに有明プロジェクトのさらなる改革の相談を受けた。世界最先端・最高の自動倉庫を開発し、未来を見据えたサプライチェーン展開をスピード感を持って世界展開していくためには、早急に立ち上げる必要があった。通常3年はかかる大きなプロジェクト。さまざまな課題を解決し、1.5年という非常に短期間で立ち上げられた」。

 「プロジェクトメンバーが一つのチームとなり、真剣に議論し、さまざまな課題をクリアした成果だ。FRは生産から販売まで自社で手掛けるアパレルの製造小売業だ。世界で情報と商品をつなげて情報小売業を掲げている。経営者がコミットし、戦略的なグローバルパートナーとして、倉庫に限らず、一緒にさまざまな変革をしていきたい。ファストリとともに汗を流し、先進の技術を成し遂げ、誰も成し遂げていない全世界での自動化を進めていきたい」と語った。

松下久美:「日本繊維新聞」の小売り・流通記者、「WWDジャパン」の編集記者、デスク、シニアエディターとして、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。「ザラ」「H&M」「ユニクロ」などのグローバルSPA企業や、アダストリア、ストライプインターナショナル、バロックジャパンリミテッド、マッシュホールディングスなどの国内有力小売企業、「ユナイテッドアローズ」「ビームス」を筆頭としたセレクトショップの他、百貨店やファッションビルもカバー。TGCの愛称で知られる「東京ガールズコレクション」の特別番組では解説を担当。2017年に独立。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)

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