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「ケンゾー」ウンベルトが映画監督デビュー ミラ・ジョボビッチやスパイク・ジョーンズら出演

 「ケンゾー(KENZO)」のクリエイティブ・ディレクターを務めるウンベルト・レオン(Humberto Leon)がショートフィルムの監督デビューを果たした。9月7日にニューヨーク・ファッション・ウイーク中に「The EVERYTHING」を発表し、現在ユーチューブ上で公開している。

 出演するのは映画「バイオハザード」シリーズなどで知られる女優のミラ・ジョボビッチ(Milla Jovovich)をはじめ、映画「X-MEN:アポカリプス」に登場したアレクサンドラ・シップ(Alexandra Shipp)やコディ・スミット・マクフィー(Kodi Smit-McPhee)らで、「ケンゾー」の2018-19年秋冬シーズンのウエアを着用。ウンベルトの友人で映画監督のスパイク・ジョーンズ(Spike Jonze)も特別出演した。

 ストーリーは超能力を持つ家族による愛と青春の物語で、約30分間。初めて映画の原案を書き、監督を務めたウンベルトに作品の背景を聞いた。

WWD:なぜ映画を作ったのか?

ウンベルト・レオン(以下、ウンベルト):約8年前から構想していたことで、長い間アイデアを膨らませてきた。パーティーの舞台は実は僕が通ったカリフォルニアの高校で、エキストラでは高校時代の友達に出てもらったんだ。登場人物のロージー、ジョージ、ボビー、シャーリー、ミミは本当に僕の友達の名前から名付けているんだ(笑)。

WWD:キャスティングが豪華だ。

ウンベルト:スパイク・ジョーンズがオススメしてくれたキャスティング会社にお願いしたんだ。ミラ・ジョボビッチは完璧な母親役を演じてくれた。みんなが知っている“スーパーヒーロー”のミラとは異なる姿を見ることができる。「X-MEN」シリーズにも登場するアレクサンドラ・シップとコディ・スミット・マクフィーの2人も素晴らしかった。実は、僕のママも出ているんだけれど、それはスパイクのアイデア。先生役のスパイクが撮影現場で、ただ撮影を見に来ただけだったママに「僕のボス役で出てほしい」と言って出演が決まったんだ。

WWD:スパイク・ジョーンズとの関係は?

ウンベルト:約12年前に俳優のジェイソン・シュワルツマン(Jason Schwartzman)の紹介で、スパイクと出会って親友になったんだ。スパイクとは「ケンゾー」でも、「オープニングセレモニー(OPENING CEREMONY)」でもコラボレーションをしたことがある。この映画を撮ろうと進めてくれたのも彼だった。

WWD:なぜ超能力を題材にしたのか?

ウンベルト:退屈な時に超能力を使えたらいいなって思うことがあるんだ。向こう側に座っている男性のコップを動かしたり、爪を急に伸ばしたり、ちょっと変なパワーがあったら面白いのになって(笑)。例えば、強盗が走って逃げていくところを見かけたら、彼が履いている靴をハイヒールに変えて転ぶ姿を想像したり、そういったアイデアを書き溜めてきたのをストーリーに入れたんだ。

WWD:劇中に登場するコレクションのデザインはどのように行った?

ウンベルト:映画を作る前提でデザインしたから、服をキャラクターにリンクさせている。例えば、ロージーはトムボーイ、シャーリーはガーリーでパステルが似合う女の子、ボビーはちょっとナードで、ママはカジュアル、ママの親友のミミはセクシーでヒョウ柄をカッコよく着こなせるといったように、それぞれの性格とスタイル、個性が出るようにしている。映画の衣装を全てデザインできることはとても贅沢なこと。しかも好きなキャラクターが着用している服を購入できるのもいいよね。

WWD:映画を観た人にどんなメッセージを届けたい?

ウンベルト:どんなことがあっても必ずあなたには家族がついている、という大切な家族の存在を忘れないでほしい。みな1人でできることもあるけれど、みんなで力を合わせれば強い力を発揮できる。

WWD:ファッションデザイナーではトム・フォード(Tom Ford)も映画監督としてキャリアを積んでいる。

ウンベルト:トムの映画は美しくてとても好きだ。僕はブランドのコレクションは物語だと思っている。だから、コレクションと映画の制作はとても似ていると気づいたんだ。将来、コレクションの表現方法として“ファッションフィルム”が増えるといいなと思う。

WWD:次回作の予定は?

ウンベルト:まだ分からないけれど、いつか長編映画にもチャレンジしてみたい。