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過去記事を使用せず「メリー」は復活できるのか

 ディー・エヌ・エー(DeNA)が8月8日、小学館と共同で新会社MERYを立ち上げる。最大の目的は昨年12月に閉鎖したキュレーションサイト「メリー(MERY)」の復活だ。具体的なめどは立っていないが、問題となった過去の記事は一切使用せず、一から全てのコンテンツを制作するという。コンテンツの作成や編集、校閲などを編集のプロである小学館が担当することで、これまでのような無断転載の常態化といった問題が起きない体制を敷く。ディー・エヌ・エーはシステム構築やネットマーケティングなどを行うが、基本的にコンテンツの責任を負うのは小学館になる。

 新生「メリー」がどのような形になるかは不明だが、小学館が編集を担うということは、キュレーションサイトではなく、一つのメディアになるはずだ。そもそも、厳密には旧「メリー」も自社で記事を作っていたので、他社媒体の記事をピックアップするキュレーションメディアではない。

 なぜ、「メリー」は閉鎖から8カ月足らずで再開に至ったのか。たしかに、休刊が相次ぐ出版業界でも1年以内に復刊を遂げる雑誌は少なくない。しかし、法的な観点から休止せざるを得なかった媒体が同じ名前を冠して復活することは異例中の異例といえる。復活するに至った最大の理由は、「メリー」という名前が持つブランド力だろう。

 「メリー」のコンセプトは“女の子の毎日をかわいく”だった。「これを見ていれば女子力が上がる」という思いで、ファンになる女子が多かった。閉鎖前の「メリー」の媒体資料によれば、月間閲覧数は2億PV、ユニークユーザーは2000万UU。全盛期の雑誌売り上げが月間100万部くらいだったとしても、サイトを見ているユーザーはその20倍いたことになる。カエルムが手がけた紙媒体「メリー」も発売と同時に売り切れが続出したほどで、熱狂的なファンの数でいえば、今も国内トップクラスの媒体といえる。実際、「メリー」の公式ツイッターは投稿がない(全て削除されたか?)にもかかわらず、いまだに13万以上のフォロワーがいる。

 これだけのファンが待ち望む中での復活が受け入れられないはずがない。復活のニュースが上がるとすぐに、「似た女性向けサービスはたくさん出たがかつてのメリーほど完璧最強ではなかった」「アプリ消さないで待っててよかった」「女子として生きるための生命活動みたいなかんじだったから復活うれしい〜」などと、喜びの投稿をするファンが後を立たなかった。彼女らにとって重要なのはコンテンツの良し悪しではなく、そのブランド自体なのだ。

 そんなヒット間違いなしの媒体名を掲げて、ディー・エヌ・エーがコンテンツ制作をプロである小学館に依頼するという構図は最も合理的だったはずだ。小学館としても、「メリー」運用を通じて、まだまだ成長道半ばの自社デジタルメディアの活性化につながる先進企業との取り組みは望むところだろう。重要なのは、今後どのようにして売れるコンテンツを作っていくかだ。旧「メリー」はPVを稼ぐため、事実関係を無視してまで少しでも検索に強いキーワードを入れたり、記事本文を他媒体から転載したりと、今思えばやりたい放題の内容だった。また、毎日100本単位の記事を量産するために、アルバイトに書かせた記事をチェックもせず公開するといった組織体制もあった。小学館がコンテンツを手掛けるとなれば、こういったことは起こらないだろうが、その反面、過去と同じだけの記事を準備することは物理的に不可能だ。今後、媒体のあり方が変わらざるを得ない環境だけに、新生「メリー」がどんな媒体になるか、その運営手法に注目したい。