(右)新関瑠里/副編集長:宇宙に行くのは他人事だと思っていたが、テスラの空飛ぶ車を見て宇宙生活もあながち夢物語ではないのだなとしみじみ。宇宙ではお酒は禁止らしいけれど、地球を見て乾杯したい ILLUSTRATION : UCA
毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2026年10月26日号からの抜粋です)
AIで買い物の常識が
変わるかも
林:今回は2500号を節目に、編集部全員で「2030年代のファッションとビューティの未来」を展望しました。私はビジネスコンサルタントの齊藤孝浩さんに話を聞きましたが、鍵を握るのはAIだと感じました。すでに私たちの生活に浸透しつつありますが、消費者の買い物の仕方が大きく変わりそうです。例えば、手持ちの服を全てデータベース化し、自分の体格や骨格もAIに覚えさせる。そこから導き出される提案をもとに買い物を楽しむ未来が来るという話が印象的でした。
新関:そうなると、企業のマーケティングも変わりそうですね。
林:すでに企業の間ではAI検索に最適化する「AIO」対策が始まっています。半年先の商品を企画する従来のモノ作りも変化するでしょう。これまで「シーイン(SHEIN)」や「ザラ(ZARA)」が得意としてきた小ロット・多品種生産も、AIの普及によって中小企業が取り組みやすくなるかもしれません。新関さんはどんな取材をしましたか?
宇宙での化粧品の
役割に驚き
新関:私は宇宙美容について取材しました。宇宙美容機構の理事を務める、石田かおりさんによると、30年代には宇宙旅行がもっと身近になるそうです。数年前には、宇宙旅行に行く民間人の数がプロの宇宙飛行士を上回ったそうです。宇宙旅行では、狭い空間で同じ人たちと長時間過ごすことになります。石田さんが着目していたのは、そんな環境でメンタルヘルスを保つための化粧品の力でした。日本ではすでに宇宙美容を見据えた研究開発が進んでいますが、動き出しが少し遅いので、このままでは海外に主導権を握られてしまうのではないかという危機感も伺いました。
林:宇宙ではどんな化粧品が求められるのでしょうか?
新関:少量の水で使える商品や衛生を保つアイテム、乾燥をケアする化粧品などです。こうした技術は、災害時や介護の現場でも役立ちそうですよね。
林:宇宙旅行がどこまで一般化するかは未知数ですが、30年代には人手不足や少子高齢化を背景に、商業施設やコンビニでヒューマノイドが接客する光景も当たり前になるかもしれません。先日、ユナイテッドアローズがGMOと協業し、ヒューマノイド用のウエアをデザインしました。今後はロボット向けの生地開発なども、ファッション業界の新たなテーマになっていきそうです。これまでファッションといえば、人が着る服を作り、人に届けるビジネスでした。でも、AIが買い物を手助けし、ロボットが服を着る時代になれば、業界の役割も大きく広がりますよね。