PROFILE: 難波優輝/美学者

化粧品企業の発表会に参加すると、各社が生活者の価値観の変化を捉えようとしていることを感じる。何が支持され、何に共感が集まるかは時代とともに変わり、企業やブランドの立ち位置も左右する。では、美容業界が向き合い続ける「美しさ」の価値観は、2030年代にどう変わるのだろうか。ファッションや香水、人の見た目などを研究する美学者の難波優輝さんに話を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2026年10月26日号からの抜粋です)
WWD:2030年代、「美しさ」はどう変わるのか。
難波優輝氏(以下、難波):2つの可能性があると思う。1つはより多くの人が支持するものが正しいとされ、平均的で数値や科学的根拠が重視されるビューティに向かう未来。もう1つはそうした平均を追い求めることから離れ、それぞれが自分なりの美しさを探す未来だ。美学者としては「ビューティ」ではなく、無数の「ビューティズ」があると捉えられるようになったらいいと思う。もしかしたら、一度は美しさの基準が狭まり、その後に「それだけが美しさではない」と広がるのかもしれない。
WWD:そもそも「美しさ」とは何か。
難波:根底には「こうありたい、なりたい」という憧れがあると思う。ただ、美学という学問で扱うのは一般的に「美しい」とされるものだけではない。かわいい、かっこいい、粋なども含めて、美的なものを幅広く考える。ミロのビーナスにも、ラッセンの絵にも、デコトラにも、それぞれ異なる美的なものがある。本来、整った顔立ちも数ある美しさの1種にすぎない。
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