ユニリーバ(UNILEVER)の2026年1〜6月期(上半期)決算は、売上高が前年同期比0.5%増の256億2300万ユーロ(約4兆7652億円)、営業利益が同2.6%増の48億8500万ユーロ(約9086億円)、純利益が同3.5%減の32億9100万ユーロ(約6121億円)だった。既存事業ベースでは売上高が同4.8%増となり、販売数量の増加が4.2ポイント、価格改定が0.6ポイント寄与した。調整後営業利益は同0.9%増の51億9300万ユーロ(約9660億円)、調整後営業利益率は前年同期から0.1ポイント上昇の20.3%だった。第2四半期に販売数量の伸びが加速したことを受け、26年通期の既存事業ベースの売上高成長率見の通しを、従来の4〜6%の下限付近から4〜6%の範囲内に引き上げた。通期の販売数量の伸びも、従来の少なくとも2%から、約3%に上方修正した。
ビューティ&ウェルビーイング事業が成長をけん引
部門別の売上高は、ビューティ&ウェルビーイング部門が同0.3%増の65億900万ユーロ(約1兆2106億円)だった。既存事業ベースでは同5.9%増となった。ビューティ事業では、「ダヴ(DOVE)」「サンズシルク(SUNSILK)」「ヴァセリン(VASELINE)」などの主力ブランドが2ケタ成長したほか、「K18(K18)」「ポーラズ チョイス(PAULA’S CHOICE)」「アワーグラス(HOURGLASS)」「タッチャ(TATCHA)」も好調だった。ウェルビーイング事業は1ケタ台前半の成長となり、「リキッドI.V.(LIQUID I.V.)」と「オリー(OLLY)」が2ケタ成長を記録した。「ニュートラフォル(NUTRAFOL)」では新規顧客獲得に向けた施策を進めている。ビューティ&ウェルビーイング部門全体の第2四半期の既存事業ベースの売上高は同8.1%増となった。
パーソナルケア部門の売上高は、同4.2%増の68億1700万ユーロ(約1兆2679億円)。既存事業ベースでは同4.8%増だった。ボディーソープなどの洗浄カテゴリーとデオドラントがともに1ケタ台半ばの成長となり、「ダヴ」のプレミアムラインや「FIFAワールドカップ2026」に関連するキャンペーンが寄与した。デオドラントは米国でシェア拡大を背景に1ケタ台後半の成長を記録。洗浄カテゴリーでは、“セラム ボディウォッシュ”が好調だった「ダヴ」が1ケタ台後半、「ラックス(LUX)」が中国で投入した香りを訴求するプレミアム商品などにより1ケタ台半ばの成長となった。
ホームケア部門の売上高は、同1.5%増の59億9200万ユーロ(約1兆1145億円)。既存事業ベースでは同7.6%増だった。インドとブラジルが成長をけん引し、第2四半期の既存事業ベースの売上高は同9.1%増に加速した。食品部門の売上高は、同4.0%減の63億500万ユーロ(約1兆1727億円)だった。既存事業ベースでは同1.2%増だった。新興国市場が成長した一方、米国の調味料市場における競争激化などを背景に先進国市場は減収となった。
新興国が好調 北米も市場を上回る
地域別では、売上高の60%を占める新興国市場の既存事業ベースの売上高が同7.0%増となり、第2四半期には同8.3%増に加速した。インドは既存事業ベースの売上高が同8%増。ビューティ&ウェルビーイングとホームケアが2ケタ成長となり、第2四半期には全体の伸びが10%に達した。中国はプレミアム商品の投入やデジタル、EC施策が奏功し、1ケタ台半ばの成長を記録した。インドネシアは同7%増で、ホームケアとビューティ&ウェルビーイングが2ケタ成長となった。
中南米の既存事業ベースの売上高は同7.6%増で、販売数量が同5.7%増、価格が1.7%上昇した。ブラジルで前年に実施した価格や販売施策の見直しが効果を上げ、第2四半期は2ケタ成長を記録した。中南米全体では第2四半期の既存事業ベースの売上高が同8.9%増、販売数量が同8.8%増となった。
売上高の40%を占める先進国市場の既存事業ベースの売上高は同1.5%増、販売数量は同1.9%増だった。北米は既存事業売上高が2.7%増、販売数量が3.2%増。パーソナルケアとプレステージビューティが伸長し、販売数量の伸びは市場全体を上回った。欧州は食品市場の低迷や価格下落が響き、既存事業ベースの売上高が同0.9%減、販売数量が同0.2%減となった。一方、ビューティ&ウェルビーイングとパーソナルケアは成長した
W杯で過去最大のスポーツ施策
パーソナルケア事業では、6月11日〜7月19日に米国、カナダ、メキシコで開催された「FIFAワールドカップ2026」の公式パーソナルケアスポンサーとして、同社史上最大規模のスポーツマーケティング施策を展開した。「ダヴ」「ダヴ メン+ケア(DOVE MEN+CARE)」「レクソーナ(REXONA)」「アックス(AXE)」など35以上のブランドを120以上の市場で展開し、180以上の大会限定商品を投入。世界各地で5万人を超えるソーシャルメディアクリエイターを起用した。同社はこの取り組みを通じて、ブランド認知の向上や差別化につなげる狙いだ。メキシコシティ、ニューヨーク、マイアミには、クリエイター向けの体験拠点“ハウス オブ フレッシュ(HOUSE OF FRESH)”を設置した。さらに、試合中に生まれる話題に即応し、TikTokやYouTubeなどにコンテンツを配信する24時間体制のソーシャルメディア拠点“ザ ロッカールーム(THE LOCKER ROOM)”も開設した。第2四半期は同大会に関連する販促活動を計画的に拡大したため、販売数量が伸びる一方、価格による成長は一時的に鈍化した。
年間数十億ドル規模を広告宣伝に投じるユニリーバは、マーケティング投資を重視する。フェルナンデスCEOは、世界最大級の広告賞「カンヌライオンズ」で35賞を獲得し、最も多く表彰された広告主となったことにも触れた。
第2四半期の販売数量は10年余りで最高の伸び
フェルナンド・フェルナンデス(Fernando Fernandez)最高経営責任者(CEO)は、上期について、全ての事業部門が販売数量を軸に成長し、第2四半期の販売数量は過去10年余りで最も高い伸びとなったと説明した。主力ブランドが引き続き全社を上回って成長し、インド、インドネシア、中南米などの新興国市場が好調だったほか、北米でも市場を上回ったと述べた。また、第2四半期の既存事業ベースの売上高は同5.8%増で、販売数量が同5.5%増、価格が0.2%上昇した。主力ブランドの既存事業ベースの売上高は、同6.0%増、販売数量は同5.4%増となった。下期は原材料価格の上昇を反映した価格改定が売り上げをけん引する見通しだ。販売数量の伸びは上期から鈍化するものの、通期では約3%増を見込む。調整後営業利益率は、25年の20.0%から緩やかに改善するとの従来見通しを維持した。
フェルナンデスCEOは「マクロ経済環境には依然として不透明感があるものの、上期の力強い実績を背景に、修正後の通期見通しの達成に自信を持っている」と述べた。また、ユニリーバの食品事業と米マコーミック・アンド・カンパニー(MCCORMICK & COMPANY)との統合計画は順調に進んでいると説明。統合により、ユニリーバはホームケアとパーソナルケアを中核とする企業へ転換し、食品事業は世界有数の調味料・フレーバー企業の一員として成長基盤を強化するとの考えを示した。取引完了は、株主や規制当局の承認などを条件に、遅くとも27年半ばを予定する。
24年に開始した総額8億ユーロ(約1490億円)の生産性向上プログラムについても、アイスクリーム事業の分離に伴う間接費削減などを目的としていたが、予定より早く完了したという。
市場も好感し、ロンドン証券取引所で同社株は29日に約5%上昇し、48.50ポンド(約1万573円)で取り引きを終えた。