
PROFILE: 森香澄
フリーアナウンサー、タレントとしてメディアやSNSで圧倒的な存在感を放つ森香澄が、初の美容本「戦略的かわいいの作り方 ― 森 香澄のかしこい美容メソッド ―」を、9月1日に小学館から刊行する。近年では美容誌での特集や表紙を飾る機会も増え、感度の高い美容好きからも“令和のビューティアイコン”として絶大な支持を集める彼女。本作は、そんな彼女が試行錯誤の末に辿り着いた「77の美容メソッド」を惜しみなく凝縮した一冊だ。
一見、天性の華やかさを持つ彼女だが、その裏側には客観的な市場分析と緻密な「セルフプロデュースの戦略」が存在する。「あざとさ」や「かわいさ」をどのように客観視し、現在の“森香澄”像へと昇華させてきたのか。その思考の深層に迫る。
真似ではなく自分らしい「かわいい」を作る
WWD:「戦略的かわいいの作り方 ― 森 香澄のかしこい美容メソッド ―」というタイトルが非常に印象的です。数ある美容本の中で、どのようなポジショニングを狙ってこのタイトルに落とし込んだのでしょうか?
森香澄(以下、森):仕事柄「かわいい」と言っていただく機会は多いですし、世間のみなさんからは「あざとい」というイメージを持たれることも多いです。でも、最初から「あざとさ」を目指していたわけではなく、試行錯誤する中で自然と周囲から言われるようになりました。
つまり、世間が抱く「森香澄」のイメージと私自身が考えてやってきた「自己プロデュース」の結果を一致させたのが、今回のタイトルなんです。
ただ、タイトルに「あざとい」というワードはあえて使いませんでした。「かわいい」を分析し、戦略的に構築してきたプロセスそのものを伝えたかったからです。かわいくなりたいと思う人に向けて、この本を手に取ることがそれぞれの思う「かわいい」に近づくための一歩になればと思います。「戦略的」と「かわいい」という、本来あまり結びつかない言葉を掛け合わせることで生まれる違和感やチグハグ感は、読者の目を引くアイキャッチとしても機能してくれます。
WWD:「森香澄と同じものを使う」以上に、応用できる内容が詰め込まれているように感じます。
森:そうですね。全員が私と同じ顔立ちや体型ではないので、アイテムやテクニックをそのまま載せるだけでは不十分だと思いました。だからこそ「なぜこのアイテムを選ぶのか」という選定基準までセットで言語化しています。例えば「小柄な私がどうバランスをとって服やアイテムを選んでいるか」というロジックを提示することで、読者それぞれの「かわいい」に応用・カスタマイズしてもらえる作りを心がけました。
ニーズとエゴの「揺らぎ」も味方に
WWD:メディアやSNSで求められるニーズ(あざとさやかわいさ)と、森さんご自身のリアルなこだわりや表現とのバランスは、どのようにコントロールされていますか?
森:プロとしてお仕事をする以上、ニーズに答えることは大前提です。一方で「こう見せたい」という自分の思いもある。その2つのバランスをどう取るかという部分こそが、私にとっての「戦略的」なポイントであり、常にコントロールし続けている部分です。
ニーズと自分のやりたいことが100%一致することはほとんどありません。でも、だからこそ面白いですし、自分の表現の幅が広がると思っています。ギャップがないと読者や視聴者の方も面白くないですよね。求められる媒体や番組のテイストによって、「とことんかわいい」ものから「洗練されたビューティ」まで見せ方を変えています。「私にこんな一面もあるんだ」と自分自身も楽しんでいます。
WWD:相手の求めるニーズに完全に寄り添うわけでもなく、自分の意見を無理に押し通すわけでもないと。
森:ニーズは自分がコントロールできるものではありません。例えば「もっとガーリーなピンクで」と求められたときに、「少しだけ紫寄りにしませんか?」と自分の良さが際立つように提案をしてみたり。ニーズとやりたいことの「間(あいだ)」を取り続ける作業をずっと重ねてきました。そうやって自分の良さを少しずつ投入し続けた結果、世間のイメージと自分のこだわりが少しづつ合ってきた感覚があります。
WWD:そもそも、森さんにとって「可愛くあること」への最大のモチベーションは何でしょうか?
森:もともと「何事もかわいい方が良くない?」と思っているタイプなんです(笑)。アナウンサー時代もSNSでの番組告知が必要なときに、「どうせ表に出るなら、かわいくして気分を上げた方が自分も楽しくなるよね」と思っていました。
「かわいい」をネガティブに使う人はまずいませんし、ポジティブな感情ですよね。私にとって「かわいい」とは、日常を楽しく過ごすための最大のエネルギー源であり、モチベーションそのものなのです。
「紙」で届ける洗練されたメソッドの数々
WWD:今回、数ある美容法の中から「77のメソッド」に絞り込んだ基準について教えてください。
森:全部詰め込もうとすると辞書のような厚さになってしまいそうだったので、忙しい毎日を送る現代人でもサクッと読めるボリューム感に凝縮することを意識しました。基準としたのは、流行に左右されない普遍的なメソッドです。トレンドの色味やメイクの手法は変わっても、アイテムを選ぶ基準や日常の立ち振る舞いは変わりません。膨大な情報の中から、私が試して本当に効果があった一軍のメソッドだけを集めました。
WWD:泣く泣く削ぎ落とした情報もありますか?
森:姿勢について語っているパートでは足の写真を撮影しましたが、掲載を見送りました。重心の置き方を伝えたかったのですが、細かすぎるので(笑)。メイクパートも全部のパーツについて盛り込むと情報過多になってしまうので、とくにこだわりが強い部分に絞り込みました。削るのはもったいないけれども、限られたページ数に凝縮することでより洗練された内容に仕上げることができました。
WWD:スキンケアやメイク、インナーケアなどが網羅されています。特に注力されたジャンルは何ですか?
森:ボディーケアと美容医療です。特にダイエットを含めボディーケアは、SNSで発信する中でファンの皆さんからの関心の高さを感じていました。ボディーケアはメイクと違って「今日試してダメなら明日やり直す」ということが難しく、長期間の試行錯誤が必要です。私自身が時間をかけて体得したからこそ、みなさんに役立つよう、分かりやすさにこだわってまとめました。
美容医療については掲載すべきか迷いはありましたが、聞かれることが多く、みなさんの関心が高い分野です。SNSには校閲がかかっていない、個人の断定的な美容医療にまつわる情報があふれています。だからこそ、さまざまなプロの目が通った「信頼できる出版物」というプラットフォームを通じて、正しい情報選択の判断材料を提示することに意味があると考えました。
WWD:トレンドの情報収集については、どのようなアプローチをとっていますか?
森:YouTubeやX、友人との情報交換はもちろんですが、一番は店頭に直接足を運ぶことです。化粧品メーカー各社が新商品にどんな什器(ディスプレー)を使い、どれだけプロモーションに熱量をかけているかを自分の目で確かめます。注力されているプロダクトを把握した上で、実際に片っ端から試して検証するのが私のスタイルです。
読み手の能力に依存しない言葉選び
発信者として貫くプロの配慮
WWD:森さんはSNSやメディアを通じて、多くの女性のモチベーションに影響を与えていますが、ファンとのコミュニケーションで大切にしているルールはありますか?
森:これはアナウンサー時代から徹底的に叩き込まれてきたことですが、「不特定多数に向けて発信している」という意識です。全員に私のやり方が当てはまるわけではないですし、全員に真似してほしいわけでもありません。読んだ人が「自分に取り入れられる部分だけ」をピックアップできるように、過度な断言を避けるなど言葉選びには配慮しています。
もちろん、自信を持っておすすめできる部分は言い切りますが、「私の肌質には合っていたけれど、一度試してみてくださいね」というスタンスを崩さないにように。「読み手の解釈能力に依存しない、優しさと配慮のある発信」を意識することが、ファンのみなさんとの信頼関係を築くことにつながると考えています。
WWD:今回の書籍でご自身の美容メソッドをすべて言語化し、出し切ったかと思います。ビューティアイコンとして、今後目指すステージや挑戦したい領域はありますか?
森:私のお仕事は、基本的にオファーや世間のニーズがあって成立するものです。だからこそ、「その時代のニーズ」と「自分がその時やりたいこと」のバランスを取り続けるスタイルはこれからも変わりません。
特定の目標を立てているというよりは、年齢を重ねるごとに変化する自分のライフスタイルや美を発信することが軸になります。自分自身の変化を肯定しながら、そのときどきの美容との「向き合い方」を嘘なく発信し続けることができれば、長く信用していただけるのかなと思っています。
WWD:書籍のビジュアルやスタイリングからも、そうした「変化」や「多面性」が表現されていますね。
森:スタイリストさんと相談して、単に「可愛い」だけではない、芯のある大人の表情も見せられるように黒の衣装やスタイリッシュな要素も取り入れました。一辺倒なイメージにならず、ふとした瞬間にドキッとするようなギャップを感じてもらえたらうれしいです。
1冊を通して、メソッドはもちろんビジュアルにも注目していただき、多面的な「森香澄」の姿を楽しんでいだければと思います。
書籍詳細
「戦略的かわいいの作り方 ― 森 香澄のかしこい美容メソッド ―」
◾️「戦略的かわいいの作り方 ― 森 香澄のかしこい美容メソッド ―」
発売日:9月1日
価格:1980円
発行:小学館
仕様:四六判/384ページ