(右)木村和花/ヘッドリポーター:今季の試練は、SNS班から頼まれた自撮りのコレクションレビュー。一発では撮れず、ロンドンの公園やショー会場周辺をぐるぐる歩き、疲れ顔の自分と向き合うのがつらかった。 ILLUSTRATION : UCA
毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2026年10月5日号からの抜粋です)
木村:今季のロンドンは、「マックイーン(MCQUEEN)」の帰還と、クリストファー ケイン(CHRISTOPHER KANE)による新生「マルベリー(MULBERRY)」のデビューショーで話題は持ちきりでした。NYもベテラン勢が元気だったんですよね?
本橋:絶好調の「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」に加え、「コーチ(COACH)」は85周年を盛大に祝い、「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」もザ・プラザでショーを開催しました。一方、ロンドンで発表を続けてきた新進の「コナー アイブス(CONNOR IVES)」が凱旋。新旧が混ざり合っているのが今のNYの面白さ。ロンドンの若手はどうでした?
木村:可能性を感じたのは、「ニュージェン」枠で初めてショーを行った「ペトラ ファーゲルストロム(PETRA FAGERSTROM)」。伝えたい女性像が一貫していて説得力がありました。ニットが得意な「ポーリーン デュジャンクール(PAULINE DUJANCOURT)」も、ドレス中心だった提案からパンツなどのセパレートアイテムを増やし、ビジネスをしっかり見据えた印象でした。
本橋:英国ファッション協議会の動きにも注目が集まっていますね。
改革が進むロンドン
街にも広がる熱気
木村:小売り&メディア出身のローラ・ウィアー(Laura Weir)最高経営責任者の改革が進んでいて、海外バイヤーの参加は前年比41%増。ロンドンのクリエイティビティーをどう「売れる」「続けられる」ビジネスにつなげるかに期待がかかります。「ドーバー ストリート マーケット」が会期中に関連イベントを開くなど、街のプレーヤーもファッション・ウイークを盛り上げているのが印象的でした。NYは、米同時多発テロ「9・11」から25年という節目でしたね。
ロマンスで描く
NYの強さと希望
本橋:今季は華やかな色やデコラティブな表現が増え、ロマンチックなムードが漂いましたが、レザーやテーラードと組み合わせた力強いリアルクローズが多かった。現実から逃げるのではなく、ファッションの高揚感を前へ進む力にする。そんなNYらしさを感じました。
木村:動物愛護団体PETAが乱入したショーは、日本でも話題になっていたようですね。
本橋:抗議活動によってショーそのものが中断される事態になり、ファッションにおける表現や主張の伝え方についても考えさせられました。今後はブランド側も、こうした抗議活動への対応やセキュリティーをより意識することになりそうです。
木村:ロンドンもNYもベテランがけん引する一方で、若手も着実に育っている。その周囲では運営側や小売りも動いていて、街全体で盛り上げようとする力を感じました。
本橋:コレクションそのものだけでなく、ファッション・ウイークの存在感をどう高めていくか。各都市の現在地が見えたシーズンでもありました。