毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2026年4月20日号からの抜粋です)
林:最近、ユニホームのニュースが多いよね。ユナイテッドアローズやアンドエスティHD、ユニクロも本腰を入れているし、企業が人気デザイナーに依頼して作る動きも増えています。その企業向けに一から企画する受注生産。在庫リスクを取って毎シーズン新しい提案をして、売れなければ値下げをするビジネスよりも手堅い。でも採用に至るまでは熾烈なコンペを勝ち抜かなくてはいけません。
本橋:企業側の人材不足の中、そこで働きたいという気持ちを醸成する上でもかっこいいユニホームは大事ですよね。パーパスやミッションを厳しく見られる中で、企業の姿勢を反映するものとしてユニホームが改めて注目されている背景もあると思います。
顧客企業と対話しながらの服作りにドラマがある
林:私はオンワードコーポレートデザインによる、ミライト・ワンという通信などのインフラを作る企業の事例を取材しましたが、2年以上かけて、150回以上の会議を繰り返して、何度もサンプルを作り直して、ユニホームを完成させていました。M&Aによる複数の会社の集合体だったこともあり、グループ各社の人々が集まって議論するプロセス自体にもパーパスを反映させています。統合を象徴するプロジェクトになっていました。
本橋:いい話ですね。どんなユニホームができたんですか?
林:写真は8ページにあります。一見地味そうだけれど、高所などで仕事をする上で便利だったり、女性に優しい機能だったりが、さまざまに備わっています。そういう機能とデザインの落とし込みに、オンワードコーポレートデザインのノウハウが生きています。しかもユニホームを着る従業員は3万人。ビジネス規模としても大きいですよね。
本橋:どこも想像以上にユニホーム作りにリソースを割いていますよね。「シセイドウ(SHISEIDO)」は「シュタイン(SSSTEIN)」の浅川喜一朗デザイナーに依頼して店頭スタッフのユニホームを刷新しましたが、サンプルをデジタル上で作り、出し戻しを早めても2年以上かかったそうです。黒ベースで、接客の所作によってコーポレートカラーである赤が見えるというデザイン自体は早いうちに決まったそうですが、最大公約数的に多くの人をきれいに見せるため、フィッティングやディテールに時間をかけたそうです。連帯感を生むための大事なツールとして、重要性が増していくと感じました。「WWDJAPAN」でも制服を作ったらチーム感、増しますかね?(笑)