ドイツの化学・消費財大手ヘンケル(HENKEL)は26日(現地時間)、米国発のプレミアムヘアケアブランド「オラプレックス(OLAPLEX)」を約14億ドル(約2226億円)で買収することで合意したと発表した。
提示価格は1株当たり2.06ドル(約327円)で、前日終値に対して約55%上乗せした。取引は現金で実施され、オラプレックス・ホールディングス(以下、オラプレックス)の取締役会および筆頭株主のアドベント・インターナショナル(ADVENT INTERNATIONAL)は満場一致で承認した。2026年後半にも完了する見通しで、完了後はナスダック上場を廃止する。
ヘンケルは「今回の買収は成長戦略の重要な節目であり、コンシューマーブランド事業における中核カテゴリーとしてヘアケアを一層強化する」とコメントした。
オラプレックスは、本取引によりプロフェッショナル市場における両社の強みを統合し、イノベーションの加速やグローバル展開の拡大につながると説明。北米のD2Cおよび専門小売りの基盤と、ヘンケルの国際的な流通網を組み合わせることで成長機会を広げるとしている。
同社のアマンダ・ボールドウィン(Amanda Baldwin)最高経営責任者(CEO)は「当社はプロフェッショナルコミュニティーを起点に、科学に基づくヘアケアブランドとして成長してきた。今回の決断は変革の成果と今後の成長機会を示すものだ」とコメント。「ヘンケルの下で製品開発と展開を加速し、グローバルでの成長を目指す」と述べた。
プレミアムヘアケア市場は成長を背景に投資家の関心を集めている。調査会社グランドビューリサーチ(GRAND VIEW RESEARCH)によると、市場規模は約414億7000万ドル(約6兆5937億円)で、33年には752億ドル(約11兆9568億円)に拡大し、年平均成長率は6.9%と見込まれる。
オラプレックスの25年12月期の売上高は4億2300万ドル(約672億円)で、米国と海外でほぼ半々を占める。粗利率は69.4%と高水準を維持した。一方、投資会社ジェフリーズ(JEFFERIES)は「成長は依然として弱く、再建の途上にある」と指摘する。
同社は14年に創業し、サロンや専門店、ECで展開する。株価は21年9月のナスダック上場以降、市場シェアの低下などを背景に90%以上下落している。
今回の買収は、ヘンケルのポートフォリオ戦略の一環でもある。ジェフリーズのアナリスト、デビッド・ヘイズ(David Hayes)は「同社はヘアケア領域への投資を拡大し、ホームケアへの依存度を低減している。今後はより大型のヘアケア案件に発展する可能性もある」と指摘する。
ヘンケルのカルステン・ノーベル(Carsten Knobel)CEOは「付加価値の高いM&Aを通じたポートフォリオ拡充という戦略に沿うものだ。プレミアムヘアケアでの存在感を高める」と説明。コンシューマーブランド部門のウォルフガング・ケーニッヒ(Wolfgang Konig)副社長は「オラプレックスは当社のプレミアムヘア事業と高い親和性があり、イノベーション加速の機会が大きい」と述べた。
ビューティ業界ではM&Aの大型案件が続く。エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES)とプーチ(PUIG)は合併協議を進めており、実現すれば企業価値は400億ドル(約6兆3600億円)超となる見込み。またアドベント・インターナショナルは、ボディーケアブランド「ソルト&ストーン(SALT & STONE)」の過半数株式取得でも合意している。