ファッション
連載 中高生のファッション育

JFWOに聞くファッション・ウイークの楽しみ方 中高生のファッション育Vol.13

中高生のためのファッション育プロジェクト「フューチャー・ファッション・インスティテュート(FUTURE FASHION INSTITUTE、以下FFi)」は、「ファッション育」を通じて子どもたちの感性を磨き、未来の業界を担う人材や、センスを生かして働く力の育成を支援する。展示会訪問や業界人へのインタビューを重ねる中高生メンバーは、自らの体験を発信し、周囲に刺激を与えている。FFiはこうしたポジティブな循環を通じて、子どもたちが「未来の自分」を思い描き、夢に近づくことを目指す。

今回は、3月15日から開催された「楽天 ファッション ウィーク東京」に先駆け、ショーへの理解を深めることを目的に、日本ファッション・ウィーク推進機構(以下JFWO)ディレクターの今城薫氏を招き、プレインターンシップを実施。その様子をFFi大学生メンターの大成瑛万がリポートする。

「自分が今着ている服はどこから来るのか?」
ファッション業界のサイクルを学ぶ

繊維業界を経て現職に就いた今城氏は、JFWOとファッション・ウイークの関係性、ショーの見方、自身のキャリアまで幅広く紹介。まずは参加者同士でこの日に身につけているアイテムのこだわりを共有し、ファッション感度の高い学生らしい雰囲気でスタートした。

ファッション業界の全体像を把握するため、流通構造を川上・川中・川下に分けて解説。繊維が素材となり、デザインを経て製品化され、店頭へと流通するプロセスを学んだ。これまでFFiで業界の仕事を学んできた学生にとって、自身の着ている服がどのように届くのかを再確認する機会となった。

川上から川中を担うJFWOにとって、ファッション・ウイークはブランドのテーマを発信し、認知と流通を促進する重要な役割を担う。その中で提示されたのがショーの時間軸だ。「なぜショーは半年先のシーズンを発表するのか」。適切なタイミングで店頭に商品を届けるため、ブランドは早期に発表し、バイヤーやメディアに提示する必要がある。この構造に触れ、学生たちは業界のスピード感に驚きを見せた。

また、ショー参加ブランドの選定基準や会場決定のプロセスなど、実務に踏み込んだ質問も相次いだ。JFWOはブランドの意思を尊重しながら、期間内にすべてのショーを円滑に実施する調整役を担う。音楽、モデル、ヘアメイクなど多様なプロフェッショナルが関わるショーの裏側を知り、学生たちは華やかな舞台を支える仕事の重要性を実感した。

「デザイナーもひとりの生活者」
消費者経験と文化が創造力を支える

後半はキャリアの話題へ。学生たちは熱心にメモを取りながら耳を傾けていた。今城氏の経験談は、自身の将来像を具体的に考えるきっかけとなった。

今城氏が強調したのは「消費者目線を持つこと」の重要性だ。学生時代の接客アルバイト経験を例に、顧客と向き合う時間が市場理解につながると語った。将来ファッション業界を志す学生にとって、実践的な示唆となった。

さらに、本や映画、旅を通じて文化に触れ続けることの重要性にも言及。デザイナーやクリエイターも生活者であり、日常の体験から着想を得ているとし、幅広い視野が創造力を支えると述べた。

最後に「インプットを自分なりに整理し、アウトプットすること」の重要性を強調。今回語られた内容も、繊維業界での経験や先人からの学びを自身の言葉で再構築したものだという。情報を自分の言葉で再定義する姿勢が印象的だった。FFiはこうした思考習慣を学生時代から養う場でもある。多様な視点から学びを得ることで、インプットを自分の糧とし、未来へとつなげていく。

集中講義を通じ、学生たちはショーを見る新たな視点を獲得した。華やかな舞台の裏にある構造や役割を理解したことで、ファッション・ウイークの体験はより立体的なものとなるだろう。社会と自分を結びつけながらファッションを捉える第一歩となった。

参加した学生のリポートから

「外に魅せ、発信するためのファッションショーに対し、その内側からのアプローチを聞けたことは非常に興味深く、貴重な内容でした。ショー自体は短時間ですが、一つ一つに込められた思いや多くの人の動きを知ることで見方が変わり、多面的な価値に気づくことができたと感じます」(臼田幸平/高校3年)

「ファッションショーの見方を学ぶことができた貴重な経験でした。プログラム内で挙がったトレンドの話は以前から気になっていたため、直接聞くことができてうれしかったです。また、日本のファッション・ウイークの特徴や、ショー会場をブランドが決定していることなど、直接話を聞かなければ知ることのできない内容を学ぶことができました。今後はこれまでとは異なる視点でショーを見ていきたいと思います」(みゆ/高校3年)

「ファッション・ウイーク見学に先立ち、運営に携わる方の話を聞き、ショーの見方や捉え方を学べたことは非常に貴重でした。表からは見えにくい視点を知ることで、“華やかなイベント”ではなく、総合的なプロジェクトとして捉えられるようになりました。また、海外と日本の違いや日本ならではの強みについても理解を深めることができました。業界の構造や裏側の仕事を具体的に知ることができ、将来アパレル業界への就職を考える上でも有意義な時間となりました」(るな/FFi大学生メンター)

「ファッションショーにはさまざまな形があり、ファッションだけでなく、会場やコンセプト、光や音など、空間として楽しむ視点があると知りました。ファッション以外の要素にも着目してほしいという話が印象的でした。ショーは詳しい人だけが楽しむものという印象もありますが、より多くの人が自由に楽しめるものになれば、ファッションへの関心が広がり、おしゃれを楽しみやすい社会につながると感じました」(鈴木優空/FFi大学生メンター)

「一つのファッションショーに、想像以上に多くの人が関わっていることに驚きました。表舞台の裏には、多くの努力や試行錯誤が積み重なっていることを知る貴重な機会でした。日頃私たちが享受しているイベントやエンターテインメントは、多くの人の物語によって成り立っていることを改めて実感しました。また、ファッションショーが集まるファッション・ウイークが、業界にとってどれほど重要な意味を持つのかを考え、その大きさに圧倒されました」(住風花/FFiシニアメンター)

「ファッションショーは華やかな舞台の裏で、多くの専門スタッフがそれぞれの役割を担いながら支えている点が印象的でした。予期せぬトラブルへの対応力や、関係者との円滑なコミュニケーションの重要性を実感しました」(入江操/FFiシニアメンター)

今回のリポーターについて

大成瑛万(おおなり・えま):メルボルン大学商学部に在籍する大学3年生。高校2年時に「WWDJAPAN」のFFi紹介記事をきっかけに入会し、活動に参加。高校卒業後もメンターとして関わり、後輩の指導にあたる。現在はニュースレターやポッドキャストなどスローメディアでの情報収集に関心を持つ。来年の就職を見据え、学業の集大成に取り組むとともに、金融リテラシーの向上やアドビツールの習得にも注力している。

撮影:谷暸太郎

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FFiは本日、より多くの中高生が参加しやすい体制にメンバー制度をリニューアルした。関心がある中高生、保護者の方は、公式ラインから最新情報をチェック。

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