ファッション
連載 中高生のファッション育

時代と共に変容するWOWOWの強さ 中高生のファッション育Vol.11

中高生のためのファッション育プロジェクト「フューチャー・ファッション・インスティテュート(FUTURE FASHION INSTITUTE、以下FFi)」は、「ファッション育」を通じて子どもたちの感性を磨き、未来の業界を担う人材やセンスを生かして働く子どもの育成を応援する。展示会への訪問や業界人へのインタビューなどを重ねる中高生のメンバーは、自らの体験をシェアして友人に刺激を提供。FFiはポジティブなループを通して、子どもたちが「未来の自分」を思い描き、夢に1歩近づくことを願う。

ファッション業界と密接な関わりを持つのが、エンタメ&クリエイティブ業界だ。今回のプレ・インターンシップではエンタメ・メディア企業であるWOWOWを訪問した。数多くの動画配信サービスや放送局が存在し変動していく中で、35年間変化を遂げてきたWOWOW。今回のプレ・インターンシップではWOWOWの歴史、事業内容、キャリアについてのプレゼンテーションののち、ワークショップを行った。

まず人事の岩島未央子さんからWOWOWの事業内容、自身のキャリアについてのプレゼンテーションが行われた。WOWOWは1991年に日本初の民間衛星放送局として放送を開始した。WOWOWという企業名の由来は、”World Wide Watching”と、感嘆のWOWを掛け合わせたものだそう。世界最高峰のエンタメを日本の視聴者にいち早く届けることを掲げ、洋画や海外ドラマ、ボクシングの世界タイトルマッチ、ヨーロッパのサッカーを創業当初から放送してきた。今でもWOWOWといえば世界のスポーツ大会をリアルタイムで見ることができるプラットフォームであるという印象を持つ人も多いのではないだろうか。2000年代はオリジナル・コンテンツとして「ドラマW」や「WOWOW FILMS」を立ち上げることにより独自色を強め、12年に視聴者が見逃した番組を配信するサービス、21年にテレビを所有しない人でも見られる配信サービス「WOWOWオンデマンド」を開始する。

次に業界の他のプレイヤーとの比較を通じて、WOWOWの特徴を聞いた。WOWOWの強みは、“エンタテインメントをこよなく愛する会員が期待するエンタメ”をプロデュースすることに注力できるという点。特定ジャンルの深掘りや質の追求、エンタメのコアファン層へのサービスの提供を可能にしていること分かった。

続くキャリアについてのパートでは、岩島さん自身のキャリアを振り返りながら今の中高生に向けて、興味のある分野の探求、幅広い情報収集、苦手意識の克服などがアドバイスとして挙げられた。

そして最後に、「中高生向けのエンタメを考えてみる」というFFiならではのテーマに沿って、中高生4、5人のグループでアイデアを出し合った。15分という短い時間の中であったものの、中高生の柔軟なアイデアが数多く見られた。中学生チームは「師匠を作ろう」というテーマのプログラムを発案。さまざまな分野のプロに密着し、青春時代や人生の転機などについて深堀りするという内容で、中学生ならではの関心が表れているアイデアであった。

複数の高校生チームからは「有名アイドル裏側密着ドキュメンタリー」や「グローバルなバラエティー番組の作成、配信」などが挙げられ、事前に学んだWOWOWの強みにフォーカスを当てた、独占性やワールドワイドなコンテンツ力を活かすコンテンツを検討した。またコンテンツに限らず、WOWOWのプラットフォームとして今後欲しい機能についてもアイデアが挙げられた。「ドラマ・映画などについて語りあえる機能」について考えたチームは、SNSのように共感、共有ができる機能があればWOWOWのプラットフォーム内でコミュニティーが形成されるのではないかと提案。また同様に、音楽ストリーミングサービスで見られるプレイリストの作成、共有などの機能が映像分野においても欲しいとの声が上がった。音楽の趣向が近しい人のプレイリストから新しい音楽を探すことがあるように、映像もプレイリストの共有ができれば好みに合った新しい作品を見つけることができるのではないかという意見である。

また「中高生向け」という部分に目を向けて「どのように親を説得すれば、月額料金を払ってもらえるか」という部分に目を向けたチームもいた。複数字幕を同時に付けることができる機能があれば、「言語習得のためである」という主張により払ってもらえるのではないかと考えたといい、WOWOWの視聴料を考え、それを中高生というターゲットに向けてどのようにアプローチするのかという現実的な部分にまで目を向けたアイデアであった。

今回WOWOWでのプレ・インターンシップは、企業だけにフォーカスした内容ではなく、同業界のさまざまなプレイヤーとの比較を通じてWOWOWの強みを理解した上で、発案に活かすという多角的な内容となった。中高生ならではの先入観にとらわれない柔軟なアイデアに実際に触れる中で、完全なるデジタルネイティブ世代である彼らが、どのような視点からサービスを発案し、形にしていくのかを間近で体感した。次世代ならではの発想力と可能性を、あらためて強く印象づけられる機会となった。(シニアメンター/小穴睦子)

参加した学生のリポートから

「WOWOWの中には、プロデューサーや広報、マーケティングなど多くの部門があり、さまざまな人が関わって1つの事業が成り立っていることを知った。また、スポンサー収入に依存する民放局とは異なり、視聴者の需要を直接反映した番組づくりができる点がWOWOWの強みだと分かった。社員の方の話から、事業の成功には報酬だけでなく、人材が力を発揮できる環境づくりが不可欠であり、優秀な人材に選ばれる企業であることが重要だと学んだ。今回の見学を通して、目標を持ち、興味のあることに挑戦し続ける姿勢が将来の仕事につながっていくのだと感じた」(あざみ/高校3年)

「プログラムを通じて、私たちが日常的に目にしている映画やドラマなどの映像作品が、どのような仕組みや考えのもとで視聴者に届けられているのかを具体的に理解することができた。私は普段、映像作品の制作側として関わることが多いが、本プログラムでは企画立案や海外作品の搬入など、制作とは異なる立場から映像に関わる仕事を知ることができた」(谷瞭太郎/高校3年)

「今回初めてプレインターンシップに参加し、新鮮な気持ちになった。正直今、自分が何になりたいかや、これからどんな人生を歩んでいきたいか等あまり決まってない中で、人生の先輩的存在からアドバイス等をもらえてよかった。また、WOWOWの既存戦略だと外資の競合企業に資金面や知名度で負けてしまい、今後WOWOWが強みにしているスポーツ中継の枠を奪われた時に、WOWOWがどう生き残って行くのか疑問に思った」(しょうたろう/高校3年)

「同じ帰国子女として、自分の好きな仕事で社会に貢献されている女性の話を聞くことができて、なんだか自分の未来が楽しみになり、非常に貴重な経験をすることができた。読書が好きと言っていましたが、実は私も大の読書好きで、アメリカの大学で比較文学か英語を専攻したいと考えている。若い人へのアドバイスとして、いろいろなジャンルの本に触れた方がいいと言っていて共感した。私も少し前までは、自分の興味のある本やカバーが好きだったものを選んでいたが、バーナード大学のブッククラブに入って色んな本を読むようになってから、自分から読みたいと手に取った本でなくても、たくさんの学びや気付きがあるということに気付かされた。今では直感的に読みたいと思えないような本にもチャレンジするようになり、視野が広がり、柔軟に物事を考える力が付いたと思う。しかし、最近はSNSのアルゴリズムなどによって若者の視野が狭まっている傾向にあり、自分の世代の人たちが偏った思考を持ちがちなことに危機感を感じる。そこで、現代の若者の助けづなとして働ける存在が、アルゴリズムが存在しない、エンタテイメントであり情報源でもあるメディアだと信じています。WOWOWでFFIのメンバーと新番組について意見交換をした後、帰り道でもう少し考えてみたが、「興味がある分野の中で、これまでは関心のなかったもの」を特集する番組が増えたらいいなと感じた。例えば、「読者が好きな子たち向けの、読書好きな有名人が紹介する面白い本(あらすじからその背景などまで紹介)」や「ファッションが好きな子たち向けの、色んなファッションの形や歴史を紹介する番組」など。ニッチだけどニッチじゃない、その分野に興味はあるけど中々踏み込めないと思っているような人たちにとっても手が届きやすいコンテンツが増えるといいなと感じた。改めて貴重な体験、ありがとうございました!」(なお/高校3年)

「NetflixやAmazon Prime Videoなどの配信サービスが台頭している今だからこそ、他社との差別化を意識しつつも、“World Wide Watching”を掲げ、WOWOW独自の価値観を大切にしながら進化し続ける姿勢がとても魅力的だった。これまでの事業内容を知り、WOWOWがこれからどのような新しいエンターテインメントを生み出していくのか、とても楽しみになったと同時に、WOWOWにとってのエンターテインメントとはどのようなものかもっと聞いてみたいと思った。グループワークでは、“今後WOWOWにしかできないことは何か”に着目して考える時間が特に楽しく、WOWOWならではの高いエンタメプロデュース力やメディア力、エンタメに詳しい会員層といった強みをどう活かせるのかを、実践的に考えることができた。中高生向けという点では、親子双方にメリットのある形を考えた。また、配信サービスが身近であるからこそ、普段感じている“もっとこうなったら良いのに”という思いをもとにアイデアをシェアすることができたと思う」(もか/高校3年)

「将来広告系の会社に勤めたいと思っているため、今回のプログラムはとても意義深いものだった。普段見ている映像がどの年代に刺さるのか、またどのようにすれば見てもらえるのかを細かく考えながら戦略を立てている話を聞き更に興味を深めることができた。また、実際にどの様な仕事をしているのかを直接聞くことができ、エンタメ企業のイメージをしっかりと想像できた。“どのような映像を配信したらみてもらえるのか”について考え、とても戦略を練るというのは難しかったが、考えるのはとても楽しく、他のグループの発表も聞けて、こういう案もあるんだと学びにつなげることができました。このプログラムで学んだことを活かし、将来につなげていきたいと思います。ありがとうございました」(みゆ/高校3年)

「普段ファッション業界のプレ・インターンシップに参加することが多い私にとって、映像業界でのプレ・インターンシップは初めての知識をたくさん吸収する場となった。WOWOWについては、家で加入していたため存在自体は知っていたが、自分が利用する機会はないに等しかったため、今回より深く知ることができた。WOWOWと、有名動画配信サービスやテレビ局との違いなど、自分の中で違いがあまり分からなかった部分について明確に教えていただくことができた。自分たちで企画を考えてみるコーナーでは、ただ自分が見たいものではなく全国の中高生にとって利益のあるものにするにはどうするかを考えた。ただ、他のチームの発表を聞いて、私たちのグループでは中高生への利益を重視しすぎて社会性について取り入れられていなかったと感じたので、次の機会があればその点も注意していきたい」(hana/高校2年)

「僕自身、映画を視聴するためにいくつかのサブスクリプションサービスに加入しているが、その映画がどこから提供されているのかについては、これまで考えたことがなかった。多くの映画の大元がWOWOWであると知り、とても驚いた。また、WOWOWが富裕層を重視した営業理念を持っていることを知り、とても勉強になった」(えいすけ/中学3年)

「今回のプログラムで一番印象に残ったことは、時代の変化について。今まで、WOWOWの競争基準が民放放送だったのに対して、近年はNetflixや U-NEXT、TVerなどの見逃し配信機能を持ったものが流行っている。このように時代が変わると、考え方や戦略も変える必要があるため、常に時代を把握し、何が流行っているのか、人気なのかにアンテナを貼りつつ、時代に対応していくのが大事な仕事だと感じた。その中でWOWOWにしかない良さや特徴を捉えなければならない事も重要だと思った。WOWOWは新しい会社だと思っていましたが、実際には歴史が長く、他社と比べて時代に適応する能力が高い会社なのだと感じた」(もふもふ/中学3年)

今回のリポーターについて

小穴睦子(こあな・むつこ):2021年からFFiに大学生メンターとして参加。カナダへの1年の留学経験を経て、25年就職。現在はFFi社会人メンターとして、中高生のサポートに携わる。ファッション、メイクに限らず興味関心の幅は広く、今のマイブームはF1観戦と、ポイントメイク用品の収集。自身の関心のある分野において、体験を通して感じたことを文章にする姿勢を大切にしており、今後は語学力を磨きながら、より深度のあるレポートや発信を目指す

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