ファッション

「ディオール」の人気フレグランスとドレス&花の関係性を知る 中高生の「ファッション育」Vol.8

 中高生のためのファッション育プロジェクト「フューチャー・ファッション・インスティテュート(FUTURE FASHION INSTITUTE、以下FFI)」は、「ファッション育」を通じて子どもたちの感性を磨き、未来の業界を担う人材やセンスを生かして働く子どもの育成を応援している。展示会への訪問や業界人へのお仕事インタビューなどを重ねるメンバーは、自らの体験をシェアして友人に刺激を提供。ポジティブなループを通して、子どもたちが「未来の自分」を思い描き、夢に一歩近づくことを願う。今回は、パルファン・クリスチャン・ディオール(PARFUMS CHRISTIAN DIOR)を訪れ、「ディオール」のフレグランスの世界を学んだ。

 今回のプレインターンシップは、昨年5月に完成したばかりのパルファン・クリスチャン・ディオールのオフィス見学からはじまった。新しいオフィスは、交流を促すためにフリーアドレス。いろんな働き方があるからこそ、いろんなデスクを配置し、「違う人の、違うアイデアが大事にされるべき」環境を整えているという。こうしたオフィス環境の整備に携わったのは、社内のスタッフという。このチームは店舗のほか、ポップアップなどのイベントも担当する「ディオール」を知る人たちだ。学生たちは、「ディオール」を知る人たちだからこそ「ディオール」にふさわしいオフィス空間が完成したこと、そして「ディオール」にふさわしい空間だからこそ「ディオール」らしいアイデアが生まれることなどを感覚的に掴んだようだ。

 その後は、1000人弱のビューティ・コンサルタントもブランドや製品について学びを深める「ディオール ハウス」で、人気フレグランスの“ミス ディオール”について学んだ。ブランドを創業したクリスチャン・ディオールは、1905年1月21日生まれ。内気で夢見がちの恥ずかしがり屋だったが、一番下の妹を可愛がると共に母親を敬愛し、彼女が丹精を込めて作った庭の花々を愛するようになって、花々をふんだんに用いた香水を世に送り出した。人気フレグランスの“ミス ディオール”は、1947年に発表した「コロール(花冠)」ラインと共に誕生し、その後時代に応じて香りは少しずつ変わっているが、一方で歴史を重んじるメゾンは初代“ミス ディオール”の香りもまだ店頭で販売しているという。

 現在の”ミス ディオール”も含め、多くの香水はエッセンスと水、そしてアルコールの3つで構成されている。そこでワークショップでは、現在の人気No.1フレグランスの“ミス ディオール ブルーミング ブーケ”を構成する4つのエッセンスの香りを嗅ぎ、そのイメージを「ディオール」の代表的なドレスを描いたイラストの上に色や柄で表現するワークショップに挑戦した。中高生は4つの香りを順番に嗅ぎながら、そのイメージをドレスの上で表現していく。ワークショップの後に明かされた4つのエッセンスは、ベルガモットとダマスクローズ、ピオニー アコード、そしてホワイトムスク。ホワイトムスクは、ジャコウジカの分泌物から構成するムスクの香りを人工的に再現した合成香料だ。「ディオール」は現在、動物愛護の観点からムスクではなく、ホワイトムスクを使っているという。4つのエッセンスを嗅いだ後は、それらが複雑に入り混じる“ミス ディオール ブルーミング ブーケ”の香りを楽しんだ。ここでは、「香水は、体温で温められて拡散することで香ること」「だからこそフレグランスは、体温の高い場所や脈打つところにつけると効果的であること」「香りは下から上に立ち上がる性質があるため、足首や膝の裏、ウエストなどに使っても効果的であること」などを学び、不安やストレスに向き合い、気分を高めるためにも使えることなどを学んだ。

 「ディオール」には現在、“ミス ディオール”のほか、1999年に誕生した“ジャドール”、2015年に発売した“ソヴァージュ”などの人気フレグランスラインを有している。このうち“ジャドール”からは昨年、アルコールを使わずに水とエッセンスだけを用いた“ジャドール パルファン ドー”が誕生した。アルコールを使わないため、“ジャドール パルファン ドー”は肌が敏感な人でも楽しめる。中高生は、「ディオール」は歴史あるブランドである一方、新しいものを生み出す挑戦の姿勢も忘れていないことを感じとったようだ。

 中高生に「ディオール」のフレグランスについて教えてくれた梅木恭子リテールサービス&フレグランス マネジャーは、「会社に入社して18年、ずっと新しい製品と新しい考えに触れ続けています。この会社は、一言で言えば『楽しい会社』。一流で高品質のスキンケアやメイクアップ、フレグランスは自分にとっても楽しく、それらをお客さまに紹介できるのは本当に嬉しいことです。化粧品は子どもの頃から大好きで美容部員、そしてトレーナーになりました。『なりたい』『挑戦したい』で夢は広がります。皆さんもぜひ得意分野を伸ばしてください」とエールを送った。

参加した学生のレポートから
 今回のプレ・インターシップでは「ディオール」の香水について教えて頂きました。最初はオフィスを見学しました。中はシンプルだけれど、細かいところにこだわっている印象でした。正面にはリップや香水、スキンケアの商品が並び、本などもありました。1番印象に残ったのは、オフィスのデスクでした。普通オフィスのデスクは規則的に向かい合って置かれてるものだと想像します。でもディオールのオフィスのデスクは、色んなところに、色んなデザインのデスクが置いてありました。自分の働き方に合わせるためだそうです。 「ディオール」の香水は、ドレスと共に発売されたそうです。クリスチャン・ディオールは、「見えないおしゃれも楽しむ」などの名言を残していました。色々な香水は、全て花のような香りでした。クリスチャン・ディオールの母が花好きで、自宅の庭では沢山の花を育てていたそうです。(日髙悠那/中学3年)

 オフィスは、机が綺麗に並んだ様子を想像していましたが、全く違いました。ガラスの壁にはクリスチャン・ディオールが描いたドレスや“ミス ディオール”が描かれており、オフィス全体から「ここは『ディオール』なんだ」という雰囲気を感じました。オフィスには「ディオール」にまつわるアイテムと日本を意識した家具や照明があり、少し不思議な感じもしますが、慣れるととても素敵な空間に思えます。多くの企業が店舗やオフィスのデザインを外注するなか、自社にデザインチームがある点に驚きました。次は“ミス ディオール”の歴史についてです。香水の名前自体はよく聞きますが、その裏にどんなストーリーがあるのかを知らない人は多いと思います。書くと長くなるので是非調べてください(笑)。クリスチャン・ディオールの思いをしっかりと受け継ぎ、次に繋げていくための教育も充実しており、ビューティの世界で好調な企業の凄さを実感しました。(森脇貴志/高校3年)

 クリスチャン・ディオールが立ち上げた「ディオール」は、今や超有名ブランドとして日本でも多くの人に愛されていますが、さまざまな歴史とこだわりがありました。「ディオール」は1947年という第二次世界大戦直後に、クリスチャン・ディオールが「すべての女性に幸せになって欲しい」と願い、始めたブランドです。その中でも香水では“ミス ディオール”を初めとした、さまざまな種類の香水を手掛けています。香水の原料を巧みに調香し、「ディオール」ならではの女性らしい上品な香りを表現しているのです。「ディオール」の凄いところは、製品だけではありません。社内には、様々な専門的な部署があり、働きやすい職場のように思えました。(K.K/中学2年)

 今回はパルファン・クリスチャン・ディオールで「ディオール」のフレグランスに焦点を当てたプレインターンシップを体験した。戦後間もない頃から「ディオール」が発表し続けている香りや、そこで働く方たちについて知ることができた。まずはオフィスを見学させていただいた。オフィスはシンプル。とても開放的でコワーキングスペースのような印象を受けた。部署ごとにパーテーションで区切らず、関わる全ての人が1つのチームとしていろいろな意見を交わせる空間を大事にしているそうだ。明かりもデザイン性の高いライトだったり、壁には「ディオール」が大切にしている言葉が書かれていたり、自由で、会話が生まれそうな環境だ。オフィスがワクワクするような空間に設計されていることで、ワクワクするような企画が出来上がるという話を聞き、楽しい!を共有するには、自分が楽しんで仕事をすることが大切だと感じた。

 後半は「ディオール」が大切にしてきた香りを学ぶべく、代表的な“ミス ディオール”を形づくる4つのエッセンスを嗅ぎ、それぞれにどのような印象を受けたかドレスの絵に色をつけたりデザインを描いたりして表現した。ドレスの柄を描いたり、色が周りと異なっていたりと個性が出る体験だった。私自身、香りは「〇〇みたい」と他のものに例えて説明することが多かったから、色や形で説明するのは新鮮。それぞれが違ったデザインで“ミス ディオール”を形容していることがわかり、とても興味深かった。

 働いている方のお話では、クリスチャン・ディオールが柱としていた「女性を美しくするだけでなく、より幸せにしたい」という意思が受け継がれていることが強く伝わった。特に「『ディオール』らしさ」を感じたのは、オフィスデザインを手掛ける方が社内に所属していると聞いたときだ。創設者のクリスチャン・ディオール自身も建築を学び、ドレスのデザインと設計に共通点を感じていたらしい。今でも建築を重んじる姿勢に「ディオール」の信念があると感じた。アルコールフリーの香水など、時代の流れに合わせて挑戦する気持ちを持ち合わせながら、歴史も大切にする姿勢が備わっているからこそ、常に誰かの憧れであり、ワクワクできるブランドとして今も愛されているのだ。(Ema/高校2年)

 今回のプレインターンシップでは、パルファン・クリスチャン・ディオールのオフィスを訪れ、世界で幅広い人々に愛されている「ディオール」のフレグランスについて学んだ。

 オフィスではエントランスから「ディオール」のフレグランスの香りが漂い、中に入ると代名詞である香水やリップなどがいくつも並んで飾ってあった。オフィスデザインにも細かいこだわりがあるのが見てとれる。「ディオール」が大切にしている言葉や可愛らしいイラストが描かれ、オフィスにこそ世界観が凝縮されていることが分かる。デザインだけでなく、スタッフがより快適に仕事ができるよう、デスクなどのレイアウトにも工夫があった。それぞれのワークスタイルが異なることを考慮し、一人で作業をするスペースやグループでディスカッションできるデスクなど、さまざまな仕事環境が整っている。普段見ることのないオフィスを訪れ、パルファン・クリスチャン・ディオールのこだわりや工夫について、新しい発見を沢山見つけ学ぶことができた。

 フレグランス研修では、フレグランスの深く、長い歴史を学んだ。個人的に「ディオール」のフレグランスは愛用しているからこそ、どうやって誕生し、それらの商品はどう売り出されていくのか?色んな種類がある香水は、それぞれどんな効果があって、いつ使うべきなのか?自分が知っていたこと以上を学べて勉強になった。特に、4つの違う香りを嗅ぎ、それぞれで感じたことを実際に絵や色で表現するワークショップは興味深かった。感じたことを自分で選んだ色などで表すことで、その香りが一体どんな影響を与えるのか?それらを組み合わせてどう“ミス ディオール”という香水の完成形に辿り着くのか?を思うとワクワクした。

 パルファン・クリスチャン・ディオールが作り上げたさまざまな香水の香りを感じ、それぞれにどんな意味が込められ、どんなお客さまに提供したいのかを学ぶことができた。花と水だけで作った香水が誕生したことも知り、「ディオール」には長い歴史とアイコニックな製品がいくつもあっても、新しいものを作り出して満足感をさらに高めようとしていることが知った。普段使っている香水だからこそ、新しい製品に出合いたいという思いが強くなった。(Moeka Omi)

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

原宿・新時代 ファッション&カルチャーをつなぐ人たち【WWDJAPAN BEAUTY付録:中価格帯コスメ攻略法】

「WWDJAPAN」4月22日号の特集は「原宿・新時代」です。ファッションの街・原宿が転換期を迎えています。訪日客が急回復し、裏通りまで人であふれるようになりました。新しい店舗も次々にオープンし、4月17日には神宮前交差点に大型商業施設「ハラカド」が開業しました。目まぐるしく更新され、世界への発信力を高める原宿。この街の担い手たちは、時代の変化をどう読み取り、何をしようとしているのか。この特集では…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。

メルマガ会員の登録が完了しました。