「グローバルブランドなのに日本での自由度が高い。その強みをもっと生かす」と話すのは、ドームの井出和仁社長だ。同社は米スポーツブランド「アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)」の日本事業を手がける。日本のニーズに即した日本企画を、段階的に全体の5割ほどに高める。きめ細かいマーケティングでリーチできなかった層に接近する。
日本において「アンダーアーマー」は野球、サッカー、バスケットボールが強い。この体育会系の硬派なイメージを大切にしながらも、もう少しライトな層をどれだけ獲得できるかが成長のカギとみる。健康や美容、ダイエットのためにスポーツをする人たち、その延長にあるアスレジャーに伸び代があるという。まだシェアが低いシューズもポテンシャルが大きいと見る。
アンダーアーマーとドームは、米国本社と日本代理店の枠を超えた信頼関係を築いてきた。アンダーアーマー創業者のケビン・プランク(Kevin Plank)とドーム創業者の安田秀一氏は、1998年にブランク氏が会社を設立して以来の盟友。当時20代で共に元アメフト選手だった2人は、後に同ブランドの代名詞になった高機能アンダーウエアの可能性を信じ、日米で緊密に連携を取りながらブランドを育て上げてきた。
ドームは2022年に伊藤忠商事の傘下になり、井出社長も伊藤忠の出身だ。経営体制は変わったものの、長年の関係は受け継がれている。
17日には東京・有明の本社で小売り関係者など百十数人を招いた「2026年秋冬セールスサミット」を開催した。井出社長らによる事業戦略や新商品のプレゼンテーション、辻直人、赤穂ひまわりらプロバスケ選手によるトークショーを開催した。
ドームの売上高は現在300億円前後。当面は売上拡大よりも利益改善を重視する。足腰を磐石にさせた上で、大型路面店の出店などの投資を再開させる。