5月に「ディオール(DIOR)」のウィメンズ担当アーティスティック・ディレクターを退任したマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)が、同じくLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)の傘下にある「フェンディ(FENDI)」のチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任することが明らかになった。1989年に「フェンディ」でキャリアをスタートしたマリア・グラツィアにとっては、久しぶりの復帰となる。
LVMH会長兼CEOのベルナール・アルノー(Bernard Arnault)は「マリア・グラツィアは、今日のファッション界で最も優れた才能を持つ一人。LVMHグループの中で創造性を発揮し続けるため『フェンディ』に戻ることを大変嬉しく思う。彼女にとって愛着のあるローマで、マリア・グラツィアは芸術的な刷新と将来の成功に貢献し、ヘリテージを永続させてくれると確信している」と述べた。またフェンディのラモン・ロス(Ramon Ros)会長兼CEOは、マリア・グラツィアによる初のコレクションは2026年2月、ミラノで発表する予定だと述べた。さらに6月にはメンズ、7月にはクチュールを発表する予定で、「今後はマリア・グラツィア一人がブランドに一貫性と長期的な堅実性をもたらす」という。ロス会長兼CEOは、今夏マリア・グラツィアと面談。「会ったのは、候補者を最終決定していた時。私は常に、成功するメゾンの基盤となる一貫性、決断力、そして卓越した技術を持つ女性リーダーとして、彼女を尊敬してきた。彼女は真のプロフェッショナル。献身的で、多くの時間を費やしてきた。これほどの熟練度を身につけるには、時間が何年もかかるものだ」と振り返った。
マリア・グラツィアは、「メゾンの創設者である5人姉妹の指導の下でキャリアをスタートできたことを光栄に、復帰を嬉しく思う。女性によって設立された素晴らしい企業の歴史に新たな章を書き加える任務を託してくれたアルノー会長兼CEOに、心から感謝している」と述べた。
「フェンディ」は9月末、シルヴィア・フェンディ(Silvia Fendi)が名誉会長に就任。昨年10月にはキム・ジョーンズ(Kim Jones)がウィメンズのアーティスティック・ディレクターを退任している。ロス会長兼CEOは、「フェンディとマリア・グラツィアはイタリアの職人技という共通の価値観を共有している」と話す。シルヴィアは5月に行なわれたマリア最後の「ディオール」のファッションショーに出席するなど、2人は親しい関係にあると言われている。
また幹部によると、シルヴィアの娘であるデルフィナ・デレトレズ・フェンディ(Delfina Delettrez Fendi)は引き続きジュエリーコレクションを担当するという。