
ビューティ賢者が最新の業界ニュースを斬る
ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN.com」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。
今週は、世界最大級のクリエイティビティーの祭典「カンヌライオンズ」の話。(この記事は「WWDJAPAN」2025年8月4日号からの抜粋です)

矢野貴久子「BeautyTech.jp」編集長 プロフィール
雑誌編集者を経て1999年からデジタルメディアに関わり2017年、アイスタイルで媒体開発に着手。18年2月に美容業界のイノベーションを扱うメディア「BeautyTech.jp」の編集長に就任
【賢者が選んだ注目ニュース】

2017年にBeautyTech.jpが立ち上がって以来初めて、仏・カンヌで開催する世界最大級のクリエイティビティーの祭典「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル(以下、カンヌライオンズ)」を取材した。
今年の主軸テーマは生成AIだったが、それと同等、あるいはそれ以上の熱量で語られていたのが、多様性・公平性・包摂性(DEI)と女性のエンパワーメントだった。踏み込んだ議論やキャンペーン事例には“見せかけで終わらせない”という熱意がにじんでいた。そして同時に、この分野で退行する米国の対照的な現状も浮かび上がってきた。
米国では現在、DEIを排除する動きが加速している。連邦・州レベルでのDEI関連助成金の削減、大学におけるDEIプログラムの撤廃、グーグルやアマゾン、ウォルマートといった大企業によるイニシアチブの縮小。こういったニュースが続いていただけに、英国に本拠点を持つ企業が主催する「カンヌライオンズ」では欧州の“価値観”を強烈に印象づけた。信念に基づいてDEIに取り組み続ける一部の米国企業が「カンヌライオンズなら安心して発表できる」と考えていたとしても不思議ではない。
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