
毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2025年6月2日号からの抜粋です)
村上:サステナ文脈で取り上げることが多かった「CFCL」ですが、パリコレ進出や路面店の続々オープンなど、5年で急成長の舞台裏には、メリルリンチ出身の松浦(直彦)さんの副社長就任など、エキスパート雇用やスタートアップ的な発想がありそうなことに気づいたんです。業界が参考にできることもありそうだと思い、特集を企画しました。
伊藤:デザイナーは自分の世界観を追求しつつ、着た人をどう美しく見せられるかを考える必要があります。同時に現代では服の過剰生産も解消しなくてはならない。その意味で、「服作りには意義がなければいけない」という姿勢を貫く「CFCL」はとても先進的なブランドだと感じました。
社員みんなが「高橋さんのため」に団結
村上:いろいろ取材してみてよく分かったのは、結局代表でクリエイティブ・ディレクターの高橋(悠介)さんがすごいということ(笑)。社会性や公益性をデザイナーズブランドに盛り込む発想など、既成概念を超越するデザイン思考に感心しました。自分を客観視して、どんな人材が必要かを分析するなど、クリエイターでありながら、すごくロジカル。そこにパッションもあるから、共鳴する人たちが「高橋さんがやりたいことを実現しよう」という組織になっていて面白かったです。
伊藤:私は販売員歴20年超の表参道店店長と、物流担当のママ、70歳のニット開発担当者を取材しましたが、全員がまさにそれで一致していました。高橋さんが多様性を重視しているから、松浦さんがそれを実現するための制度や仕組みを整えており、本当にみんな生き生きと働いていました。松浦さんも「全ては高橋さんのためにやっている。ファッション史に彼の名前を刻みたい」とまさに“曇りなき眼”で語っていました。
村上:高橋さんのコアバリューの制定からシーズンごとのクリエイションまでのデザインシンキング的な感覚は、世界的にみても稀有だと思います。伊藤さんには、ぜひ得た知見を東京のデザイナーたちに共有してほしいです!