ファッション

モデルやアーティストの権利を保護するNY州「ファッション労働者法」の集会が開催される

 モデルの権利保護を主張する団体モデル・アライアンス(MODEL ALLIANCE)創設者のサラ・ジフ(Sara Ziff)やアマゾン(AMAZON)の労働組合会長を務めるクリス・スモールズ(Chris Smalls)は、支援者らとミートパッキング地区で行われたニューヨーク州ファッション労働者法(Fashion Workers Act)の集会に参加した。

 この10年間、モデル・アライアンスはファッション業界や議員に対して「ファッションは仕事である」と説得を続けてきたという。「ファッション業界は華やかに見えるが、若者、特に若い女性や女児によって支えられて成り立っている。そして彼らはマネジメント会社に借金をしながら働いている」と集会に参加したジフは話す。

 ジフは集会の数日前、テレビ番組や映画の制作・配給を手掛けるミラマックス(MIRAMAX)のイタリア支社の元代表、ファブリツィオ・ロンバルド(Fabrizio Lombardo)から19歳のときにレイプされたと主張する訴訟を提起している。訴状によると、2011年にニューヨーク市のホテルで暴行を受けたと主張する。当時、現役のモデルで女優志望だったジフは、ロンバルド元代表からハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)とボブ・ワインスタイン(Bob Weinstein)も参加する飲み会に誘われたが、ジフが到着した際にはワインスタイン兄弟はいなかったという。

 ジフは、この訴訟の一件がモデル・アライアンス設立のきっかけになったと説明する。「当団体のホットラインを通じて、私のような話を何百と聞いてきた。私たちのようなことが二度と起きないよう、モデルやクリエイティブに関わる労働者を保護するファッション労働者法を可決させる必要がある」と話す。

 2022年3月に提出された同法案は、労働者と契約書を交わすことや、45日以内の支払保証、ハラスメントや差別、危険な労働環境から保護することを定めている。可決されれば、エージェント会社はモデルやヘアスタイリスト、コンテンツクリエイター、メイクアップアーティストなどのクリエイティブに関わるアーティストらに対して善管注意義務を負うことが保証される。また、不当に高いコミッションや手数料を課すことも禁止される。

 多くのモデルは、自分が歩いたランウェイショーの契約書を見たことがなく、「いくらもらっているかも知らない。収支が合えばラッキーだ」とジフは話す。「この財務的透明性の欠如は、この業界が性的虐待であふれていることの一因でもある」という。

 集会に参加したアマゾンのスモールズ労働組合会長は、「労働者階級としてのわれわれの義務は、どの業界に所属しているかに関わらず連帯することだ。傍観者にならず当事者であるというスタンスを今日、私は改めて主張する。いつでも最前線に立つつもりだ」。

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