ファッション

無印良品がプラスチック商品の回収・再資源化・再生に本腰

 「無印良品」は2月3日、狭小店などを除く全店舗でプラスチック商品の回収を始めた。対象商品は、衣装/収納クローゼットケースやダストボックス、ファイルボックスなどのポリプロピレン製品とやわらかポリエチレンケースシリーズ。店頭で回収を受け付け、基準をクリアした状態がよい製品は回収店舗で再販される。再販が難しい製品は社内配送便を用いて物流センターに集め、リサイクル工場で粉砕してペレット化。ペレットは国内の生産拠点に運ばれ、品質を損なわないように一部バージン素材を活用しながら、無印良品の製品として生まれ変わる。リサイクル素材を用いた製品は、マテリアルリサイクルの特性上、透明や白の再現は難しく、ダークグレーに染めて再販される。

 リサイクル・リユースに至った経緯を嶋崎朝子・上席執行役員兼生活雑貨部管掌は「主力製品の多くは石油由来。地球資源の循環化と廃棄物削減に向けて、また社会的責任を果たすためにもただ作って売るのではなく、再生方法を検討していた」と話す。合理的な活用方法を検証するために2021年9月から有明店でプラスチック商品の回収を始め、22年9月から東日本の13店舗で随時始めていたが、「発展させるには規模を拡大する必要があった」。大きく動き出したのは昨年の夏。「原料高騰が背中を押した。スキームを万全に整えて始める予定だったが、前倒すことにした。高騰分をリサイクルでカバーするために始めたわけではないが、ゆくゆくはカバーできるようにしたい」と話す。

 回収が始まり消費者からは「『プラスチックの大型ゴミの回収は自治体が行うものだと思っていたが、一般企業が行うのか』という驚きの声や『循環型社会に向けてついに始まるんだ』という期待感があったと聞いている。大型ゴミ回収のための費用がかからない点もポジティブに働いていると思う」と話す。3月末時点で2088kg(PP衣装ケース・引出式・大に換算すると720個分)を回収した。大型商品の持ち込みはハードルが高いと思いきや、「配送料をかけないために大型商品でも持ち帰る人が多い。もちろん、銀座店と郊外店では状況は異なるが、カーボンフットプリントを抑えるためにも店舗回収を進めたい」という。

 そもそも「無印良品」は創業当初から長く使うことができるデザインを大切にしており、汎用性が高くモジュール化できる製品が多い。「捨てないのが一番いい。多くの製品は数十年単位で使うことができるものだが、収納ケースは引っ越しなどでサイズが合わなくなると手放すことが多い製品。そういった製品を、粗大ごみシールを買って捨てるのではなく、地上にある鉱脈という感覚で、持ってきていただきたい。衣装ケースなど大きい製品で回収が進めば、それだけ資源が増える」。

 「ゴミにならない、長持ちして壊れない設計を大前提に、設計時から回収を考える必要がある。分類・分解のしやすさなど、できるだけ低負荷で循環できるようにしないと、回収がうまくいかない。さまざまな商品を展開しているが、どれも再資源化しようと思えばできるものが多い」。さらに循環できる製品開発にも力を入れる。

 課題は「物流の合理化」だという。「製品の状態では大きい。例えば店舗で小さく粉砕して製造工場に直送できればカーボンフットプリントも物流コストも削減できる。しかし、全ての店舗に粉砕機を置くとなると結構な設備になる。こうしたことを検討していく必要がある」。

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