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「ジーユー」の予約制接客サービスの実力はいかほど? プチプラでも接客はプレミアム

ジーユー(GU)」は、2022年秋に出店したマロニエゲート銀座店、大阪・天王寺ミオ店、ルミネ横浜店で、接客に力を入れています。ご存知の通り、「ジーユー」や兄弟ブランドの「ユニクロ(UNIQLO)」は、客自身が商品を探すセルフ買い物方式。販売員から客に積極的に声を掛け、商品を薦めるような接客は基本的に行っていません。その「ジーユー」が、ECがすっかり定着したアフターコロナの時代の中で実店舗の価値を再考するといった文脈のもと、接客強化に舵を切っているわけです。これは実際に体験してみないと!というわけで、マロニエゲート銀座店で、実際に予約制の接客サービスを受けてきました。このサービス、もちろん無料ですよ。

 取材当日、私の接客を担当してくれたのは伊藤結衣さん。彼女は「ジーユー」独自の認定試験に合格した“おしゃリスタ”であり、販売員教育の一環として他の“おしゃリスタ”たちの講師も務めてきたという敏腕販売員です。以前は仙台の店舗で働いていましたが、接客強化を掲げるマロニエゲート銀座店のオープンにあたり、抜擢されて東京にやってきました。マロニエゲート銀座店には、伊藤さんをはじめ“おしゃリスタ”が重点配置されています。10月の開業時は、販売員総勢150人のうち60人が“おしゃリスタ”だという発表でした。

 接客はまず、肌の色が黄ベースか青ベースかを元に、似合う色を判断するパーソナルカラー診断からスタート。“イエベ”“ブルベ”という言葉もすっかり定着したパーソナルカラー診断ですが、私も以前、百貨店のファッションフロアで診断を受けたことがあり、そこでは“ブルベ夏”という結果でした。その際は鏡の前に座り、さまざまな色の布を肩に当てて肌映りを見てもらいましたが、「ジーユー」では専用のリーフレットや店内に掲出されたシートを見ながら、チャート状の質問に答えていく仕組み。今回も私の結果は“ブルベ夏”でした。

 鏡の前で布を当てて診断する百貨店のコンサルティングに比べると、ちょっと簡易に感じるかもしれません。でも、伊藤さんはチャート上にはない「日焼け後の肌はどうなりますか?」「腕の血管は透けて青く見えますか?」といった質問も差し挟みつつ(どちらも肌の薄さがどうかを見るものです)、論理的に傾向を見ていってくれるので、私はこれはこれで非常に納得感がありました。気軽に診断を聞ける感じにも好感。

買い物迷子の30〜40代女性の味方

 その次は骨格診断です。体形を“ストレート”“ウェーブ”“ナチュラル”の3つに分類することで、似合う生地やシルエット、アイテムを判断していくものですが、こちらも婦人服販売では今や定番となっています。ここでも私は、以前別のところで受けた診断通り“骨格ストレート”でした。これもチャートを見ながら質問に答えていくと自分がどれなのかが分かる仕組み。ただ正直、人の体形ってキッチリ3分類できるものでもありません。いろんな要素が混ざり合っていて判断に迷うときがありますが、それも伊藤さんが「どちらかというと、こちらの傾向が多めです」とリードしていってくれます。

 さて、“ブルベ夏”“骨格ストレート”と分かったところで、いよいよフロアを伊藤さんと周りながら服を選んでいきます。ここで伊藤さんがどんな服を探しているかと聞いてくれたので、普段あまり自分では選ばないきれいめエレガントスタイルと、普段の自分に近いカジュアルスタイルの2コーディネートを提案してほしいとお願いしました。「子どもの行事用にフォーマルな服を探している」「婚活服が必要」など、要望を伝えればそれに沿って選んでくださるそう。「自分が何がほしいのかがそもそも分からない」という買い物迷子も、伊藤さんが「普段はどんな服装が多いですか?」「アウター、靴は必要ですか?」などとそれとなく聞き出してくれるので安心です。

 コーディネートが決まったら試着タイム。しかし、服は実際に着てみるとなんか違うなということがよく発生するものですよね。伊藤さんはそれも見越して、私が着替えている間に、両方のコーディネートに対してボトムスやアウターの代替案となる商品をそろえてくれていました。追加でバッグやストールといった雑貨も提案してくれましたよ。カラー診断、骨格診断、商品選び、試着、購入という一連の流れで必要となる時間は、30分強〜1時間弱といった感じでしょうか。リピーターで既にカラー診断結果などが分かっている場合は、商品選びからスタートするのでさらにスムーズだと思います。

 さて、個人的な感想としては、やはり普段着ないエレガントスタイルの方が新鮮でした。マーメイドスカートは、自分一人で買い物していたらまず買わないアイテムですから。「接客したお客さまからも、『人に選んでもらうから、いつもは着ない服を着ることができる』というお声を多くいただきます」と伊藤さん。伊藤さん自身は、マロニエゲート銀座店オープン以来、10〜60代までの幅広いお客さまにこうした予約制接客を行ってきたそうですが、店全体として一番予約数が多いのは、やはり30〜40代の女性客とのこと。私もまさに同世代なのでよく分かりますが、これくらいの年代って、若いころに似合っていた服が似合わなくなり、買い物迷子になりがちなんですよね。もちろん、女性客だけでなく男性客がこのサービスを受けることも可能です。男性販売員の“おしゃリスタ”もいますよ。

5〜6点購入してもトータル1万円!

 この接客サービスの最大のポイントは、これだけしっかりコンサルティングしてもらっても、商品は全て「ジーユー」価格だという点だと私は思います。こうした接客はセレクトショップや百貨店ではそんなに珍しいものではないですが、その場合全身そろえると10万円を超えることもざらです。接客を受けた以上、何か買わなければ申し訳ないという心理も働きます。しかしここは「ジーユー」!ニットは2000円前後、ブルゾンは3000円前後で手に入ります。実際、この接客サービスでの客の平均購入点数は5〜6点、客単価は1万円弱とのこと。10点買って帰ったお客さまもいるそうです。

 こうした緻密な接客は、従来はより高額な商品を扱う店の専売特許でした。「ジーユー」は国内外に約450店あり、その全てがマロニエゲート銀座店と同様のレベルで接客を強化するということはまずないでしょうが、低価格の「ジーユー」がこんなにもしっかりとした接客を打ち出していることに対し、戦々恐々としているブランドやショップは少なくないのでは。伊藤さんやマロニエゲート銀座店の“おしゃリスタ”たちは、「10月の開業前にとにかく接客ロールプレーイングを何度も重ねて、お客さまへの対応力を磨いてきた」そう。これまでセルフ買い物方式だった「ジーユー」が、突然接客を強化することになったんですから、皆さん非常に努力されているんだと思います。

 最後に、伊藤さんにちょっと意地悪な質問をしてみました。「せっかく接客力を磨いているんだから、どうせならさらに高額な商品を売ってみたい、自分の売る力を試してみたいとは思わないの?」と。それに対しては、「(ジーユーの親会社である)ファーストリテイリングは世界一を目指している会社。私一人では世界一にはなれないけれど、この組織の中で接客強化の仕組みを動かしていけば世界一に近づけるはず。私は“おしゃリスタ”の組織部門でこの会社を世界一にしたいんです」という答えでした。なんてすばらしい回答。伊藤さん、これからも頑張ってくださいね!

 この接客サービスを受けてみたいという場合は、マロニエゲート銀座店、天王寺ミオ店、ルミネ横浜店それぞれの予約専用グーグルフォームから日時を予約します。グーグルフォームは、「ジーユー 接客 予約」などで検索をかけるとすぐに辿りつけますよ。店頭がそれほど混んでいない場合は予約なしでその場で申し込むこともできるそうですが、セールなどの繁忙期は確認が必要です。

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