ファッション

5000人の観客を圧倒した「ディーゼル」に、若々しさを感じる「フェンディ」 完全復活の2023年春夏ミラノコレ現地リポートVol.1

 ボン・ジョールノ!「WWDJAPAN」欧州通信員の藪野です。またまた半年ぶりにミラノに戻ってきました。まさに「完全復活」という言葉がふさわしい今季のミラノ・ファッション・ウイークは、常連のビッグブランドに加え、新たに就任したクリエイティブ・ディレクターによるデビューショーやアニバーサリーを祝うコレクションが目白押し!プレゼンテーションやパーティー、イベントも盛りだくさんで、朝から晩まで街中を駆け巡る怒涛の5日間です。また、今シーズンは日本からの出張を再開される方も多く、現地で久しぶりにお会いできるのが楽しみなシーズンでもあります。それでは今回は、「ディーゼル(DIESEL)」や「フェンディ(FENDI)」など1日目のハイライトをお届けします!

DIESEL

 今季の会場は、スポーツの試合などが行われるスタジアム。「ファッションショーに行ったことのない人たちにも『ディーゼル(DIESEL)』を知ってもらいたい 」というグレン・マーティンス(Glenn Martens)の思いから、オンラインで募集した一般客3000人や学生1600人を含む約5000人を招待し、“民主的なブランド”というイメージを強めています。そんな今の「ディーゼル」の注目度を裏付けるように若者が数多く集まった空間の中央には、先シーズンの会場にも見られた巨大な人型バルーン。今回は4人が親密に絡み合うようなデザインで、ギネス世界記録に「史上最大」と認定されているそう。招待状と一緒に送られてきたのはセックストイのガラス製アナルプラグでしたし、グレンは「挑発的」や「セクシー」「ファッションの楽しさ」といった「ディーゼル」の核にある要素を表現しようとしていることが伺えます。

 コレクションは、これまで彼が「ディーゼル」で探求してきたものをさらに発展させたようなラインアップです。その柱となるのは、「デニム」「ユーティリティー」「ポップ」「実験」という4つのストーリー。多彩な加工技術を生かして、ユニークなアイテムを生み出しています。ファーストルックは、デニムのブラトップとコルセットをドッキングしたローライズジーンズ。コルセット部分は、透け感のある生地にデニムを織り込むことで、オパール加工(薬品で繊維の一部を溶かす方法)を施したかのようなデザインに仕上げているのが新鮮です。そのほか、はしご状に激しいダメージ加工や日に焼けて色が褪せたような加工のデニムから、ウォッシュドデニムの上に重ねたチュールにダメージを施したデザイン、ダメージデニムをスキャンしてプリントしたセカンドスキン、表地に大胆なカットアウトを施したレイヤードTシャツやブルゾンなど、豊富なアイデアが光ります。

 また、カジュアルウエアにオーガンジーやレースを合わせたルックは、グレンらしいエッジィなムードの中にロマンチックを感じる仕上がり。メタリックやアシッドカラーのミニドレスは、ポップなイメージにつながります。終盤にかけては、実験的なアプローチのアイテムを連打。ジャケットの肩と袖やボトムスのサイドにたっぷりの縫い代をそのまま残したようなデザインから、1万5000枚以上のロゴラベルにダメージ加工を加えてファーのように仕立てたジャケットやコート、生地の端をほどいてフリンジ状に仕上げたラップスカートまで、インパクト満点のルックがそろいます。勢いを感じるショーにテンションが上がりました!

FENDI

 ニューヨークでアイコンバッグ“バゲット”の25周年を祝うコレクションを披露したばかりの「フェンディ(FENDI)」ですが、ここミラノでは2023年春夏のショーを開きました。今季は、就任して以来キム・ジョーンズ(Kim Jones)が確立してきたデザインコードや7月のクチュールからの流れを感じるとともに、とても若々しい印象が際立つコレクション。特に気になったのは、ダブルFのバックル付きのローライズカーゴパンツやミニスカート。そんなY2Kムードを感じさせるアイテムに加え、Dリングで留めて垂らすストラップベルトやシルエットを変化させるファスナー、ハイテク素材といったユーティリティーの要素をサテンやミンクといった素材に合わせていたり、ビビッドなグリーンやピンクといったフレッシュなアクセントカラーを取り入れたりしているところに、キムらしいモダンな感性が生きています。

 内側を表に出したシャープなテーラリングは、キムが手掛ける「ディオール(DIOR)」のメンズでも見られたデザインですが、「フェンディ」のプレタポルテではウエストの横から背面にかけてカットアウトしたり、クロップド丈で仕上げたりしています。そこに加えるのは、日本を着想源にした前回のクチュールにも通じる、結んだ帯のようなベルト。ノーカラーコートにも同様のディテールが見られ、今季を象徴するデザインとして提案されています。そして、先シーズンも数多く登場したシアーなレイヤードは、オーガンジーのドレスを重ねたスタイルで提案。シアなレイヤードスタイルは、他のブランドのショーにも多く見られ、今季のトレンドになりそうです。

 足元は、プラットフォーム&ウェッジヒールのタイトロングブーツやサンダル。フィナーレにキムとシルヴィア・フェンディ(Silvia Fendi)と共に登場したデルフィナ・デレトレズ・フェンディ(Delfina Delettrez Fendi)も早速着用していましたが、彼女がやはり今の「フェンディ」の女性像を体現する存在なのだと感じます。

BRUNELLO CUCINELLI

 女性探検家というアイデアが出発点となった今季は、「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」らしい上質なスタイルに、ユーティリティーと航海士や冒険家のユニフォームから着想を得た要素をミックス。グラデーション豊かなベージュや黒に、少しくすんだローズやラベンダー、セージグリーンなどが映えます。中心となるのは、エフォートレスなテーラリングとクチュールのように手が込んだニットウエア。特に夏らしいリネンのアイテムや、透明なスパンコールでさりげない煌めきを加えたクロシェニットが気になりました。

N°21

 今季の「ヌメロ ヴェントゥーノ(N°21)」は「THE LOVERS」と題し、愛や喜び、情熱からエロチシズム、性的欲求、怒りまで、恋人たちのさまざまな感情を色やデザインに落とし込みました。キーカラーは、赤や黒、そして淡いピンクやミントグリーン。透け感のあるドレスやスカートの下に着たサテンのブラやキュロットを見せるスタイリングがポイントになっています。ほかにも、大胆に開いた胸元や背中、完全に閉まっていない背面のファスナー、肩がはだけたような着こなしなどで、アレッサンドロ・デラクア(Alessandro Dell’Acqua)が得意とするセンシュアルなムードを醸し出したコレクション。

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