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丸の内、街づくりの曲がり角 三菱地所「コロナ後」をどう描くか

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 東京・丸の内の丸ビルが建て替えから20周年を迎えた。丸ビル開業を機に丸の内エリア(丸の内、大手町、有楽町)は、働くだけのオフィス街ではなく、ショッピングやグルメなど多面的な顔を持つ街へと変貌した。街づくりを主導したのは、「丸の内の大家」と呼ばれる三菱地所。今後も大型の開発プロジェクトを控えるが、在宅勤務の浸透によって出社機会は減っている。曲がり角を迎えた丸の内の商業はどうなるのか。(この記事はWWDジャパン2022年9月19日号からの抜粋です)

 道路に敷かれた天然芝の上で、大人たちはくつろぎ、子供たちは遊具や卓球台で遊ぶ。丸の内の仲通りを公園のような空間に変える社会実験「マルノウチ・ストリート・パーク」が8月2日から9月11日まで開催され、終日にぎわいを見せた。主催は三菱地所と、地権者などで構成される大丸有エリアマネジメント協会と大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会。2019年にスタートし、今回で4回目を数える。

 イベントには地元のホテルや店舗が多く参加した。ザ・ペニンシュラ東京や東京ステーションホテルのキッチンカーが提供する食事を楽しむ買い物客や、用意された専用のフリーWi-Fiや充電スポットを使ってパソコンを開くビジネスマンの姿も見られた。期間中には「エルメス」によるドッグパーク(犬を遊ばせるスペースの設置)、「パタゴニア」による食品販売なども催された。ここで得られた利用者の意見やデータを街づくりに生かす。

 公道を使ったイベントを1カ月にわたって行えるのは、三菱地所による力が大きい。丸の内エリアに約100棟あるビルの3分の1を保有し、それ以外のビルでもオフィスや店舗のリーシングを担う三菱地所は、地域全体に深く関与する。国家戦略特区に指定された丸の内では同社が東京都や行政と連携しながら、にぎわいの創出を仲通りなどで定期的に実施している。

 背景には、コロナで出社機会が減り、EC(ネット通販)の利用が増える中、街にわざわざ足を運ぶ動機が薄れる現状への危機感がある。約28万人の就業人口が消費パワーの分母になっている丸の内エリアでは、在宅勤務の浸透は痛手だ。リアルならではの魅力を訴求することで、新しい来街者を増やす。

丸ビルと新丸ビルが 開業以来の大規模改装

 新しい来街者を増やす試みは、建て替え開業から20年を迎えた丸ビル、15年の新丸ビルでも進む。9月から来年春にかけて段階的に大規模な改装を行う。丸ビルは約2割の区画が対象。小幅の改装は実施してきたが、共用部や飲食ゾーンを含めた大規模改装は、今回が両ビルとも初めて。

 丸ビルの改装の目玉は、12月に開店予定の「ツタヤ ブックストア」の大型店だ。3・4階に大型書店の機能とともに、仕事や飲食で利用できるシェアラウンジを併設した1815㎡の空間を作る。物販だけではなく、コミュニティーの場としての役割を期待する。三菱地所は2020年7月に発表したビジョン「ポストコロナ時代の街づくり」において、丸の内を「『就業者28万人×8時間』から『多様な就業者100万人×最適な時間、交流する場』に転換する」とうたう。丸の内エリアの会社に勤務していないビジネスパーソンのサードプレイスとしての役割を強化していく。

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