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アディダスが革新的な”ループ”戦略の先に見るもの ドイツ本社のキーマンが語る

 アディダス(ADIDAS)は、“END PLASTIC WASTE プラスチックゼロの未来へ。”を掲げ、本格的なサプライチェーンの変革に取り組み始めている。製品を単一素材で作ることで回収・粉砕・再資源化・再利用する“フューチャークラフト.ループ”やマッシュルームレザーを用いた“スタンスミス マイロ(STAN SMITH Mylo)”など、先進的な取り組みは何を目指し、どこへ向かうのか。マルヴィン・ホフマン(Marwin Hoffman)=ヴァイスプレジデント・アウトドアマーケティングに聞く。

WWD:サステナビリティ戦略では“END PLASTIC WASTE”を掲げ、その最初のステップとして“ループ”戦略を定義した。

マルヴィン・ホフマン=ヴァイスプレジデント・アウトドアマーケティング(以下、ホフマン):ループ戦略は、プラスチックごみをなくすために策定し、これは製品を作る素材を見直す上での明確なロードマップになっている。私たちの目標のひとつは、25年までに製造品目の90%にサステナブルな技術、素材、デザインもしくは製造方法を採用すること。製品がサステナブルかどうかという基準の多くは素材に関連している。従来の製品と比較して環境上の利点を持っているかどうか、環境に配慮した素材で製造されているかどうか、で判断している。24年までに、可能な限りバージンポリエステルをリサイクル素材に置き換える計画だ。

WWD:海洋ごみを再資源化し、さまざまな商品に使用しているのは素晴らしいことだが、環境配慮型素材への置き換えだけでは解決できないことも多いのでは?

ホフマン:私たちの次の目標は、アディダスという企業を一方向的なリニアモデルからサーキュラー(循環型)モデルのビジネスに移行することだ。使用後に回収し、粉砕して、新製品にリメイクすることを前提に、製品作りを再設計しなければならない。これは19年に“フューチャークラフト.ループ”から始まったプロジェクトで、その後3世代のプロトタイプを経て、“メイド・トゥ・ビィ・リメイド(Made To Be Remade以下、MTBR)”ラインとして展開している(日本未発売)。22年には、人気商品にもこのコンセプトを拡大する。

 同時に掲げているのが「メイド・ウィズ・ネイチャー(Made with Nature)」で、自然由来の繊維や天然由来の生体高分子、天然素材のミッドソールなどの可能性も追求している。フィンランド発のスタートアップ企業スピノバ(Spinnova)とのパートナーシップによる“テレックスHS1(TERREX HS1)パーカーもその一つ。生地の約30%は、有害な化学物質の使用を避けるため、木材を機械的に粉砕した繊維を使用している。また直近のシーズンでは、素材の約50%に天然素材と再生可能な材料を採用した“ウルトラブースト22(Ultraboost 22)”を発売した。

WWD:スピノバの繊維のどういう点を評価しているか。今後の展開は?

ホフマン:テレックス(Terrex)では、プラスチックごみゼロの未来を目指し、高機能ウエアの持続可能性を高められる点だ。“テレックス HS1”は、スピノバとの協業した最初の製品だ。染色や漂白のための化学薬品を使用せず、素材の自然な色を尊重したため、標準の染色プロセスよりも使用する水量が少ない。7月から、数量限定で公式サイトおよび一部の小売店で販売している。

WWD:サーキュラー型へのビジネス移行には、サブスク型やレンタル、リペアなどのサービスが考えられるが、今後の展望は?

ホフマン:現在、それぞれの製品のライフサイクルを延長し、埋め立て地に捨てられないようにするための新しい方法に挑戦している。例えば“MTBR”では、消費者は商品のQRコードをスキャンし、アディダスアプリにアクセスすると、使い終わったMTBR製品を返品することができるようになる。今後はMTBRプログラム全体の強化に向け、「製品の返品」に対する消費者行動をよりよく理解するために、一部のマーケットで返品サービスも実験的に行っている。