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なぜ「透明感」にこだわるのか 考えたい言葉 vol.25

 「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズの連載「考えたい言葉」は、2週間に1回、同期の若手2人がファッション&ビューティ業界で当たり前に使われている言葉について対話します。担当する2人は普段から“当たり前”について疑問を持ち、深く考え、先輩たちからはきっと「めんどうくさい」と思われているだろうな……とビビりつつも、それでも「メディアでは、より良い社会のための言葉を使っていきたい」と思考を続けます。第25弾は、【透明感】をテーマに語り合いました。「WWDJAPAN.com」では、2人が対話して見出した言葉の意味を、あくまで1つの考えとして紹介します。

若手2人が考える【透明感】

 「透明感」は、辞書的には純粋で濁りのないさまを指す言葉だが、メイクのスタイルや肌の質感などのビューティ、人物の雰囲気などを表すためにも頻繁に使われている。

 メイクでは、光が入り込むようなみずみずしいツヤ、抜け感のあるミニマルなポイントメイクなどが「透明感」の演出としてあげられる。またカラーコントロール下地では、黄色とオレンジを打ち消す、寒色系のパープルやブルーなどが「透明感」を出すとされる。水やガラスなど透明なものが寒色系の色を連想させることが理由と考えられる。スキンケアでは、“くすみ”がない様などを指す。肌の清浄やメイク以外の効果として商品に記載すると化粧品として承認された効果の範囲を超えてしまうので注意が必要だ。また、本来「透明感」と肌の白さは関係ないが、「美白」という日本の美の基準と交差し、時に同義語として扱われている。

 人物の雰囲気では、涼しげなイメージや純粋な雰囲気を抽象的に表す。特に、主に若い女性に使われ、いわゆる“清純派女優”のイメージに直結している。「透明感」を、英語をはじめとする他言語に訳すことは難しく、“透明”であることが人物に褒め言葉として使われるのは文化的にも珍しい。

【ポッドキャスト】

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WWDJAPAN PODCAST
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なぜ「透明感」にこだわるのか 考えたい言葉 vol.25
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ポッドキャスト配信者

佐立武士(さだち・たけし):He/Him。ソーシャルエディター。幼少期をアメリカ・コネチカット州で過ごし、その後は日本とアメリカの高校に通う。早稲田大学国際教養学部を卒業し、新卒でINFASパブリケーションズに入社。在学中はジェンダーとポストコロニアリズムに焦点を置き、ロンドン大学・東洋アフリカ研究学院に留学。学業の傍ら、当事者としてLGBTQ+ウエブメディアでライターをしていた。現在は「WWDJAPAN」のソーシャルメディアとユース向けのコンテンツに注力する。ニックネームはディラン

ソーンマヤ:She/Her。翻訳担当。日本の高校を卒業後、オランダのライデン大学に進学して考古学を主専攻に、アムステルダム大学でジェンダー学を副専攻する。今ある社会のあり方を探求すべく勉強を開始したものの、「そもそもこれまで習ってきた歴史観は、どの視点から語られているものなのだろう?」と疑問を持ち、ジェンダー考古学をテーマに研究を進めた。「WWDJAPAN」では翻訳をメインに、メディアの力を通して物事を見る視点を増やせるような記事づくりに励む

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