ファッション

「トーガ」2016年春夏ロンドン・コレクション

REPORT

ロンドンで初ショー 古田泰子の18年目の前進

トーガ(TOGA)」が、ロンドンで初めてショー形式で発表した。英国のPR会社など現地の有力なスタッフとの出会いがショー開催につながり、「すべてがスムーズに進んだ」とデザイナーの古田泰子。基本的なスタイルは東京やパリでショーを行っていた時と変わらないが、ロンドンという好相性の場所を見出し、デビュー18年目にしてその世界観は一層色濃くなっている。

ショー会場は薄暗く、架空の花が咲く木がところどころに植えられ、20人・40ルックのモデルはその間を縫うように歩いた。シーズンのキーワードは“花弁、鉱物、波線”。「何を意識することもなく、存在しているだけで美しい自然の形や色に惹かれた」と古田デザイナーは言う。力強さと繊細さ、華やかさと素朴さ、グロテスクな一面など、自然界が持ついくつもの表情は、彼女が追求している“カオスの中でだけ生きられる、複雑な心を持つ女たち”と重なる。

アイテムのメーンはドレスで、単品コーディネートでもドレスのような印象を受けるのは世界観がクリアだからだろう。その世界観を形成するのは、ユニークな生地使いと、複雑さを増した独特のパターン・メーキングだ。テクニックはボンディングが目を引き、繊細に見えるアコーディオンプリーツも厚地サテンを張り合わせてあるため硬く、触るとそのギャップに驚く。いたるところに飾られた花弁や海藻のようなラッフルも多くがボンディングによりハリを出してあり、有機的でフェミニンな見た目と異なる。袖を通しているモデルたちは、ラッフルという名前の武器を纏う感覚かもしれない。

また、海を漂うクラゲのような浮遊感を出すためにチュールを多く用いている。架空の花や生き物をプリントや刺しゅうでチュールに施し、パンツに重ねるオーバースカートや、素肌に着るブラウスなどに仕立てている。乱暴に動けば破れるメッシュは決して機能的な素材ではないが、そのメッシュを破かないように丁寧に立ち振る舞うことで、着る人は自分の中の“女性性”を再認識することになる。

色も自然界からヒントを得ており、水のような青や人肌のようなベージュなど。中でも、ケイトウの花や鮮血をほうふつとさせる鮮やかな赤が印象的で、黒とのコントラストで見せたり、スリットの内側に配したりと効果的に用いている。

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