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大手に聞く“アダプティブ・ファッション”の役割  「トミー ヒルフィガー」編

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 「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」の“アダプティブ(適応するという意味)”ラインは、2016年にスタート。19年には日本での発売を開始し、現在はシーズンで百数十SKUの商品を販売している。車いすユーザーのファッションジャーナリスト、徳永啓太が、トミー・ヒルフィガーに経緯やプロセス、ビジネスとしての可能性を聞いた。(この記事はWWDジャパン2021年5月24日号からの抜粋に加筆しています)

当事者も「トミーヒルフィガー」の洋服が着たい

徳永啓太(以下、徳永):「トミー ヒルフィガー アダプティブ」の立ち上げでは、当事者との対話を繰り返した。

トミー・ヒルフィガー(以下、トミー):プレミアムブランドとして初めて皆が楽しめる“アダプティブ”ラインを開発するに当たり、対話を通して学ぶことは本当に多かった。最初に学んだのは、当事者も「トミー ヒルフィガー」の同じ洋服が着たいこと。店頭やECで見てきたものに、着やすさのための機能性が潜んでいる洋服を望んでいた。だからデザイナーは、メーンラインと同一人物。これまで通りの洋服に、最初は車いすユーザーとの対話を通して学んだファスナーやボタン、ポケットの配置に関する工夫を盛り込んだ。1人でも多くの当事者をアシストできればと工夫を凝らした。そんな洋服を「トミー ヒルフィガー」の名前で提供している。当事者は皆、それを望んでいるから。

徳永:自閉症の当事者父親として、それまで日常生活での不便を感じていた?

トミー:「毎朝の着替えが、もっと簡単になったら!!」と何度も願ったよ。自閉症児には、感覚過敏な子どもも多い。洋服のパーツが体に当たると、くすぐったがったり、熱がったり、痛がったりすることもある。親としては、愛する子どもがクラスメートとは違う洋服を着なければならないと知った時もつらかった。こうした経験が私を動かし、“アダプティブ”が生まれたんだ。

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