ビューティ

障がい者も使えるメイクアップツールが続々 海外で進む“インクルーシブ・ビューティ”

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 ビューティ業界のダイバーシティ&インクルージョンが進む中で、障がい者にもアクセシブルなメイクアップやツールを手掛けるブランドが話題だ。「ガイド ビューティ(GUIDE BEAUTY)」や「コール クリエイティブス(KOHL KREATIVES)」は手元が安定しない人でも楽しめるメイクアップとツールを手掛け、誰もが使える“インクルーシブ・ビューティ”を提案する。

 「ガイド ビューティ」を立ち上げたテリー・ブライアント(Terri Bryant)は元々セレブリティや大手ブランドのメイクを手掛けていたメイクアップアーティスト。しかし6年前にパーキンソン病と診断された後、これまでのようにメイクができなくなったことをきっかけに自身のブランドを立ち上げる。「Beauty for All(全ての人のためにビューティ)」をコンセプトに、ユニバーサルデザインを取り入れたアイテムを手掛ける。

 最も人気のアイテムは、ジェルアイライナーと専用アプリケーターのセットだ。アプリケーターは握りやすいグリップに加え、目の形にぴったりフィットするチップを特徴とする。チップは粘膜や目尻などの細かい部分にも対応しており、従来のようにアイラインを引いたり、スタンプのように押し当てても使える。さらに目元が見えるように“窓”を作ったり、安定性を考慮して長めのグリップを採用したりしている。ジェルアイライナーも滑らかな処方で滲みにくく、メイクアップ初心者でも簡単に使えるように設計。マスカラやアイブロウアイテムなども、手元を安定させるクリップを搭載し、使っているときに製品を落とさないようになっている。さらにオフのしやすさも考慮し、マスカラはお湯で簡単に落とせるようになっている。

 「コール クリエイティブス」は肢体不自由や視覚障害者でも使えるメイクアップブラシを販売している。ブラシは安定性の高いグリップで手元が震えても使えるようになっている。さらに底面が平らで立てて保管でき、従来のもののように転がってしまうことがない。持ち手は曲げられるようになっており、自由な持ち方を可能にする。新作のアイシャドウブラシは英国王立盲人協会と共同開発し、視覚障がい者向けに点字のラベルと、転がらない四角柱の持ち手を採用。製品のマニュアルやハウツーは公式サイトでオーディオコンテンツとして提供するほか、収益の一部を同ブランドが主催するさまざまなチャリティティーに寄付する。障がい者へのサポートだけでなく、トランスジェンダーの人向けにはホルモン補充療法を受けた後の肌のケアのアドバイスや、がん治療を受けている人に眉毛やまつ毛のケア・メイクアップのワークショップなどを提供している。

 こういったブランドは昨今メディアからの注目度も高く、「ガイド ビューティ」は「アリューア(ALLURE)」の「ベストコスメ新人賞」や「エル(ELLE)」の「未来のコスメアワード」など、数々のメディアによるコスメアワードを受賞している。しかし、業界全体はまだ“真にアクセシブル”になっていないとブライアント共同創設者は注意する。「これから多くのブランドがユニバーサルデザインやインクルーシブなメソッドを製品開発に応用するだろう。そんな中で重要なのは、製品開発の考え方や視点のシフト。今は“They (彼ら、つまり障がい者)”のために製品を作っているブランドが多いが、これからは“We(私たち、つまり全員)”のために製品を作るべき。わざわざ『障がい者でも使える』と言わず、そもそもあらゆるニーズを取り入れることが当たり前にならないといけない」。

5月24日発売の「WWDJAPAN」は、「1%から見えるファッション」特集。車いすのファッションジャーナリストの徳永啓太が、多様な身体と多様なファッションに迫ります。

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