ファッション

大手に聞く“アダプティブ・ファッション”の役割  ユナイテッドアローズ編

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 ユナイテッドアローズは、“041(オーフォアワン)”というプロジェクトでアダプティブ・ファッション(障害のある人のために着脱しやすい機能を加えたアパレル)に取り組む。車いす利用者でも使えるレインコートやスタイ(よだれかけ)にもなるトップスなど、当事者の声を元に製作したアイテムは年間を通して注文が入り、応援メッセージが止むことはない。車いすユーザーのファッションジャーナリスト、徳永啓太が、プロジェクトの今とこれからを聞く。(この記事はWWDジャパン2021年5月24日号からの抜粋に加筆しています)

やることに意義があると信じ、オートクチュールのように作り上げた

徳永啓太(以下、徳永):プロジェクト立ち上げの経緯は?

玉井奈緒社長室サステナビリティ推進本部部長(以下、玉井):社外団体のSocial Wennovators(ソーシャルウィノベーターズ)と知り合う機会があり、2018年に共同で立ち上げた。彼らは、社会課題をクリエイティブの力で解決しながらいろいろな業界の可能性を拡大しており、ファッションではアダプティブの領域に挑戦することになった。社内で有志メンバーを募ると、部署を横断して約15人が集結。「障がいを持つ人のファッションに興味がある」「新たな服作りにチャレンジしたい」など、動機はさまざまだった。これを機に「身内に障がい者がいる」と話してくれたスタッフもいて、1つの収穫だった。どのメンバーも知見はゼロに等しかった。

野寄大輔UA本部メンズ商品部部長(以下、野寄):正直、何をどうすれば良いのか全くわからなかったが、「やることに価値がある」と信じて、5人の当事者から衣服の悩みを徹底的に聞き、オートクチュールのように作り上げた。徳永:具体的には?野寄:例えば2ウエイのレインコートは、「車いすに最適な雨具がない」という悩みに応えたもの。裾広がりのポンチョでは、タイヤが巻き上げた雨で濡れるという。そこで後ろ身頃が着脱可能で、車いすでも快適に着用できるよう工夫した。座ったときの生地のもたつきを防ぐためフィット感を調節するドローコードを腰回りに付けるなど、何度もフィードバックをもらいながら完成にこぎ着けた。

玉井:裾がめくれるのが嫌でスカートをはけなかった車いす利用者に向けて、ファスナーの付いたプリーツでシルエットが変化するスカートを作ったり、寝たきりの方に向けては、縫い目がなくストレッチ性のある後ろ身頃で着用しやすいレザージャケットを企画したりと、当事者と二人三脚で商品を企画した。時間も手間もかかったが、完成度の高いアイテムになった。

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