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ヒット商品「首もとパックシート」開発の裏側 入社3年目に店舗薬剤師から商品開発に参加した若手社員が考案

 コロナ禍によるステイホーム推奨が続く中、おうちで気軽にできる美容グッズの人気が高まっていて、普段はしないようなパーツケアに興味を持ち、手に取った人も多い。そうした中、マツモトキヨシのPB「matsukiyo」の人気パーツケアシリーズ“貼るだけ美容パックシート”も売り上げを伸ばしている。コロナ禍においてその人気に拍車をかけたのが、20年5月に発売した“matsukiyo 首もとパックシート”だ。同商品のアイデアを考案したのは、入社3年目で薬剤師として働く若手社員の佐藤さやか氏。ここでは、その開発の裏側に迫る。

WWD:マツモトキヨシに入社した理由は?

佐藤さやか薬剤師(以下、佐藤):大学で薬剤師の免許を取って、周りには調剤薬局や病院の薬剤師として勤める人が多いのですが、私は商品開発に携わりたいという思いがあったので、薬剤師と商品開発の両立ができる会社を探している中でマツモトキヨシと出合いました。

WWD:入社してから商品開発に携わるまでの経緯は?

佐藤:最初は、薬剤師として調剤併設店に勤務しました。入社3年目の18年10月に“商品開発コミッティ”が発足してそのメンバーに選ばれ、調剤併設店の勤務と並行してPB商品の開発に携われるようになったんです。

WWD:商品開発コミッティとは?

佐藤:メンバーの9割を店舗スタッフで構成したコミッティで、当時のグループ会員6000万人超のデータや、SNS上のコメントを徹底的に分析し、データを活用した商品開発を行ってます。また、並行して客観的なデータだけでなく“生の情報”も企画に生かすため、17年から“PBアイデア創出コミッティ”と称して、全社から商品企画に関わりたい従業員を公募しました。私もそれに応募し、選考課題をクリアしてメンバーになれたんです。

WWD:どのような選考課題?

佐藤:そのときは自己PRと、商品アイデアもしくは“今のPBに対する意見”をレポートにして提出するというものでした。私は「matsukiyo」の認知度を上げるための活動提案をレポートにまとめて提出しました。

WWD:思い付いたきっかけは?

佐藤:入社3年目から薬剤師の採用面接の面接官を担当するようになったのですが、学生の前に立つ際、顔の美容にはもちろん気を付けていたのですが、年齢の出やすい首元も気になったので「ニーズがあるのでは」と考えました。また、首もとは年齢が出やすいといわれ、店舗に来店するお客さまの中にも 「年齢を重ねるにあたり気になるけれど、どうケアすればいいのか分からない」という方も多い印象でした。さらに昨今、スマホやパソコンを使う機会が増えたことで姿勢が崩れ、若い方の間でも首の年齢サインに対する意識が高まっています。そうした背景も踏まえ、自分自身も“貼るだけ美容パックシート”シリーズを使ってみて「手軽で使いやすい」と感じていたこともあり、“首もとパックシート”のアイデアが生まれました。

WWD:開発に当たりこだわったポイントは?

佐藤:“寝ながらでも使用できる”ことがポイントなのですが、試作品はシートの幅が太く、寝ながら使うと少し息苦しさを感じてしまいました。そこで幅を細くしてもらい、寝ながらでも快適に使える今の形状になりました。

WWD:ヒット商品となったが、ヒットの要因は?

佐藤:「首元が気になるけどケアする方法が分からない」という人が多かったのではないでしょうか。“首もとにも使える”という商品は市場にあったのですが、あまり認知されておらず、それに対して明確に“首もと”とうたったことも良かったと思います。“PBアイデア創出コミッティ”で重視しているのは“ありそうでなかったもの”というテーマなのですが、まさにそんな商品だと感じています。

WWD:自分のアイデアが商品化されたことに関する感想は?

佐藤:“貼るだけ美容パックシート”はヒットシリーズ(同シリーズは、同社の“フェイスマスクのパーツケア分類”の売り上げ数で“matsukiyo 目もとパックシート”が2017年5月~20年2月までの2年9カ月連続第1位、“matsukiyo 口もとパックシート”が同2位を記録している支持の高いシリーズ)というだけでなく、私が学生時代から愛用していた商品でもあるので、そのシリーズから商品化できてうれしかったです。

WWD:今後やりたいことは?

佐藤:これからも店舗で薬剤師として働きつつ、そこで感じたニーズを商品開発に反映させていきたいです。入社したときは「商品開発に携わりたい」という思いの方が強かったのですが、今は薬剤師の仕事にもより魅力を感じています。お客さまから見ると、薬剤師はまだまだ“薬をもらう場所にいる人”という認識なのですが、本当はそれぞれに得意分野があって、いろいろな情報を発信できる職業なんです。商品開発とともに、そうした認知も広げていきたいと考えています。