ビューティ

再ロックダウンのパリ、セルフマッサージの人気が高まり日本式「KOBIDO」やフェイスヨガがブームに 海外ビューティ通信パリ編

 世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」では、パリやニューヨーク、ソウル、ベルリンの4都市に住む美容通に最新ビューティ事情をリポートしてもらう。(本文中の円換算レート:1ユーロ=122円)

 全土で再びロックダウン(都市封鎖)が実施されているフランスではセルフマッサージに注目が集まっている。特に美容好きのパリジェンヌの間で「KOBIDO」という言葉を頻繁に耳にする。日本人にはあまりなじみのない単語だが、KOBIDOは「古美道」と書き、日本古来より受け継がれてきた美顔道を指す。約540年前から存在し、按摩師の技術を取り入れた48の手技から成るフェイスマッサージのメソッドなのだ。

 そのKOBIDOをフランスで一躍有名にしたのが、フェイシャリストとして活躍するデルフィーヌ・ラングロワーズ(Delphine Langlois)。パラスホテルの高級エステルームで13年働いた後、古美道の26代目家元であり医師でもある望月正吾から数年かけて技術を学び、自身のスタジオを開設。今年、アカデミーを立ち上げた。「KOBIDOのフェイスマッサージは顔筋をつかみ、つまみ、スピーディーに筋肉収縮を働きかけます。リフティングと引き締め効果が高く、エイジングケアの芸術です。アカデミーには日本の技術を学びたいというエステティシャンが既に2000人も登録しているのですよ」とデルフィーヌ。フェイスマッサージに天然石のかっさやフェイスローラーを加えたメニューや、その人の顔の形や悩みに応じてパーソナライズした自宅でできるマッサージ法を伝授する個人レッスンも受けられる。彼女がオリジナルで開発したローズクォーツのフェイスマスクとアイマスクは、肌を鎮静させ目元のクマやくすみを取り除く効果も期待できるという。

 KOBIDOのほかにも、フェイスヨガも注目されている。「フェイスヨガ(YOGA du VISAGE)」の著者シルヴィー・ルフラン(Sylvie Lafranc)は、その名の通りフランスでフェイスヨガを広めるヨガマスターだ。米国のスキンケアブランド「オダシテ(ODACITE)」や、昨年スタイリストのメラニー・ヒューン(Melanie Huynh)が始めたホリスティックビューティブランド「ホリデルミ(HOLIDERMIE)」にも、セミナー講師として度々招待されコラボレーションを行っている。シルヴィーが打ち出すのは約50から構成される顔の筋肉のこりをほぐし、適度なボリュームと硬さを取り戻す、エイジングケアを目的としたフェイスヨガだ。コラーゲンの工場と呼ばれる繊維芽細胞を刺激することで細胞を活性化させ、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の消失を防ぐという。シルヴィーは「以前の美容は美しくなるためには苦しみが伴うといわれていましたが、今日のフェイシャルヨガは美しくなるためには幸せである必要があるという逆の発想を提案しています。美と幸福、自己愛は全てつながっています」と言う。

 シルヴィーは最近フランス人がセルフマッサージに興味を持ち始めている現状を、「化粧品が全てではなく、自分でエイジングの予防や癖の改善を行うことは楽しい時間で、既にスキンケアに必要不可欠なステップです。今欧州では再びロックダウンが実施されていますが、エステや美容皮膚科に行くことが困難な時期だからこそ、自分で自分をいたわり自宅でフェイスヨガを行うことは自分の顔と肌を知る良いきっかけとなるでしょう」と語る。

 前出のデルフィーヌも「多くのエイジングケアコスメはもちろん表皮に働きかけますが、ただ化粧品を塗布するだけでは効果が発揮されないことを語っていません。顔の老化は筋肉のたるみ、リンパの滞り、再生力の低下等が原因で、それらは毎日数分のフェイスマッサージによって改善できます」と話す。彼女たちはほぼ毎日インスタライブや個人レッスンを行い、セルフフェイスマッサージやフェイスヨガを伝授している。既に美容業界でも注目の的となり、新しいムーブメントとしてフランス人の心をつかんでいる。

須山佳子(すやま・けいこ)/コンサルタント:2001年に渡仏しMBAを取得。ファッション業界で働き、09年に日本の美容ブランドを欧州市場へ売り込むコンサルティング会社を設立。取引先は欧州の高級百貨店、美容ストア等。パリ市内でポップアップストア「Bijo;」主宰。インスタグラムアカウントは@bijo.paris

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