ファッション

伊藤忠とクラボウがタッグ、日本の“サステナブルアパレル連合”結成を呼びかけ

 伊藤忠商事とクラボウは25日、環境に配慮した商品開発やビジネスモデルの創出などを目的とした戦略的パートナーシップ契約を締結した。同時に、伊藤忠はクラボウの海外生産拠点であるタイ・クラボウ(本社タイ・バンコク)株式の一部を取得する。グローバルな生産、販売体制の連携強化をれぞれの強みであるサステナブル原料とテキスタイル技術を組み合わせた新商品の開発や新規ビジネスの開拓をめざす。さらに、繊維業界にとって重要課題となっているサステナブル社会の実現にめざす取り組みとなる「アパレル サステナブル コンソーシアム(仮称)」の設立を計画しており、日本の繊維・ファッション企業に幅広く参加を呼びかける。

提携後初の画期的な新商品が近々完成

 提携の狙いについて、クラボウ繊維事業部・事業推進部の中川眞豪部長は「繊維素材メーカーが単独でサステナブルな取り組みを行なってもできることには限りがある。他社との共創をテーマに社会に新たな価値を創出していきたい」と説明する。

 同事業部は1993年にものづくりの基本姿勢として「ヒューマン・フレンドリー発想」を打ち出し、サステナブルな素材、製品の開発とサービスの提供を行なってきた。同社独自のアップサイクル技術「ループラス」や原綿改質技術「ネイテック」、サステナブルインサレーション「エアーフレイク」は国内外で高い評価を得ている。ここ数年はモノ売りからコト売りへとビジネス転換を図り、独自技術を基本とした新規ビジネスの構築をめざしてきた。

 一方、原料部隊を有する伊藤忠のファッションアパレル第三部は、オーガニックコットンをはじめ、循環型ポリエステル「レニュー」、最先端セルロース繊維「メッツァ・リヨセル」などのサステナブル原料を中心としたグローバルなバリューチェーンの構築をに力を入れている。「川中分野が不足している当社にとっては、アセアンに生産拠点を持ち、紡績から織、加工まで技術力の高いクラボウと戦略的パートナーシップを結ぶことで、我々のユニークな原料が生きてくるという狙いがある。そうしないとなかなかマーケットに受け入れられにくいという思いがあり、互いに意気投合した」と、同社ファッションアパレル第三部の大室良麿部長は振り返る。今回の契約提携を弾みとし、両社の取り組みを加速度的に進めたい考えだ。

 すでに、伊藤忠傘下の「エドウィン」で、クラボウの「ループラス」を採用するほか、「レニュー」のカジュアルウェアやワーキングウェアでも取り組みが始まっているという。さらに、レニューを採用した中綿素材「エアフレーク」が近々完成予定で、「象徴的な商品として大々的に売っていきたい」(クラボウの中川部長)と意欲を見せる。 

今年度内にコンソーシアムの基本構想策定

 構想中の「アパレル サステナブル コンソーシアム」は「単独では困難なサステナブル社会の実現をめざし、川上から川下まで繊維業界全体を巻き込んだ初めての試み」(大室部長)。事務局をクラボウと伊藤忠商事が共同で運営する。2020年度内に基本構想をまとめ、同年度末をめどに賛同企業の募集を始める。

 パートナー企業は生産、流通、小売など各専門分野の企業・団体を中心に大学・研究機関、マスコミを含めて想定しており、幅広い参画を呼びかける。3 Rへの取り組みや新技術の創出、新ビジネスモデルの構築、エシカル消費の促進で参画企業と連携を図り、ビジネスを前提とした取り組みで循環型社会の実現をめざす。

 繊維業界紙向けの合同取材で、伊藤忠の大室部長は「サステナブル社会の実現にあたってはサプライチェーンの多岐に渡る分野が関与してくるのでコンソーシアムが大きな役割を果たすことになると思う。世界をリードする日本発のファッション協定につながる取り組みにしていきたい」と意気込みを語った。

橋長初代(はしなが・はつよ)/流通ライター:同志社女子大学卒。ファッション専門誌の編集を経てフリーランスのライターに。関西を拠点に商業施設、百貨店、専門店、アパレル、消費トレンド、ホテル、海外進出などの動向を「WWD JAPAN.com」「日経クロストレンド」などに寄稿。取材では現場での直感と消費者目線を大事にしている。最近の関心事は“台湾”と“野菜づくり”と“コロナ後のファッションビジネス”。「リモート取材が浸透すれば、もっと取材先を広げていきたい」

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