ファッション

「チョイかじり」の覚悟をサムネイルで表そう エディターズレター(2020年7月22日配信分)

※この記事は2020年7月22日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「チョイかじり」の覚悟をサムネイルで表そう

 カネボウの「炎上」(という程ではないですかね?「騒動」くらいの表現で良いかもしれません)、私は正直、一部ユーザーの怒りの理由を共感しきれませんでした。炎上を知り、最初にHPで60秒という長尺のフルバージョンCMと、文言の全文を拝見したからでしょう。むしろ「ステキなCMだな」と、カネボウに共感したくらいです。下にリンクを貼りましたが、女性が「他者との競争」「自分の理想との競争」「他者が勝手に生み出した、自分の理想との競争」などから解放されることを願った「SK-Ⅱ」や、それぞれが独自の美しさを発見・発信することで画一的な価値基準からの解放を望む「ボビイ ブラウン」同様、大義を感じるステキなメッセージだと思っています。

 怒りの理由は、「生きるために、化粧をする」というメッセージを切り取った、サムネイルにあるのかな?と思っています。と言うより、「このサムネイルだけを見て、怒っている人も多いのでは?」と言うのが率直な印象です。確かにコレだけが急にタイムラインに現れたら、しかも誰かの否定的なコメントに付されていたら、印象は変わるかもしれません。先週のメルマガでは、「チョイかじり」が好きな若い世代の話をしました。メッセージを届けたい相手の、この特性が分かっていたら、違うアプローチがあったかもしれません。

 サムネイルについては、私たちも日々頭を悩ませております。ことYouTubeでライブ配信を本格化するようになってからは、この難しさに「ムムム~」と唸り続けています。そもそも「ようつべ」の世界のトンマナと「WWDジャパン」のそれは、正直けっこう乖離しており、「あちらの世界に寄せなければ、高パフォーマンスは期待できないのか?でも、私たちのイメージは?」なんて(古臭いのかもしれませんが)悩むこと多数。ことサムネは、定期的にアップする連載的コンテンツにおいてはイメージをそろえたいと思いつつ、とはいえ一瞬で、キャッチーに、「なんの動画か?」を分かるようにしなければならず、クリアするハードルがメチャクチャ多いのです。

 最近は、中身よりむしろサムネを考える時間の方が長いくらいです(笑)。改めて私たちの仕事は、何かを生み出すのみならず、それを届けることまで広がったことを痛感します。「そんなの、昔から変わんないよ」って言う方もいるでしょう。でも、絶対的な供給量が増えた今、「届ける」ことの重要性が増していることは間違いないでしょう。

 「届ける」にフォーカスするようになると、どうなるのか?「生み出す」コンテンツのクオリティーをこれまで通りにキープするのは難しくなるし、効率的に「届ける」には効率的に「届く」コンテンツに変えなければなりません。簡単なのは、マルチからモノへの転換です。考えればウェブ記事も「ようつべ」のコンテンツも、欲しい情報だけをコンパクトに届けるモノ・トピック型ですよね。そうなるとプリントメディアやリアル店舗は、マルチ・トピックス型になった方が生き残れそうな気がします。

 なんてコトを考えながら、今日もサムネに悪戦苦闘です。「チョイかじり」される覚悟を持ったら、まず頑張るのは、中身よりサムネなのかもしれません。

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